Sports Enthusiast_1

2005年12月31日(土) 清水と大宮

天皇杯の準決勝に意外にもと言ったら失礼だが、大宮、清水が残った。大宮は浦和に延長戦で突き放されたが、清水はC大阪を逆に延長で退け、決勝に進んだ。清水、大宮ともにリーグ戦では降格圏内に漂ったこともあるが、リーグ後半、チームを立て直してきた。
両チームには幾つかの共通点がある。1つは、監督が若いこと。大宮の監督の三浦氏の方が、新人監督の長谷川氏より監督経験は長いことはもちろんだが。2つ目は4バック。3つ目は、両チームとも日本代表選手がいないこと。4つ目は、4−4−2のシステムでスペースを埋め、しつこいチェイシング、厳しいプレスといった守備で相手にスペースを与えないこと。5つ目は、相手の攻撃の核となる選手には、厳しいマンマークをつけ自由にさせないこと。そして、攻撃は早いカウンター、しかもサイドアタックが中心などなど・・・選手が規律の下でプレーをしていることだ。
筆者を最も魅了するのは、SBからのクロスボールを(折り返しを入れることもあるが)大型の攻撃陣が頭で合わせるシュートシーンだ。折り返しを入れたときには、ゴールの左右を空中のボールが往ったりきたりするわけで、誠にスリリングであり、美しい。折り返しを入れないときには、ヘディングがドンピシャリ、文句を言わせない。サッカーの醍醐味の1つだ。SBの縦の動きにボールを持たない後の選手がゴールに向かって走りこみ、空中に放たれたヨコの動きを加えたボールとジャンプした選手のヘッドが、空中の一点で交差する。まさに、スペクタクル。SBの駆け上がりこそが、4バックの最大の特徴で、ある人に言わせれば、4バックは、スペースを有効に使う(もしくは消す)ことにおいて、3バックより優れていると。
さて、大宮の「強さ」はリーグ終盤、筆者の記憶では、優勝候補のG大阪に勝った試合で垣間見えたように思う。やや調子を落としていたとはいえ、G大阪と大宮の個々の選手を比べれば力の差は歴然だった。それでも、規律=組織において大宮が勝っていた。
清水については、リーグ戦の低迷については、筆者は全然心配していなかった。長谷川監督が目指すサッカーが見えていたからだ。周囲もそれを理解していて、監督更迭の「コ」の字も出なかった。結果が出なかったのはタレント不足。適正な補強でそれを補った。このあたりが、「道楽チーム」の神戸と違うところ。清水という「サッカー王国」の地域の懐の深さだ。
大宮、清水の天皇杯での健闘については、1シーズン制の採用もその主因の1つに挙げられる。前期後期では、バタバタと優勝が決まる。そのため、チーム戦術・戦略・システムの熟成がママならない。前後期制では、監督と選手がじっくりと、チームコンセプトを全うする時間がもてない。プロは結果が求められるが、チーム事情では時間が必要な場合もある。1シーズン制は若いチームがうまくなる土壌を耕すことができる。清水の健闘の陰に1シーズン制の採用があると筆者はみる。
余談だけれど、シーズン序盤から先行した鹿島は一見、選手層が厚いので楽勝と思えたものの、小笠原一人が調子を落とした途端、首位から滑り落ち、首位奪回の闘志も見られないまま後退してしまった。
鹿島は、ブラジルとの太いパイプと豊富な資金力にものを言わせて、外国人選手に依存して優勝してきた。チーム戦術、規律、組織力は不十分だ。筆者は、鹿島に対して強い影響力をもつジーコ氏の存在を含め、鹿島の体質が好きではない。
鹿島は、短い前後期制の下では、ブラジル人選手に依存して優勝を重ねてきたものの、長丁場の1シーズン制度の下では、そうはいかなかった。トニーニョセレーゾ監督に指導力がない、とは言わないが、1シーズン制になったとたん、チームに不協和音も出た。規律という面で、このチームが優勝できなかったと言えなくもない。だから、筆者は鹿島が優勝しなかったことをうれしく思っている。大宮、清水、千葉といった、日本人選手の才能を伸ばして勝ち進むクラブがいい成績を残してほしいといつも思っている。



2005年12月28日(水) 俊輔の活躍は報道に値しない

日本のスポーツジャーナリズムは、日本代表・中村俊輔選手のスコットランド・リーグでの「活躍」を日々、大々的に報じている。スコットランドというと、いまは英国の一地域だけれど、民族的・文化的には英国から独立した存在だ。だから、FIFAは、スコットランド、英国それぞれにサッカー協会を設立する自由を認めている。
極東の日本人には、スコットランドと英国はほぼ一体に見えるけれど、それぞれのサッカーのリーグの実力については、大変な開きがある。直近のFIFAランキングでは、英国9位、スコットランド60位。スコットランドより上位には、バーレーン52位、ジンバブエ53位、イラク54位、ベルギー 55位、トーゴ56位、グアテマラ56位、ザンビア58位、ウズベキスタン59位が列挙される。
筆者は、FIFAランキンの精度については、常々疑問視している、と当コラムで何度も書いてきた。とりわけ、日本の15位はバブルであり、FIFAランキングは参考にならないのだが、では、スコットランド60位は低すぎるかといえば低すぎとしても、40位以上は難しい。
日本のスポーツジャーナリズムは、倒錯している。もし俊輔がウズベキスタンやバーレーンのリーグで活躍したとしたら、こんなにも大きな記事で伝えるのかどうか。俊輔が活躍して当たり前、と感じるのではないか。日本のスポーツジャーナリズムは、スコットランドと英国の実力の開きをまったく理解していないと疑われても仕方がない。
さて、このたび、俊輔が所属するセルティック(グラスゴー)に元アイルランド代表キャプテン、ロイ・キーンが入団する。ロイ・キーンは英国プレミアで大活躍した実績のある超大物(34歳という高齢だけれど)だ。その彼があまたの欧州強豪クラブのオファーを断り、サッカー人生晩年の舞台としてスコットランドを選んだのか。
ロイ・キーンはアイルランド人(アイリッシュケルト)で、スコットランド人(スコティッシュケルト)と同じケルト系に属す。ケルト系住民はアイルランド、スコットランドを問わず、住民の多くがカトリックを信仰する。その結果、ケルト系住民は、プロテスタント(新教)・英国から差別と大弾圧を受けた歴史を持っている。
俊輔、ロイ・キーンが属するセルティックのホーム=グラスゴーには、プロテスタント系のクラブチームである、レンジャースが存在する。グラスゴーを舞台に繰り広げられる、カトリック(セルティック)とプロテスタント(レンジャース)の戦いは「オールドファーム・ダービー」と呼ばれ、宗教的要素を土台として、その熱狂振りは凄まじい。
アイリッシュケルトであるロイ・キーンは幼いころから、「オールドファームダービー」で戦うことを夢見ていたといわれる。つまり、ロイ・キーンは、敢えて危険な表現を使うならば、スコットランドの“宗教ダービー”に参戦したのだ。
とはいえ、英国とスコットランドの対立の歴史的背景は別として、サッカーのレベルでいえば、俊輔がイタリアセリエA、Jリーグで活躍した選手である以上、FIFAランキング60位の国内リーグで活躍したからといって、手厚く報道する意味はなかろう。



2005年12月25日(日) フィギュアねぇ〜

フィギュア全日本選手権で採点ミスがあり、優勝者が取り消されたという。表彰式まで済ませた後の優勝取り消しだといういから、ことは深刻だ。原因は採点用コンピューターの設定ミスらしい。
筆者はそもそも、フィギュアをスポーツだと理解していない。フィギュアに限らず、採点競技であるシンクロ、体操もスポーツだと認識していない。もちろん筆者の採点競技=非スポーツが万人に理解されるとは思っていない。まったくの筆者の独りよがりである。
採点競技がなぜスポーツではないかというと、コンピューターを導入しようがしまいが、採点には採点者の主観性を免れないと思うからだ。女子フィギュアやシンクロでは、どんなに否定しようとも、競技者の外見に採点が左右されているに違いない。外見とは身体性の意だが、現代における身体性の理想はおそらく、西欧美術にその根源が求められる。バランスとしては八頭身であり、上肢と下肢の比率も加えられよう。
ナチスドイツはドイツ人の子孫を「アーリア人」という幻想の民族に求め、ドイツの子供達の身体を測定し、アーリア基準値を上回る子供(=優性遺伝子)を保護した。「アーリア人」とはおそらく、ヨーロッパ東方のスキティア地方から西欧に侵入した印欧語族と同義である。「アーリア人信仰」はインドでも根強く、肌の色が白い西欧系の外形の人々が、インドの上層階級を形成していることが多い。
いまの日本でフィギュアスケート――とりわけ女子――が話題をさらうのは、フィギュアファンが日本人の身体性が欧米に近づいたことを確認する喜びに浸るためにちがいない。かつて、女子フィギュアで活躍したIM選手は、技術的に優れていたものの、身体性においていまのフィギュア選手と異なっていた。だから、IM選手は多くの人々に応援されていたけれど、共感されてはいなかったように思う。
女子フィギュア(選手)は、プロで活躍すればいい。肌の色と同じ生地をつなぎ合わせて露出観を強調するような奇妙なコスチュームもやめたらいい。そんな規制を取り払って、人々が求める露出を強調したほうが自然だ。
当コラムでかつて書いたことがあるけれど、暗黒舞踏の土方巽は、身障者、胎児、老人、労働による身体畸形を舞踏にあえて取り入れた。それが西欧=近代の身体性に真っ向から対立する身体性であり、近代市民社会が人々に強いる矯正からの自由を象徴すると考えたからだと思う。
フーコーが記したように、矯正とは、監獄、病院、学校、会社、軍隊という国家(権力機構)が人々に強いるものだ。「市民」は学校に行き、体育教育を受け、市民社会に馴致する合理的身体性を学ぶ。さらに会社や軍隊で専門的身体性の訓練を受ける。そこから外れれば、精神病院や監獄で矯正される。
スポーツは、2つの矛盾する身体性が求めらている。勝つために軍隊と同じように、合理的身体性を求められる一方、究極の勝利達成のためには、そこからの逸脱を求められる。合理性と神秘性の二極化である。たとえば、ブラジルサッカーのファンタジー性は、近代的身体性の延長からは説明できない。合理的戦術構築を越えたものがブラジルサッカーの真髄かもしれない。バリーチュードも同様に、相手の攻撃から自らを守るため、“引き込み”という、相手と自分の身体性の抹殺の技を取り入れる。だから、バーリーチュードの寝技は、退屈そのもので鑑賞に耐えない。
フィギュアに代表される採点競技は、神秘主義や身体性の否定を認める技が入り込む余地がない。もし、土方巽のパフォーマンスに似せたフィギュアスケートの演技があったとしたら、競技の難易度にはおそらく差がないにもかかわらず。採点者は採点不能に陥る。あらかじめ技や美の基準が西欧という価値基準に一元化されているのだ。
筆者は、西欧的身体性の枠の中で先見的に競われる競技をスポーツと認めるわけにはいかない。サッカーは“手を使わない”という枠組しかない。勝つためならば、「少林サッカー」でもなんでも構わない。それがスポーツだと思う。



2005年12月23日(金) 悪夢が現実に・・・

J2に降格した東京Vが22日、現柏コーチのラモス瑠偉氏(48)の監督就任を発表した。ラモス氏の「右腕」として都並ヘッドコーチの就任をほぼ決定的とし、さらに菊池GKコーチらの信頼できるOB陣を招へいの方針だという。シドニーFCから横浜FCに“復帰”したカズもラモス氏の監督就任を歓迎したという。J2でカズとラモスの元ヴェルディ対決が実現することになる。
そのラモス氏は「相手とけんかしてでも勝つのがプロ」と言い、闘志を前面に出すことを選手に要求する。しかし、その“結果”はと言うと、ラモス氏がコーチに就任した柏で既に“凶”と出ている。柏は今季、降格圏で低迷した時期、ラモス氏をコーチに就任させたのだが、就任以降の試合で必ずと言っていいほど退場者を出し試合を失った。その象徴的な試合が甲府との入れ替え第2戦目だった。第1試合を1−2で失った柏ホームの第2戦、甲府に1点リードされたところで柏DFがイエロー2枚で退場。その後、甲府のFWバレーになんと、6点もとられて大敗しJ2に落ちた。柏の若い選手たちは、ラモス氏が求める“プロ意識”に刺激され、汚いタックルでカードをもらい退場してしまう。激しさと汚さの区別がつかないまま、危険なプレーを連発する。コーチなら、まず相手を止めるプレー教えるべきであり、相手の攻撃を封じるディフェンス戦略を立案すべきなのだ。
筆者なら、東京V再建プランの基本として、「過去との決別」を真っ先に挙げる。東京Vの黄金時代は日本サッカーの黎明期に当たり、各クラブの実力は低かった。そのことを象徴するのが、「ドーハの悲劇」だった。日本代表は、アジアで勝てなかったのだ。そんな時代にヴェルディは、カズ、ラモス、柱谷、北澤、加藤久らの日本代表選手を抱え、圧倒的な強さを誇った。つなぐサッカー、ボールをまわすサッカーで相手を翻弄し、やすやすとJリーグを制覇した。
しかし、Jリーグは変わった。クラブはワールドクラスの指導者を呼び、猛練習と強い規律で若い選手を鍛え上げてきた。その筆頭がオシム監督率いる千葉だ。さらに、大分、新潟、大宮、F東京が千葉が目指すモダンサッカーに近いチームづくりを進め、成功しつつある。その流れにある清水は、今季結果が出ていない。その一方で、G大阪、川崎は切り札というべき突出したブラジル人選手をチームにフィットさせ、攻撃的なサッカーをコンセプトにして好成績をあげている。
また、浦和、C大阪は固い守備で手堅く勝点を積み上げるサッカーで上位を維持できるまでに成長した。鹿島、横浜、磐田は厚い選手層を誇り、優勝しないほうがおかしいくらいだ。Jリーグの各クラブはスタイルは異なっているものの、かつてヴェルディにあしらわれていた姿をとどめない。ヴェルディの凋落は、ヴェルディのみがJリーグの進化に乗り遅れただけの話なのだ。
筆者は、現在東京Vで将来有望な相馬、両小林、平本に移籍を勧めたい。東京Vで1年プレーすることは、J2だからという理由ではなく、東京Vが目指すサッカーが古臭いゆえにマイナスだと考えるからだ。
東京Vの指導者の人選は時代から取り残されている。しかも、東京Vは、なんと元ブラジル代表の“悪童”ロマーリオの獲得に乗り出したというではないか。そんな噂を聞けば、東京Vは自ら進化の道を閉ざしたも同然。そんな滅茶苦茶なクラブで、若い才能が花開くことはない。いまのスピードのロマーリオと一緒にゲームをすることは、若い伸び盛りの選手のマイナスになる ことはあっても、プラスになることはない。



2005年12月22日(木) 今年は静かなプロ野球

筆者は、当コラムで今年のプロ野球のシーズンオフは大混乱と予測した。西武、横浜の2球団が売りにだされるか解散、阪神のオーナーが変わって株式上場球団が誕生、けっきょく10球団・1リーグになると考えていた。ところが、暮れも押し詰まった今日の今日まで、大きな動きが認められない。
オフの目玉は、清原和博内野手(38)と中村紀洋内野手(32)の再就職先。清原は、読売から戦力外通告を受け、去就が注目されていた。もう一人の中村は、ポスティングシステム(入札制度)で米大リーグに挑戦した今季、ドジャースでわずか17試合の出場にとどまったが、マイナーの3Aラスベガスでは22本塁打、67打点の成績を残した。
清原、中村のどちらも挫折した者同士、彼らの再就職先に注目が集まったが、けっきょく二人はオリックス入りを表明した。この補強で、オリックスの得点力不足は解消の見通しが立った。
報道では、清原は15日に亡くなったオリックスの仰木彬前監督から、昨年オフにも熱心に誘われたことを明かし「(戦力外通告を受けた時は)身も心も切られた気持ちだったが、もう一度、野球をやりたいと思った。地元大阪、手を差し伸べてくれたオリックス、自分を育ててくれたパ・リーグ、プロ野球ファンのために精いっぱいプレーしたい」と語ったという。
亡くなった仰木前監督といえば、近鉄で野茂、吉井、オリックスでイチロー、長谷川、田口、木田、野村らの日本人大リーガーを育てたことで知られている。とりわけ、野茂のトルネード投法、イチローの振り子打法という個性を損なわなかった慧眼に対する評価が高い。V9戦士のD氏がオリックス監督時代、D氏がイチローの打撃を改造しようとして、拒絶された話は有名だ。仰木氏がオリックスの監督に就任しなければ、イチローの才能は埋没した可能性が高かった。その仰木前監督の死が図らずも求心力となって、二人の「大物」をオリックスに導いたことになる。これぞ「仰木マジック」の極みか。
一見美談のような、二人の「大物」のオリックス入りだが、戦力的にはどうなのか。筆者は清原はまず、期待できないと考える。何度も当コラムで書いたように、清原が本気で体重(上半身の筋肉)を絞り、下半身の負担を軽くした上で下半身強化に励めば、ネームバリューで相手投手の投げそこないを本塁打する可能性もあるものの、肉体的衰えというマイナスと、指名代打制度というプラスを相殺しても、読売の最後のシリーズ・96試合出場、打率2割1分2厘、22本塁打の成績を上回ることはまずない。中村も、米国3Aの成績程度が精一杯だろう。それよりも、清原の走力のなさが、まさに足かせになって、チーム力は低下する。
しかし、どのみちオリックスは人気はない。話題性にも乏しい。いまさら失うものなど何もない、という観点に立てば、清原のピアス(来年はつけないらしいが)、巨漢、異形で客が集まれば興業的にはプラスか。筆者にはよく理解できないけれど、キヨ、ノリと慕うファンも少なくない。巨漢二人組は、存在感だけは十分だけど、スピード感を楽しみたいファンには、逆に失望を与えるだけだろう。



2005年12月19日(月) Jに復帰か、「海外(遊学)組」

報道では、柳沢、中田(浩)、稲本、高原、大久保の「海外(遊学)組」、そして、ケガに泣く小野の6選手がJリーグに復帰する可能性が高いという。W杯開催が近づくにつれ、試合に出られない海外(遊学)組に焦りが生じ、それがJリーグ復帰につながっているという。ことの真偽は不明だが、かりにそうだとしたら、Jリーグとは何なのか。実力のある選手が戻ってくれば、レギュラーの座を明け渡さなければならないのがプロの世界。それは確かにそうなのだが、海外に渡った選手は、W杯を控えようが、最後まで自分の選んだ土俵で勝負をしてほしい。W杯に出たいがために、ただそれだけの理由で、Jリーグに復帰するのはいかがなものか。
日韓大会後、海外クラブから日本人選手にオファーがあった。それは大変結構なことだったのだが、海外クラブの狙いは「広告塔」だった。オファーを出した海外クラブが悪いのではない。海外クラブと契約した日本人選手が、実力でレギュラーの座を奪えなかっただけの話だ。ならば、もっと前に、サッカーができる環境に変われるよう、代理人や契約クラブと話し合いをするべきだった。
海外移籍が悪いとはいわない。海外、とりわけ、欧州のクラブに移籍できたのは、実力がある証拠だ。しかし、サッカー選手ならば、試合に出なければ始まらない。控えならば試合に出るチャンスもあろうが、ベンチ入りすらできないということは、“戦力外”に近い。そんな海外組が慌てて――試合を求めて――Jリーグに戻ってくると聞けば、いやな気分に襲われる。
そればかりではない。もっといやな気分にさせられるのは、海外クラブに所属するだけの選手が、代表に選ばれることだ。
来年、代表監督には、W杯出場選手を選ぶ仕事が待っている。だが、ジーコ監督が就任してから今日まで、彼がどのような基準で代表選考を行ってきたかについては、極めて理解しにくい。とりわけ、海外クラブに所属する選手の招集基準については、明快に定められているとは思えない。たとえば、Jリーグで1年をとおして試合に出場し、20点近くのゴールをあげたFWが代表にふさわしいのか、それとも、イタリアセリエAやスペインリーグで、限りなくゼロに近い試合数で、ゴールゼロのFWがふさわしいのか――という問題である。
筆者は前に書いたとおり、試合に出ていない選手は代表に選ばないという、欧州某国の代表監督の選考基準を支持している。日本代表の選考基準もそれに倣ってほしい。
その一方、各国リーグにはレベルの差があるのだから、試合に出ている出ていないは関係ない、「能力」こそがすべてだ、という意見もある。いろいろな選考基準があるとは思うのだけれど、筆者が代表監督に望みたいのは、選考基準が“ぶれない”ことだ。筆者は、選手の「能力」は試合で計られると考える。試合に出ていなければ、測定不能だと考える。「能力」というのは抽象的表現、いわば概念にすぎない。あえて「能力」優先というのならば、「能力」は表現(=パフォーマンス)によって、優劣をつけられるものだと考えたい。
海外に戦いの場を求めた選手は、そこで答えをだしてほしい。W杯に出場したいがために、Jリーグ復帰などと嘯くのは、武士の道に反するではないか。



2005年12月18日(日) サッカーの不条理

サッカーのクラブ世界一決定戦「FIFAクラブワールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジャパン2005」の決勝が横浜国際総合競技場で行われ、南米代表サンパウロFC(ブラジル)が欧州代表リバプールFC(イングランド)を1−0で下して初代王者になった。
結果はご覧のとおり、サンパウロが勝った。サンパウロが守り勝ったというところがすごい。シュート数、コーナーキック数、フリーキック数をカウントするまでもなく、リバプールのほうが優勢だった。ボール保持率はもちろん、得点以外のすべてがリバプールだった。それでも、結果はサンパウロ、勝者と敗者という絶対的な関係において、サンパウロが王者なのだ。
ブラジルサッカーの特徴というと、SBの派手なオーバーラップに代表されるように、攻撃にあるというのが常識。でも、守りも固い。この試合でさらにブラジルサッカーの「深さ」を思い知らされた。
それだけではない。サンパウロはブラジル人がレギュラーのクラブであり、一方のリバプールは、フランス、スペイン、イングランド等の多国籍軍だ。結果は、ブラジル人のサンパウロが多国籍軍に勝ってしまう。サッカーというのは、本当に不思議なスポーツだ。
サンパウロの勝因はいくつか挙げられる。筆者の乏しい情報では、サンパウロが大会開始のかなり前に日本に入り、コンディションを整えたことが一番だと思う。しかも、対戦相手となる第一試合、準決勝を全員で観戦していた映像が印象に残った。実力という抽象的な表現でいえば、リバプールの方が上だと思う。しかし、サッカーでは実力があっても、結果を出せないことがある。そんなサッカーを不条理のスポーツといってもいい。敗者リバプールのキャプテン・ジェラード(イングランド代表)の悲しげな表情が、そのことを何よりも雄弁に語っていた。



2005年12月17日(土) カズは伝説ではない

サッカーのクラブ世界一決定戦「FIFAクラブワールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジャパン2005」の5位決定戦が16日、東京・国立競技場で行われ、三浦知良(カズ)が所属するシドニーFC(オーストラリア)が2−1でアルアハリ(エジプト)に勝利した。負けたアルアハリは、スピード、テクニック、組織力、ボール保持率でシドニーFCを圧倒したが、たびたびの決定機を外しまくって、負けてしまった。サッカーというのは、本当に分からないスポーツだ。まさかという感じ。
シドニーはカズのおかげでホームの試合のよう。監督のリトバルスキーもJリーグに馴染みな人物なだけに、アルアハリには気の毒だった。審判の上川氏もアルアハリに不利な判定をしてたっけ。
それはそれとして、鼻についたのは、放送権を獲得した読売グループ(G)の空騒ぎ。この大会には開催国日本のクラブが出ていない。予選で落ちた。大会が盛り上がるはずがない。そこで放送権を持っている読売G系テレビ局と大手広告代理店がカズに白羽の矢を立てた。カズをオセアニア代表として出場するシドニーFCに移籍させた。大会前、カズがAリーグ(オーストラリアのリーグ戦)に数試合出場したのち、カズを日本に「凱旋」帰国させた。どうみたって、無理筋である。Aリーグは、今年からプロリーグとしてのスタートを切ったばかり。シドニーFCには、ヨーク(英国プレミア)を除けば、プロ経験の浅い選手ばかり。できたてのAリーグに負けたアルアハリも酷いものだけれど、サッカーにはこういうこともある。
カズがいなければ、アマに毛が生えたようなシドニーFCとスターのいないアルアハリの5位決定戦は、まさに消化試合そのもの。カズがいなければ、関心を示す日本人は皆無に等しかった。当然、チケットも売れないし視聴率も上がらない。しかし、読売Gが総力挙げての「カズ・キャンペーン」が功を奏し、なんとか「感動」とやらを届けることができた。オーストラリアの選手の肩車に乗ったカズの姿をテレビカメラが写せただけで、このイベントは成功というわけ。
話は変わるけれど、読売Gはヴェルディ川崎全盛期のころ、ヴェルディ巨人軍化計画を立案した。読売G系の日本テレビがヴェルディ出場試合の独占放映権を握り、さらに、読売GがもっているありとあらゆるPR手段を使って、ヴェルディを全国区的人気チームに仕立て上げようと図った。読売GはJリーグを私物化し、読売Gがプロ野球で「巨人」をつくりあげたノウハウをサッカーに応用し、「ヴェルディ一極集中」の「プロレスサッカー」を日本に定着させようと図ったのだが、当時の川渕チェアマンの地域密着型Jリーグ構想につぶされた。読売Gの目論みはみごとにはずれ、Jリーグ(サッカー)は、地域(ホーム)をベースとした、健全なプロスポーツとして育ち今日に至っている。
挫折した読売Gはサッカークラブ経営からの撤退を決めたものの、02年W杯日韓共催を控え、サッカー・コンテンツからの全面撤退はまずいという判断が働き、読売Gに代わって、系列の日本テレビがヴェルディの経営を引き継いだ。そのとき、大幅な予算削減、リストラ断行により、当時の大スターで高額契約者のカズ、ラモスらはヴェルディ川崎を追われた、といわれている。
だから、読売Gにはカズを担ぎ出す権利はないはずなのだけれど、そこはプロの世界、シドニーFC行きは、カズにとっても「おいしい話」だったのだろう。自分を追い出した読売Gに義理は“ない”けど、お金は“ある”。
話がまとまらなくなった。なにはともあれ、カズはそれなりの優秀なベテラン選手だけれど、日本サッカーの伝説の選手ではないし、世界レベルの名選手でもない。読売Gが彼をそう呼んで、大会を盛り上げたい気持ちはわかるけれど。
現実は残酷である。この大会、読売Gによって「伝説の名選手」に仕立て上げられ、カリスマに祭り上げられた“カズ”が出場した2試合、重要な1試合目はもちろんのこと、消化試合の2試合目を含めて、カズが得点にからんだシーンは、筆者が確認できた範囲ではたった一回だった。もちろん、無得点。
筆者にとってカズは、好きでも嫌いでもない選手。彼がブラジル→日本→イタリア→クロアチア→オーストラリアと5カ国のリーグを渡り歩いたことは、日本人としては珍しいけれど、日本以外でどれほどの活躍ができたのか筆者は詳しく知らない。各国リーグで、この「カリスマ」はいったい何点取ったというのだろうか。Jリーグでも、ヴェルディ川崎→京都→神戸→横浜FC(J2)と、複数のクラブを渡り歩いてはいるものの、筆者には、全盛期のヴェルディ川崎時代を除いて、他クラブでの活躍の記憶がない。
彼はサッカー選手として、先駆者という役割を果たした功績は讃えられても、世界レベルで優秀なプレイヤーとして評価されることはない。ヒデや小野や松井のように、海外のリーグで1シーズンを通して働いたことがないことが、筆者の評価基準だから。
過去にも未来にも、Jリーグ(日本サッカー)のあるクラブがプロ野球の「巨人」になることはない。サッカーには、「常勝」という伝説・幻想を育む余地がない。どこかが強くなれば、どこか別のクラブが力を蓄えて倒しにくる。その循環があるだけだ。カネの集まるビッグクラブが結果として強豪となるけれど、強豪、ビッグクラブが常に勝つわけではない。弱小チームがコンディションを整えて、ホームでビッグクラブをやぶる楽しみが残されている。それがサッカーなのだ。
読売G、日本テレビが、ラモス監督の下、カズを入団させて「ヴェルディ=巨人軍」の夢を追いたいのならば、それはそれで構わない。しかし、過去の人気やつくられた伝説という虚構に虚構を積み重ねても、強いチームはできてこない。ラモス氏は柏でコーチとして実績を残していない。カズは選手としては全盛期を通り過ぎたどころではない。日本のサッカーファンは優秀だし、サポーターの目はごまかせない。カズやラモスで「一儲け」、というわけにはいかないのだ。読売Gが見ているのは、悪夢でしょう。



2005年12月15日(木) けっきょく、南米と欧州か

世界クラブ選手権第4日は15日、横浜・日産スタジアムで準決勝を行い、欧州王者のリバプール(イングランド)が3−0で北中米カリブ海代表のデポルティボ・サプリサ(コスタリカ)に快勝した。18日の決勝で南米代表のサンパウロ(ブラジル)と対戦する。
サプリサはまったくいいところがなく、欧州のビッグクラブ・リバプールに敗れた。サプリサ守備陣は厳しさがない。リバプールの楽勝だった。
リバプールのFWクラウチ、イングランド代表MFジェラードといった主力選手のいいところばかりが目だった。
きょうで、6大陸6チームが出揃った。本大会だけでクラブの大陸別実力が計れるはずもないのだが、極めて大雑把にいえば、欧州、南米がトップクラス。18日の決勝で回答はでるものの、欧州がややリードか。その下にアジア、北中米、アフリカ、オセアニアという構図だろうか。本大会では3位決定戦、5位決定戦もあるというから、大会が終われば大陸別クラブチームの実力レベルの判断材料の1つが出る。
スポーツジャーナリズムの論調では、6大陸の実力差は縮まりつつあるといわれるが、基本はあまり変わっていない。
今回から6大陸で競い合う世界クラブ選手権大会に拡大されたが、なんだ、決勝はけっきょくのところ南米と欧州か――と嫌味の一つもいいたくなる。
きのうのアルイティハドの善戦ぶりからいえるのは、勝つためのスタイルはプレッシングサッカー。それを支えるのは運動量、スピードなどの強いフィジカルと規律。なんだ、それならJリーグの千葉(オシム監督)ではないか。勝つための戦略は、大陸、国家を問わない。
先日、解雇されたルシェンブルゴに代わってレアルマドリードの監督に就任したロペス・カロ監督はリーガ初陣を飾った試合後、「自らの望む仕事で、自らの望む結果を得ることができた私が、世界で一番幸せな男かどうかは分からない。でも、私は今感じている以上の喜びがほかにそう多くあるとは思わない。選手たちは良いサッカーを構築する3原則をピッチで披露してくれた。チームとして統率されたプレーをし、素早いボール回しによって高いボール保持率を獲得した。このプレー内容に見合うだけのゴール数を挙げられなかったことは課題だが、次節に向けてその課題をクリアするために私たちは仕事をしていく」 と喜びを語ったという。
サッカーを構築する3原則とは、�‥�率されたプレー(規律)、�∩覗瓩ぅ棔璽覯鵑掘淵好圈璽鼻法↓9發ぅ棔璽襯櫂璽奪轡腑鵝宗修箸いΔ海箸�。この3原則を保証するのは強いフィジカルだ。日本サッカーの未来戦略がそこから外れることがあってはならない。



2005年12月14日(水) サンパウロに一日の長

世界クラブ選手権準決勝第1試合は、南米王者のサンパウロ(ブラジル)が3−2でアジア代表のアルイティハド(サウジアラビア)に競り勝ち、18日の決勝に進んだ。
接戦だった。筆者はサンパウロのようなスタイルよりも、アルイティハドの方が好みである。サンパウロに「一日の長があった」としかいいようがない。前半1−1に追いついたアルイティハドは40分前後、勝ち越すチャンスがあった。が、惜しくもゴールに結びつかなかった。アルイティハドは、この時間帯で勝ち越したかった。そして、それ以上にアルイティハドにとって残念だったのは、PKでの失点だった。やってはいけないファウルだった。これが事実上の決勝点になってしまった。
負けたとはいえ、アジア王者のアルイティハドは善戦した。少なくとも、前半終了まではアルイティハドが押していた。サンパウロが勝ったのは、ブラジルという風土でもまれ続けている選手たちの勝負強さ、そして、経験の差だろう。強力なアジア王者に対して、きっちりと結果を出してきた。素人の筆者には、スピード、パワー、規律の面でアルイティハドがサンパウロを上回っていたいるように見えるのだが、終わってみればサンパウロが勝っていた。ブラジルサッカーの「深さ」を見たような気がした。
アジア王者・アルイティハドは、いまのところ、日本のどのクラブよりも強い。そして、ブラジルのサンパウロは、接戦とはいえ、きっちりとアジア王者に勝ってしまう。これが世界サッカーの現実なのだ。何度も当コラムで書いてきたように、日本代表の実力に対する疑問である。W杯予選では、サウジ、韓国、イラン、日本とアジアのベスト4に入ったけれど、この結果は幸運に負った部分があった。勝負に運はつきものだけれど、日本サッカーって、ほんとに強いの?
2006年ドイツ大会はどうにか予選を突破できたが、2010年はどうなのか。アルイティハドとJリーグクラブの現状の差が、2010年まで開くのか縮まるのか――今後のACL(アジアチャンピオンズリーグ)の行方が日本サッカーの未来を占う指標の1つとなっている。ACLにおいて、Jリーグクラブは予選落ちなのだから・・・



2005年12月12日(月) 驚きのアルアハリとアルイテハド

サッカーのクラブ世界一決定戦「FIFAクラブワールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジャパン2005」が11日、東京・国立競技場で開幕した。開幕戦となった1回戦のアジア代表アルイテハド(サウジアラビア)vsアフリカ代表アルアハリ(エジプト)の試合は、1−0でアルイテハドが勝利した。
筆者は、本大会について、正直いってあまり期待していなかった。本大会の前身である南米と欧州のクラブチーム最強決定戦、「トヨタカップ」があまりおもしろくなかったからだ。本大会も「トヨタカップ」を拡大したものにすぎないのではないか、時差ぼけでコンディションの悪いクラブ同士が息を切らしてのレベルの低い戦いになるのではないか、と思っていたのだ。
ところが、初戦のアルアハリとアルイテハドの試合のすばらしさに筆者は、驚嘆した。両チームとも、一言で言うなら「大人のチーム」だった。結果はご覧のとおり、相手GKの一瞬の判断ミスをついたアルイテハドが勝ったけれど、実力伯仲の緊迫した試合だった。両チームともに、よくシェイプアップされていたこと――そのことが、見るに耐えた最大の原因だ。
勝ったアルイテハドはよく組織されているし、パワー、身体能力、スピード、スピリッツ――サッカーのチームとして具備すべきすべての要素において、Jリーグに所属する全クラブチームを上回っている。日本代表はW杯アジア予選で勝ち抜けたけれど、クラブレベルでみると、アジアと日本との実力差は相当あるように思える。
さて、代表チーム同士の試合が必ずしも最高レベルとは限らない。サッカー観戦のポイントをコンビネーションの良し悪し、組織力の高低に置くならば、代表チームよりクラブチームの試合を見るべきなのだ。FIFAはそのことを知っている。W杯がこの先、永遠にサッカー大会の最高の舞台であるはずがないことを。
すでに、欧州ではW杯、欧州選手権よりも、クラブチャンピオンを争う大会に人気が集まっている。欧州では、代表チームよりクラブチームの方が世界のハイレベルの選手が所属している。しかも、ハイレベルの選手が長いリーグ戦を戦うため、チームとして組織化されている。当然、チームの完成度が高い。クラブチームの試合の方が、代表の試合より、レベルは高い。FIFAはだから、クラブチームの世界大会を開催した。その戦略は正しい。世界のサッカーの趨勢は、代表よりクラブなのだ。
クラブ対抗大会の最大のネックは。「開催地」にある。クラブチームの試合においては、ホームとアウエーの関係が勝敗に強い影響を及ぼす。日本という第三国の開催は、本来のクラブチームのあり方を疎外する。大陸別輪番性に開催国を決めるしかないのだろう。
今回の日本開催の大会は、テレビ中継で世界に送られ、大会のおもしろさがグローバルに認識されるに違いない。今大会を起点にして、FIFAが蒔いた種はいずれ大きく花開くだろう。日本のクラブチームがその流れに乗り遅れないことをただただ、祈っている。
きょう(12日)、1回戦第2試合、シドニーFC(オーストラリア)vsデポルティボ・サプリサ(コスタリカ)が豊田スタジアムで行われ、サプリサが三浦知良の所属するシドニーFCを1−0で下した。カズ及びシドニーFCの準決勝進出はなかった。カズの最後(?)の挑戦が終わったのかもしれない。



2005年12月11日(日) 柏は基本の見直しが必要

J1・16位の柏が入れ替え第2戦目に2−6で甲府に大敗(第1戦の1―2と通算で3−8)。J2に降格した。
甲府は前半10分にGKと1対1になったバレーが先制のゴール。その後もバレーはPKを含む6得点と大活躍した。柏は後半にDF永田が2枚目の警告で退場したこともあって守備が崩壊した。
柏が降格した理由はいろいろあるだろうが、入れ替え戦という短期戦を迎えるストラテジーがなっていなかった。柏は混戦のJ1最終節、優勝を争う鹿島にほぼ無抵抗で敗れて日程を終えた。同じ最終節、優勝最短距離のC大阪と対戦したF東京は終了間際に2−2の同点に追いつき、C大阪初優勝の夢を砕いた。優勝の可能性を残す千葉と戦った名古屋も、結果は逆転負けを屈したものの1−0でリードしていた時間の方が長かった。プロならば、最終節に全力を尽くすべきなのだ。
筆者は「運命の日」(2005年12月02日(金) ) と題した当コラムで、最終節の柏が優勝の可能性を残した上位チームと同じくらい重要だというような意味のことを書いた。結果論でいえば、筆者の予言したとおりだった。柏は前述したように、最終節で鹿島に無抵抗、無気力で大敗した。一方の甲府は、J2最終節に首位の京都に競り勝った。サッカーで勝ち続けるためには、勢いが必要だ。「たとえ負けても、自分達のスタイルが貫ければ・・・」と筆者は書いたけれど、柏はそのような戦い方を放棄した。よくいえば「戦力を温存」したともいえるが、結果的には「戦わなかった」のだ。
柏の敗因として、人事面にも触れておかなければいけない。柏は終盤、降格圏脱出を目指してラモス氏(元ヴェルディ他)をコーチに招いた。ラモス氏の役割は、“おとなしい”といわれる柏の若い選手の精神面に活を入れることだといわれた。「戦う姿勢」を注入するとか・・・。ところが、ラモス氏入閣後、柏の成績は向上しなかったばかりか、悪い傾向が現れた。第一は退場者の増大である。データをとっていないけれど、おそらく、退場者が出なかった試合の方が少ないのではないか。入れ替え2戦目、重要な分岐点の1つだけれど、勝敗を左右しかねない時間帯に柏は退場者を出した。この退場で柏の逆転勝利は消えたといってもいいすぎでない。
第二は守備の崩壊、そして第三は危険なプレーの増大である。第二、第三は、退場者と無関係ではないけれど、ボックス近くで相手に決定的なチャンスをつくらせる場面が多すぎるし、危険なタックルも増えた。球際に強いということと、危険なプレーをすることとはまったく違う。
入れ替え戦を見ていても、柏が目指すサッカーのスタイルが見えてこない。主力の欠場ということもあるけれど、若い選手の運動量は多いように思える一方、無駄な走りのようにも思える。
柏がとるべきチーム建て直し策としては、サッカーの基本、チームづくりの基本、スタッフ構成の基本・・・と、とにかく「基本」からやり直すことが重要だと思う。
最後になってしまったけれど、甲府は2試合とも、いいゲームをした。すべてにおいて、J1の柏を上回っていた。とにかく、おめでとうございます。
この試合のヒーローは、1試合6得点のバレー。彼は来季、J1でブレークするかもしれない。エメルソン(元浦和)以上に「化ける」かもしれない。
この日のバレーのシュートはすごかった。彼の右足の照準は、相手DF、相手GKという遮蔽物を外して、ゴールまでの最短距離を飛んでいく。その正確さは、ボーリングの両側のガーターと呼ばれる溝をボールが走り抜けるかのようだった。スライスもフックもカーブもかからない。柏戦は、おそらく「彼の日」だったのだろう。神がバレーの背中に憑いた。一人少ない柏のDFではバレーを止められない。
柏に甲府と戦うストラテジーがあったならば、入れ替え戦の第一試合(柏アウエー)で柏DFはバレーを徹底マークすべきではなかったか。柏にとって、アウエーの戦い方の選択として、0−0の引分もあった。ホームに戻れば、柏には熱狂的なサポーターが待っている。結果論だが、柏は甲府を甘く見ていた、といわれても仕方がない。甲府は、J1経験クラブでない、J1経験者も見あたらない・・・そんな甲府に負けるはずがないと。結果として、初戦に守備のストラテジーを描けなかった。柏の首脳陣は、戦え、戦え、と柏の選手の尻を叩くだけ・・・
ところが、柏はアウエーで甲府に2−1で負けて、柏の自信は焦りに変わった。ホームで早く追いつかなければという意識が強まり、柏の守備は統制を欠き、マンマークの約束事もない(元からないけど)まま、力まかせの攻撃と守備を繰り返しDFの隙間を甲府に突かれた。第一戦でバレーにきついマークをつけていれば、バレーは自由を奪われ、調子を狂わせた可能性もあった。
柏のスタッフが甲府の戦い方を分析したことがあったのか、すら疑問だ。無名の甲府に足元を救われたというよりも、一発勝負のゲームに取り組む基本を忘れていた、といわねばならない。



2005年12月10日(土) ブラジルより、クロアチア

06年W杯ドイツ大会の組合せが決まった。A組=ドイツ、コスタリカ、ポーランド、エクアドル、B組がイングランド、パラグアイ、トリニダード・トバゴ、スウェーデン、C組=アルゼンチン、コートジボワール、セルビア・モンテネグロ、オランダ、D組=メキシコ、イラン、アンゴラ、ポルトガル、E組=イタリア、ガーナ、米国、チェコ、F組=ブラジル、クロアチア、オーストラリア、日本、G組=フランス、スイス、韓国、トーゴ、H組=スペイン、ウクライナ、チュニジア、サウジ、だ。
日本は、シード国の中から最強の1つ、ブラジルを引き当てたけれど、アジアに加盟することが決まっているオーストラリア(豪)と同組になったので、アフリカ勢との対戦を免れた分、幸運ともいえる。もっとも恵まれた組に入った。その豪代表監督は、日韓大会で韓国を率いたヒディングだ。ヒディングはオランダPSV監督と豪の代表監督を兼任している。彼は超人的で、南米とのPOでは二束のわらじをまったく苦にしなかった。
さて、日本は幸いにも、初戦豪、二戦目クロアチア、三戦目ブラジルとなった。日本が決勝トーナメント(T)に進めるシナリオは、初戦の豪に勝ち(ブラジルがクロアチアに勝ち)、二戦目、クロアチアに引き分け(ブラジルが豪に勝つ)、第三戦目、決勝を決めたブラジルが気が抜けた状態でメンバーを落としてきて、日本が引き分けられる可能性が高くなった場合で、そのときはじめて勝点5の可能性が高まる(「シナリオ1)。豪は日本、ブラジル、クロアチアに負けて勝点0。クロアチアがブラジルに負け、日本に引き分け、豪に勝って勝点4にとどまる。最終戦、決勝Tを決めたブラジルが、ジーコのために本気を出さない?!
難敵はクロアチアで、日本はW杯初出場のフランス大会(98年)の予選でアルゼンチンに負けた後の第二戦で対戦し、0−1で負けている。
「シナリオ2」は、ブラジルがクロアチアに負けた場合で、「シナリオ1」のブラジルとクロアチアが反転する立場に立つので、ブラジルが必死で豪、日本をやぶりにかかる。日本の勝点はクロアチア、ブラジルに負けて勝点3、クロアチアに引分けて4まで。クロアチアは6〜7、ブラジルが6、豪が0となる可能性が高く、苦戦を免れない。
「シナリオ3」は、クロアチアとブラジルが引分けた場合で、日本が1試合目で首位に立つので、両国共に豪と日本に勝ちにくるので、かなりやっかい。決勝Tの可能性は最も低いだろう。
筆者は「シナリオ1」となった場合以外、日本が決勝Tに進める可能性は低いと予想する。もちろん、豪がブラジル、クロアチアに勝ったり引分ける可能性もあるが、いまはそこまで、考えない。
ついでに、各組の勝ち残りを予想しておこう。もっとも難しいのがA組で、開催国のドイツの1位通過はやさしいのだが、2位がわからない。とりあえず、コスタリカにしておこう。B組はイングランド、スウェーデン、C組は「死のグループ」らしいが、順当にアルゼンチン、オランダにしておく。D組はメキシコ、ポルトガル、E組も「死のグループ」で迷うところ。イタリア、そして、大穴でガーナか。F組はブラジル、クロアチア、G組はスイス、韓国。フランスとスイスは予選同組で手の内を知り尽くしている相手同士。スイスにフランスは勝っていない。POでトルコを破ったたスイスに分があると見た。H組はスペインとウクライナ。
ガーナをのぞいたアフリカ勢を落としたけれど、実力未知数という部分もあるが、ガーナ以外の本大会出場国には、かつてのカメルーン、セネガル、ナイジェリアのようなパワーはないと見た。



2005年12月05日(月) 越後氏に敢えて反論

予定を変えて、Nikkan Sports.comに発表された、S越後氏の「“混戦”ではなくレベル低い“だんご”」に敢えて反論したい。越後氏は今季のJリーグでG大阪が優勝した主因について、“質のいい外国人選手が年間通じて活躍した”ことを挙げていた。確かにそのとおりだと思う。だが、リーグ戦で外国人選手が活躍したことが、その国のリーグのレベルの高低となる指標なのだろうか。欧州各国のリーグにおいて外国人が活躍しないところはない。スペインリーグのバルセロナ、レアルマドリード等の中心選手はスペイン人ばかりではないし、英国プレミアもしかり、ドイツブンデスリーガもそうだ。たとえば、バルセロナの進撃はブラジル人のロナウジーニョ、カメルーン人のエトゥらに負うところが大きい。マドリードには英国人のベッカム、フランス人のジダンらがいる。
重要なのは、リーグに所属するクラブチームが、その国の国籍をもつ選手で構成されていることではない。国内選手・外国人を含めて切磋琢磨することによりリーグ戦の試合の質を高め、クラブチームのレベルを高めることではないか。代表選手を鍛える場所は、リーグ戦しかない。そこでクラブチーム同士が真剣に戦うこと以外にない。
筆者は今季のJリーグが混戦(だんご状態)に終わったことは、偶然だと思っている。こんなシーズンが毎年続くとは思わない。それと同時に、Jリーグが完璧だとも思っていない。リーグの歴史は短いし、欧州の一部の国のリーグのように、世界的名選手が集まっているわけではない。
ところで、Jリーグのレベルを計る次のような事例がある。先日、TVでブラジルサッカーの中継を見ていたら、かつてF東京に所属していたケリー選手が、ブラジルの名門クラブチームで10番をつけていた。ケリー選手のレベルが低いとは言わないが、Jリーグで縦横無尽の活躍をした選手だったという印象もない。ブラジルに戻ってケリー選手が急激に実力を高めたとも思えない。つまり、ケリー選手が帰国後にすぐ10番をつけたということは、Jリーグが越後氏の思っているほど、レベルの低いリーグでないことを示しているのではないか。
筆者は、Jリーグに発展の芽が出ていること、その芽を大事に育てる時期がきていることを確信している。そして、発展の芽を出したのは、Jリーグの選手たちが1試合、1試合を一生懸命に戦った結果だと思っている。その一方で、いまの日本代表のすべての選手が質の高い選手で構成されていると思っていないし、すべての日本代表の試合がそうだとは言わないが、「質の高い」選手の手抜きプレー、気持ちの入っていないプレーを見るよりは、越後氏から「質の低い」と言われたJリーグにおいて、Jリーガーが、真剣にひたむきに戦う試合のほうが面白いと思っている。筆者には、越後氏が今季のJリーグを「レベルの低い“だんご”」と揶揄する気持ちが理解できない。Jリーグを通じて、日本人、外国人が真剣に競い合い、日本サッカーのレベルアップを図っていくことを祈念している。



2005年12月04日(日) 今季Jリーグを振り返る

今季開始前、2005年03月04日(金) 「恒例順位予想」にて、筆者が予想した順位は以下のとおり。
優勝=�\虱奸↓�浦和、�2I諭↓づ豕�V、�ィ蚤膾紂↓�鹿島、��磐田、��名古屋、��F東京、��新潟、��神戸、��清水、��大分、��広島、��川崎、�闇陝↓隠誕膾紂↓佳腟棔�
まったくの大外れ。優勝したG大阪を5位としたのか・・・浦和の2位は大当たり。あとは全然。とりわけ、降格した神戸、東京Vをそれぞれ、11位、4位としたことは反省しなければいけない。また、最後まで優勝争いに残ったC大阪が17位の降格と予想してしまった。C大阪さま、すいません。
筆者は今季Jリーグの優勝をあえて千葉と予想したが結果は4位。リーグ戦開始前、千葉の主力選手、茶野、村井、チェ(京都にレンタル中)が磐田に引き抜かれたとき、報道では降格候補と呼ばれたことを考えると、ナビスコ優勝とともに立派な成績といえる。対戦成績をみると、優勝したG大阪に2勝、2位浦和には1勝1分と負けていないが、3位鹿島に1分1敗、土壇場で優勝を逃して5位に転落したC大阪に2敗、下位の横浜に1敗1分と勝てなかったことが優勝を逃した主因だろう。
千葉は負け数7でG大阪の10より少ないものの、勝数が16でG大阪の18を下回った。引分導入・勝点制度においては、勝利(勝点3)を上げなければ優勝できないことが実証されている。このことは、最終節まで優勝を争った2位〜5位のチームに共通する。
G大阪が辛うじて優勝できた主因は、アラウージョ、大黒、フェルナンジーニョの圧倒的な攻撃力にあり、得点数82(千葉56)、失点数58(千葉42)がそのことを如実に物語っている。千葉は攻守のバランスは良いが、得点力はない。得点王のアラウージョが33得点、大黒16得点と通算得点ランキング(ベスト10)に同一チームから二人も出ている。そんなチームは、ほかにない。ベスト10には千葉の選手が見当たらない。
今季のJリーグは、アラウージョにいいように暴れまくられた感がないわけではない。G大阪は千葉と大宮に2試合負けている。千葉、大宮は厳しい守備、とりわけ、マンツーマンディフェンスを敷いている。他クラブがもうちょっと厳しい守備でアラウージョに対応していれば・・・という気がしないでもない。Jリーグ全体にいえる守備の甘さが気になるところだ。
C大阪の健闘は筆者の想像を超えたものだった。ファビーニョ、ゼカルロス、ブルーノクアトロスの補強ブラジル人3人の働きが想像以上だったし、森島、西沢のベテランの健闘も光った。C大阪は序盤、早々と降格決定した最弱・神戸に取りこぼしたことが最後まで響いた可能性が高い。
先行逃げ切りかと思われた鹿島が終盤、G大阪、C大阪に抜かれ、最終節で3位に終わったのは驚きだ。小笠原、本山の日本代表、元代表のFW鈴木、曽ケ端、大岩らを擁し、深井、野沢、岩政らも成長した。選手層の厚さからみて、優勝はまちがいないと思われたが、小笠原が移籍問題とケガで戦線離脱してみると、小笠原の代替が利かないことが判明した。選手層を判断する難しさ、いってみればチーム・選手構成の難しさを鹿島の3位が証明している。いい選手がいくらいても足らないということはない――のかもしれないが、運営費とのバランスもある。
あのときこうしていたら、どうしたら・・・というのは死んだ児の歳を数えるようなものなので、やめにする。次回は、Jリーグのアキレス腱ともいえる審判問題などについてまとめたい。



2005年12月03日(土) ガンバ、涙の優勝(速報)

とにかく、おめでとうございます、G大阪。決定の瞬間、宮本が泣いた、選手のだれもが涙涙。西野監督も泣いていた。
筆者はC大阪とF東京の中継を見ていたのだが、試合終了直前、C大阪はF東京に同点とされ、C大阪は手中にしたかにみえた優勝カップを逃した。テレビ中継がG大阪vs川崎に切り替わり、G大阪の勝利とともにC大阪はTV画面から消えた。川崎もG大阪を苦しめたようだが、G大阪の攻撃力に屈した。
残り2チームの浦和、鹿島も順当に勝ったため、千葉が最終戦、名古屋に逆転勝ちしたにもかかわらず、昨日、筆者が描いた千葉優勝の夢想は儚く消えた。奇跡(=千葉優勝)は起こらなかったけれど、Jリーグがこんなにも盛り上がり、白熱した試合が増え、選手の技術が日に日に高くなっていくことが喜ばしい。
リーグ戦が盛り上がった理由は、当コラムで繰り返してきたとおり、1シーズン制、90分・引分導入、勝点制度を導入したからだ。90分で勝つことの難しさ、負けないこと、そして、勝利の価値の重さが実感できたと思う。過去、前後期制度で優勝を重ねたきた、鹿島、磐田、横浜が1シーズン制で優勝できなかったことは、前後期制度では、真に強いチームを決する制度でなかったことを象徴している。
もちろん、5チームが最終節まで優勝の可能性を残すという事態がそうあるわけはない。混戦の主因として、変則的なリーグ日程とリーグ序盤のACL予選開催による過密日程を挙げなければいけない。前者は、日本のサッカーが代表偏重のため、クラブが被害を被った。来年がW杯開催だったため、アジア予選の開催も日程に影響を与えた。後者は、ACL予選に出場した、強豪の横浜、磐田に影響を与え、序盤鹿島の独走を許した。
筆者は日本代表の退屈な親善試合より、白熱したリーグ戦の方がはるかに面白いと思っている。だから、海外組と称して、試合に出ないで、海外リーグに「遊学」している選手が代表に選ばれることを快く思っていない。遊学している選手より、働いている選手が代表に選ばれるべきだ。日本人選手で得点王になった広島の佐藤(寿)が代表FWに選ばれない理由はない。



2005年12月02日(金) 運命の日

明日はJリーグ最終日。そして、優勝の可能性を残す5チーム――1位C大阪(58)、2位G大阪(57)、3位浦和(56)、4位鹿島(56)、5位千葉(56)(3〜5位は得失点差)のどこかに栄冠は輝く。( )内は勝点。
優勝の可能性が最も低いのは千葉。千葉が優勝するためには、上位4チームのすべてが勝点3を上げられない場合に限るからだ。C大阪、G大阪、浦和、鹿島のどこかが勝てば、千葉が勝っても優勝はない。
最終日の対戦カードに味がある。1位C大阪(H)はF東京(10位)、2位G大阪(A)は川崎(6位)、3位浦和(A)は新潟(12位)、4位鹿島(H)は柏(16位)、5位千葉(H)は名古屋(14位)となっている。柏がJ2・3位と対戦を控えている以外の4チームに降格はなく、最終戦に勝っても負けても、チームに与える影響は少ない。
この組合せを見れば、順当にいけば、優勝にからむ上位5チームが勝つ。つまり、勝点トップのC大阪が優勝するはずだ。が、サッカーに限らず、勝負はやってみなければわからない。なかんずくサッカーは「世紀の番狂わせ」に事欠かない。筆者には、1996年の米国五輪で「マイアミの奇跡」と呼ばれた、ブラジルvs日本の記憶が鮮明に残っている。日本がブラジルに1−0で勝ったのだ。そのときの五輪日本代表監督は、いまG大阪の西野だった。そしていま、西野が率いるG大阪は、序盤からトップを走っていた鹿島を圧倒的な攻撃力でとらえそのまま優勝するかと思われた。ところが、終盤にきて調子を落とし、今季Jリーグの混戦に巻き込まれ、C大阪に抜かれて2位に退いた。G大阪が最終戦で逆転優勝するためには、自ら勝利しC大阪が勝てなかった場合に限る。
さて、優勝の可能性を残した上位チームと戦う下位チームのモチベーションはどうなのだろうか。筆者にはこうした経験がないのでわからない。スポーツコメンテーター諸氏の話を聞くと、リラックスして戦えるので、実力どおりの試合ができるという見方が一般的だ。その一方、緊張がない分、のらない可能性もある。そんなことを頭に置きながら、対戦結果を占ってみよう。
(1)鹿島0―0柏
下位5チームの中、柏の選手の精神状態だけが特別だ。柏だけが、J2・3位との入れ替え戦2試合を控えているからだ。柏が鹿島に簡単に負ければ、その戦いに影響が出る。負けても自分達の戦いのスタイルを貫ければ、次につながる。だから、鹿島は柏に苦戦するので、引分けの可能性が高い。
(2)新潟2―1浦和
反町監督の退任決定後のホーム最終戦。新潟の選手のモチベーションは高い。新潟ホームのサポーターと、逆転Vを信ずる埼玉から乗り込んだ浦和サポーターの応援合戦でスタジアムはヒートアップ。精神力の戦いになると思うのだが、苦労人集団の新潟が優等生の浦和に競り勝ち、超満員の両チームサポーターの前で浦和に引導を渡す。
(3)G大阪1−1川崎
ここのところ勝てないG大阪が、最終戦まで勝ちきれないまま、リーグ戦を終える。遠藤(G大阪)のFKで先制するも、アラウージョ(G大阪)が不発で追加点を奪えず、川崎のジョーニーニョに決められ痛恨のドロー。
(4)C大阪1―2F東京
退任が決まった原監督に花道をと、F東京の全選手が激しいプレスでC大阪を圧倒する。F東京の左サイド・鈴木が大暴れして絶妙クロスを連発。好調のFW阿部が2発決めて、C大阪は完敗する。なんとなく負けなかったC大阪の強運もここで尽きる。
(5)千葉2―0名古屋
試合開始から引き気味の名古屋。ホーム千葉に自由にボールを回されて完敗。監督の途中交替などで結束力のない名古屋は、千葉の運動量についていけない。満員のフクアリで千葉が奇跡の優勝!
2005年12月3日、運命の日、もっとも優勝の可能性の低いはずの千葉だけが勝って逆転優勝。後世の人は、Jリーグ2005年シーズンを「奇跡のシーズン」と呼び、この日の出来事を「12.3」を記憶にとどめるに違いない。
と、筆者の想像、夢想は続く。筆者は実はシーズン前、当コラムにて千葉の優勝を予言した。だから、そうなってほしい。


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