掌を返したとはこのことか。これまで「ジーコ礼賛」一辺倒だった大新聞が、こんどは「オシム礼賛」に鞍替えした。筆者のサッカー観からすれば、ジーコ礼賛者がオシム支持にまわることは絶対にあり得ない。日本の大新聞のスポーツ欄の現状は、鬼畜米英から、米国解放軍大歓迎に転向した戦後と変わらない。スポーツジャーナリストに己のサッカー観がないものだから、海外の代表監督を無条件で信仰してしまう。辛口サッカー解説者・越後氏は、日本の代表監督選びを「ブランド志向」だと看破したが、まったくそのとおりだ。「ブランド志向」「ブランド信仰」を支えるのが、大新聞からスポーツ専門誌による礼賛記事の氾濫か。ドイツ大会までは、「自由」「自主性」「個人」だといってきたスポーツライターが、今度は「『オシム語録』に感激した」「情熱の人だ」とオシムを崇め奉る。大本営発表からGHQ発表に代わったかのようだ。 オシムを支持するのなら、ジーコ在任中にジーコを批判してオシム支持を表明してほしかった。ジーコ礼賛を反省しないのならば、オシム就任に反対してほしい。それが筋というものだ。 オシムは監督業のプロだから、多分同業者批判はしないだろう。だから、あからさまな「ジーコ批判」はしないと思う。そこで、オシムとジーコは同じ路線だ、なんていう論理構成は、シロをクロというようなものだろう。 大新聞ばかりではない。肝心の日本サッカー協会は、オシムを選ぶ理由をどう理論付けるのか。そもそも、トルシエが限界だからジーコだったはずだ。トルシエがだめな根拠は、ジーコのトルシエ批判に基づいていたはずだ。ならば、今度はどうなるのだ。頭の悪い筆者には、トルシエ〜ジーコ〜オシムのサッカー理論における三者の関係が理解できない。トルシエはだめ、ジーコもだめ、いいのはオシムということか。サッカー協会に論理性が備わらない限り、日本代表監督選びは、海外ブランドを買い漁る「日本版セレブ」と同じレベルにとどまる。4年後、「オシム」は渋すぎたので、こんどは派手目の「ベンゲル」にするワ、なんてことになりかねない。 さて、「俄かオシム信者」は誤解をしていると思うので、頭の整理をしておこう。選手を鍛えるのはJリーグ等を構成するクラブチーム。オシムジャパンが誕生しても、才能ある選手を代表チームとして純粋培養するわけではない。代表とは、クラブから選手を借りるもの。オシムが代表監督になったからといって、彼が千葉の監督として、巻、阿部、坂本、羽生らを鍛えて一人前にしたような仕事をするわけではない。オシムはJリーグや海外リーグに所属する選手の中から自分の戦略戦術に合致する者を選び、短期間にチームにまとめる役割を担う。代表練習において、代表選手を死ぬほど走らせるわけではない。 言うまでもなく、代表は完成品を扱うのであって、基礎練習を繰り返す時間などない。代表選手は諸々の条件により流動的なのが普通だ。繰り返せば、所与の条件下で戦えるチームをつくるのが代表監督の仕事だ。代表監督は、世界中のクラブと調整をしながら、代表チームを形成する。それが代表監督の宿命だ。代表監督は極めて専門職であるため、経験が重要になる。特殊なスキルを売るのが代表監督業であり、オシムはそれができる者の一人であって、ジーコはそれができる者の一人ではない――というのが筆者の代表監督論の基本になる。 だから、オシムはジーコ後任の適任者の一人なのだ。いま、慌ててオシム、オシムと急ぐのは、ジーコを代表監督に起用してドイツで惨敗した川淵キャプテンが自らの責任を回避するための方策の臭いがする。筆者は当コラムでオシムを代表監督に強く押していたので、オシムジャパンが実現してほしいとは思うけれど、いまの川淵キャプテンのやり方は異常と思える。十分時間をかけて吟味した結果なのかどうか・・・ オシム礼賛記事を撒き散らすのは某大新聞のスポーツ欄だ。この大新聞と川淵キャプテンの間には、異常とも思える強い絆があるように思える。某大新聞のスポーツ欄と川淵キャプテンは一心同体?某大新聞は川淵キャプテンの広報紙?某大新聞はあくまでも川淵を守るということか?
| 2006年06月25日(日) |
ジーコ擁護者はまず自己批判を |
不思議な人事だ。オシム就任は、ジーコの4年間が停滞だったことの証明だ。時計の針は4年前まで戻った。つまり、一から出直しではなく、マイナス4年からスタートということになる。 オシムのサッカーがジーコの対極にあることは、筆者のような素人にもわかる。選手を公平にみる。序列など存在しない。コンディションが悪い選手は使わない。チーム戦術に従わない選手は、ネームバリューが高くてもベンチに入れない。基本は「走る」サッカーだ。リスクを恐れず、攻撃を重視する。体力を必要とするマンツーマンで守る。伸び盛りの若手をチーム力に加味する・・・数え上げればきりがないくらい、両者の相違点は挙げられる。 最も好ましいのは、オシム代表監督の下では、マスコミが好きな「自由」対「規律」だとか「個人」対「組織」だとかいう観念的なサッカー論が消え去ることだ。勝つ条件としては、個人が優れていることは当たり前。でもナショナルチームでスーパーマンばかりが集まるはずがない。普段はクラブに所属する選手を短期間でチームにまとめ、戦力を高めること――それが代表監督の仕事だ。海外組が多くなったから代表チームがまとめにくくなった・・・なんて寝言は間違っても言うべきでない。W杯出場国で海外組のいないところなど存在しない。どこの国の代表でも、海外に散った代表選手を短期間で1つのチームに仕上げる。それが代表監督に求められる手腕の1つだ。 筆者はジーコ退任=川淵退任だと書いた。ジーコとオシムは基本的に同じ方向にある、なんて強弁は許されない。川淵キャプテンはまずもって、4年前のジーコ就任の誤りを認め、その路線を清算し、時計の針を4年前に戻し、自らの非を謝罪してから出直すという自己批判精神がなければ、トップの頽廃というものだ。 ジーコからオシムが、川淵キャプテンの政治性の現れであることが悲しい。川淵キャプテンは、ジーコ批判の火の粉が自分に降りかかる前に、だれもが納得するオシムを代表監督にもってきた。川淵キャプテンの自己保身の素早さよ。時間がたてばたつほどジーコ批判が過熱し、川淵キャプテンに責任追求が及ぶ。そういう流れを封じ込むために代表監督選びを急いだ。 責任は川淵キャプテンにあるだけではない。ジーコを擁護し、ジーコを賞賛したマスコミも反省してほしい。オシム就任を機に、ジーコの目指したサッカーは正しかった、なんて主張するマスコミやスポーツジャーナリスト、「自由」や「個性」が大好きな生半可な「知識人」は一掃される。サッカーと無関係な観念論が消滅し、純粋にスポーツとしてのサッカーを論じ合うようになれれば、これにこしたことはない。マスコミ報道が正常化すれば、代表が強くなることはあっても弱くなることはない。
(1)ベスト16 予選リーグ勝敗と順位は下記の通り。 欧州以外では、エクアドル、アルゼンチン、メキシコ、ガーナ、ブラジル、オーストラリアの6カ国が残ったので、ベスト16のうち10カ国を欧州がとったことになる。アジアが全滅でアフリカは1カ国。オセアニアのオーストラリアが次回からアジアにまわるので、アジアが1枠を占めたともいえなくもないが、世界の現実は厳しいものだ。 筆者の予想(2005年12月10日付「 ブラジルより、クロアチア」)と比較すると、A組のエクアドルを外した。2位におしたコスタリカが最下位とは・・・。死のグループC組、E組は予想通り。とりわけ、E組のガーナを当てたのは我ながら上出来。チェコは主力の年齢が高すぎたのでない、と思っていた。F組の豪州は筆者にとって予想外。クロアチアのできが予想を越えて悪かった。G組の韓国は残念。本来ならばフランス、スイスが妥当なのだが、期待をこめて敢えて韓国をおしたのだが、結果はとどかなかった。 今回はサプライズがない。きわめて妥当な結果だ。ランキング2位のチェコの敗退は、筆者にとっては驚きではない。むしろ、クロアチアを抜いた豪州のほうが驚きだ。ヒディングマジックか・・・ W杯の楽しみは、筆者一押しのスイスが決勝Tのどこまで進めるかだ。スイスのような好チームは、是非ベスト4に残ってほしい。 ガンバレ、スイス!
グループ別勝敗表(左から順位) A組=ドイツ○○○、エクアドル○○●、ポーランド●●○、コスタリカ●●● B組=イングランド○○△、スウェーデン△○△、パラグアイ●●○、トリニダード・トバゴ△●● C組=アルゼンチン○○△、オランダ○○△、コートジボワール●●○、セルビア・モンテネグロ●●●、 D組=ポルトガル○○○、メキシコ○△●、アンゴラ●△△、イラン●●△、 E組=イタリア○△○、ガーナ●○○、チェコ○●●、米国●△● F組=ブラジル○○○、オーストラリア○●△、クロアチア●△△、日本●△● G組=スイス△○○、フランス△△○、韓国○△●、トーゴ●●● H組=スペイン○○○、ウクライナ●○○、チュニジア△●●、サウジ△●●
(2)決勝T予想 ベスト8=ドイツ○:スウェーデン●、アルゼンチン○:メキシコ●、イタリア○:豪州●、スイス○:ウクライナ● 準々決勝=ドイツ○:アルゼンチン●、イタリア●:スイス○ 準決勝=ドイツ○:スイス●(ドイツ決勝進出)
ベスト8=イングランド○:エクアドル●、ポルトガル●:オランダ○、ブラジル○:ガーナ●、スペイン○:フランス● 準々決勝=イングランド●:オランダ○、ブラジル○:スペイン● 準決勝=オランダ●:ブラジル○(ブラジル決勝進出) 決勝=ドイツ●:ブラジル○=ブラジルが優勝 でしょうか。
| 2006年06月23日(金) |
日本、ブラジルに大敗 |
ブラジルが実力どおり、日本に完勝した。試合展開等の記述は省略する。日本が勝てる相手ではなかった。 日本代表は負けるべくして負けた。予選リーグ突破はない、と筆者は当コラムで書いてきたので、結果については当然のことと受け止めている。筆者のコラムは予選で敗退したからそれを批判する、というスタンスではない。ドイツでの予選敗退は、いまからおよそ4年前、日本サッカー協会がジーコを代表監督に就任させたことに端を発する。筆者は当コラムにおいて、ジーコジャパンの批判を繰り返ししてきた。今回はその総括となるのだが、内容はこれまでの繰り返しになってしまう。新鮮味に欠けるが仕方ない。
●ドイツにおける失敗 (1)危機管理の欠如 日本代表メンバーを改めてみてみよう。 GK(3):土肥洋一(F東京)・川口能活(磐田)・楢崎正剛(名古屋) DF(8):田中誠(磐田)⇒茂庭(F東京)・宮本恒靖(G大阪)・加地亮(G大阪)・三都 主(浦和)・坪井慶介(浦和)・中澤佑二(横浜)・駒野友一(広島)・中田浩二(バーゼル) MF(7):福西崇史(磐田)・小笠原満男(鹿島)・小野伸二(浦和)・中田英寿(ボルト ン)・中村俊輔(セルティック)・稲本潤一(ウェスト・ブロムウィッチ)・遠藤保仁(G大阪) FW(5):玉田圭司(名古屋)・柳沢敦(鹿島)・高原直泰(ハンブルガーSV)・大黒将志(グルノーブル)・巻誠一郎(千葉) 日本が3バックを採用する可能性があるのなら、DFは6名選ぶべきだった。予選では2枚イエローをもらえば試合に出られない。ケガや故障もあるだろう。だが、ジーコは専門のDFとして、田中(ケガで茂庭に交代)、宮本、坪井、中澤の4人を選らんだ。中田浩がボランチと兼任だから、彼を入れて5人。田中がケガで帰国し、茂庭が補充で呼ばれたが、茂庭は休暇でハワイ旅行中だったというから、使えるDFは3人だ。豪州戦、坪井が試合途中で退場し交代で出てきた茂庭には、ゲームに集中する力はなかった。DFの交代要員がいない。ジーコ監督の危機管理を問題にしていい。しかも、豪州戦、坪井がケガをしてセンターバックが宮本、中澤、茂庭となり、その後、交代の茂庭を引っ込めて大黒が出た。3人しか交代できないのがサッカー。交代選手をさらに交代させてしまっては、カードの無駄使いだ。 (2)選手の能力把握ができない ジーコは、宮本の能力、適性を考えていない。彼はリベロだが、身体的に4バックのCBには向いていない。彼は3バックの中央に位置して、ラインコントロールをする能力があるという。彼は前にスペースがあれば、ドリブルで進むことができる。精度の高いロングボールを蹴ることもできる。しかし、4バックで両サイドが上がったとき、相手のカウンターを食い止める力は劣る。ボックス内の混戦で攻撃に来る相手を力で跳ね返す力はないし、高いクロスに競り合う力もない。クロアチア戦、宮本はボックス内で相手を倒しPKをとられたシーンがそのことを象徴する。PKは川口が止めたけれど、相手にPKを与えて負けなかったのは幸運だった。 4バックと3バックの併用は、口で言うほどやさしくない。ジーコジャパンの場合、その選択は極めて大雑把で、基本形が3バックで、リードされた場合や、危機的状況では、開き直って4バックでいくということか。 攻撃面では、ジーコのFW柳沢へのこだわりを問題にしたい。筆者は柳沢の選考は「鹿島枠」だといってきた。筆者の見解では、柳沢はFWに向いていない。イタリアでは、中盤の右サイドに起用されたことがあった。イタリアのクラブは、彼のFWとしての能力に疑問を抱いていたようだ。その柳沢を豪州戦ではほぼ80分近く、クロアチア戦でも60分以上使い続けた。クロアチア戦では、決定的チャンスにシュートをインサイドで打たなかったことが批判されている。柳沢がFWとしての資質に欠けることは当コラムで書いた。しかも、彼は故障上がりだった。短期間のリハビリで完治したと言われたが、もちろん、筆者は信じていなかった。柳沢に代わって、もっと走れるFWを起用していれば、豪州戦、クロアチア戦の結果は違っていた。 筆者は強化試合のドイツ戦後、高原は調子の波が激しい選手だ、と書いた。だから、ドイツ戦を忘れて本戦に入れ、と書いた。ジーコは選手の資質、個々の選手の調子の波、コンディションの波を理解していない。その理由は、ジーコに監督経験がないからだ。泥臭いリーグ戦の勝ち負けの世界を経験していないからだ。ドイツ大会における日本代表は、選手の経験が監督の経験を上回っていた。だから、豪州戦の不可解なジーコ采配により、チームは崩壊し9分間で3点も取られて惨敗した。
●強力な「トルシエの呪縛」 (1)選手交代のためらい 私たちは豪州戦において、ジーコにかけられた「トルシエの呪縛」を思い出した。「トルシエの呪縛」については何度も、当コラムで書いた。まさか、呪いがドイツまでとどくとは・・・ 「トルシエの呪縛」とは、裏を返せば、ジーコのトルシエ批判に始まる。4年前の日韓大会、トルシエが決勝トーナメントのトルコ戦、予選リーグ突破を果たしたメンバーの一部を入れ替えて臨んで負けたとき、ジーコは、このトルシエ采配を厳しく批判した。「いい流れのときは、選手を代えてはいけない」と。 これをもって、ジーコは試合の流れを読まなくなった。いや、もともと、ジーコに試合の流れを読む経験がないのかもしれない。ジーコには4年前、トルシエ批判に基づいた「選手は代えない」という信念だけが残った。 (2)危険な4バック さて、豪州に負けた次のクロアチア戦、4バックにシステム変更をした。初戦は「フラット3」というトルシエのシステムで負けたのだから、ジーコ流の4バックで勝ちにいくというのだ。しかし、日本には有力なSBが育っていない。加地はいいサイドの選手だけれど、世界レベルではない。三都主のSBとしての能力は、日本の高校生程度だろう。クロアチア戦は、今年はじめの米国との親善試合の二の舞になった。クロアチアの攻撃は日本の左サイドに集中していた。これだけ攻められながら無得点で抑えられたのは幸運だとしか言いようがないのだが・・・日本は3バック、4バック両方できる、という評価があるようだが、筆者は、日本の4バック採用は極めて危険だと思っている。現にブラジルには4点取られた。 (3)俊輔への過剰な期待 クロアチア戦から、ジーコは4バックの採用とともに、中盤に小笠原を入れた。小笠原の起用は、俊輔の偏重に対応している。あくまでも俊輔を攻撃の核と考えるジーコは、中盤をボックス型で組んだ。中盤のフォーメーションを後から追うと、ヒデ・福西(稲本と交代)の2ボランチ、2列目は、右に俊輔、左に小笠原だ。攻撃の核であり、ジーコジャパンを象徴する俊輔は4年前、トルシエが代表から落とした選手だ。俊輔がドイツで活躍すれば、ジーコはトルシエを凌駕できる。これも、「トルシエの呪縛」の1つにほかならない。 豪州戦、クロアチア戦、俊輔は役割を果たしたと見るのか、それともダメだったと見るのか。筆者はもちろん後者だ。クロアチア戦の試合後、ヒデは「攻撃に緩急がなかった」と発言した。この発言から、ヒデが俊輔に対して、リケルメ(アルゼンチン)のようなキープと速攻の選択を期待していたことがうかがえる。 (4)トルシエの遺産を食い潰す 4年前、トルシエを批判して、日本代表監督におさまったジーコは、戦術面で、�〜�手交代のこだわり、�■乾丱奪�導入、��俊輔の偏重――という3つの柱を打ち出した。これらの戦術は、あくまでも、トルシエとの違いを鮮明にしたいという、ジーコの願望の現れだった。自分はトルシエとは違う、トルシエより優れた監督なのだと。だが、それは日本代表の目指すべき方向ではなかった。 ジーコは、トルシエの遺産でW杯アジア予選を突破した。そして、本番の豪州戦、ブラジル戦では大量失点で惨敗し、クロアチア戦では相手のミスに助けられて引き分けた。トルシエが指揮をとっていたとしたら、日本は豪州に負けなかった可能性が高い。トルシエならば、もっとましな選手起用、選手交代をしただろう。 ジーコが試合中の選手交代について素人であることを実証したのが、豪州戦後半34分、リードしている局面でFW柳沢を引っ込めてMF小野を入れた場面だった。ジーコの頭によぎったのは、「黄金の中盤」か。ヒデ、俊輔、小野、稲本の海外組を一度に使って、中盤が肥大化してサッカーができなくなった親善試合を記憶している人も多いと思う。大事な本番で、それをやってしまったのだ。
●「自由」という幻想―矛盾だらけのジーコの「自由」 ジーコは、戦略面では、�ー�主性、�∩和だ�、�A�手の個性尊重―を打ち出した。トルシエの<規律(組織)>に対して、<自由>を標榜した。ジーコのこのスローガンに、日本のマスコミが飛びついた。 ジーコのいう「自由」は、日本国が規制緩和、新自由主義経済を打ち出した状況に同調していた。ジーコが掲げた「自由」は、経済活動を自由にして市場に委ねれば何もかもうまくいくという、日本の政治家・経済人・マスコミの経済論調とシンクロしていた。しかし、小泉改革が進めた日本の新市場主義経済は暴虐を極め、格差社会を生み出した。技術革新よりも、一握りの巨大ファンドに暴利をもたらす結果を招いた。市場のルールは軽視され、カネがカネを生むマネーゲームを増長させた。カジノ資本主義だ。 そして今日、ジーコ流及び新自由主義経済という、2つの「自由」が崩壊した。規律のないサッカーなど存在しない。規制や倫理規程のない経済行為が存在しないように。
●ジーコ批判=川淵批判 (1)専門職としての監督の起用を 当コラムは、ジーコが日本代表監督に就任して以来ずっと、ジーコ批判を繰り返してきた。そして、その批判は本日の日本代表の予選リーグ敗退をもって終了する。もちろん、筆者にはジーコに恨みがあるわけがない。 筆者のジーコ批判の根底には、監督経験のない人物を代表監督にしてしまう日本サッカー協会に対する疑問があった。監督としてのジーコは未知数だった。さらに、ジーコがトルシエ批判の急先鋒であり、トルシエが築いた流れを寸断してしまうことを知って、不安が広がった。トルシエが日本代表を強化した手法が適正だっただけに、その手法がジーコによって断絶してしまうことはマイナスなのだ。 ところが、筆者の惧れと不安とは裏腹に、ジーコジャパンは幸か不幸か、アジア予選を勝ち抜き、ドイツ行きを決めてしまった。その結果、一時盛んだったジーコ批判は封じ込まれ、ジーコ礼賛の流れが形成された。日本のスポーツマスコミは、日本がドイツでベスト8が可能だと過熱報道し、日本代表を批判する声はかき消された。以降、大本営発表、翼賛記事、無批判状態、代表崇拝報道が氾濫し、今日に至っている。 (2)日本に「世界クラス」はいない そればかりではない。日本のスポーツマスコミは、実力の低いスコットランドリーグで「活躍」する俊輔、英国プレミアで四苦八苦するヒデ・稲本、ドイツ・イタリアでベンチにも入れない高原、柳沢を「世界クラス」と持ち上げてしまった。その一方でJリーグが活況を呈し、スピードがあり運動量のある若手が台頭してきたのに、マスコミは彼らを無視し、ジーコは若手を代表に固定することはなかった。 いま行われているドイツ大会を見れば、各国の世界クラスの選手と日本の代表選手との能力差は歴然していることがわかる。日本が世界と戦うには、ジーコが掲げる個人レベルを高める方法を採用すれば50年程度を要する。日本が活路を求めるは、組織力、運動量、スピードだ。これらを武器にして世界と渉りあうしかない。トルシエはそれがわかっていたから、組織、規律を重んじた。若くて上昇志向に溢れた選手を抜擢した。その結果、ヒデ・稲本に続いて、鈴木がベルギーへ、柳沢がイタリアへ、中田浩がフランス(現在はスイス)へ行った。代表以外でも、俊輔、高原、大久保、松井、大黒、平山が欧州へ渡った。 では、ドイツ大会終了後、海外クラブは、日本代表選手のだれにオファーを出すというのだ。豪州戦、クロアチア戦、そして次のブラジル戦も含めて、日本代表に光り輝く若手はいない。もし、巻(千葉)、阿部(千葉)、佐藤(広島)らがドイツのピッチに立ち活躍したならば、彼らは世界に飛翔するだろう。それがW杯のもっている最大の役割であり、日本のレベルアップの近道だ。 (3)手本はスイス、トリニダードトバゴ W杯出場国はどこも強豪だ。開幕以来、世界のスーパースターのプレーを見ることができた。しかし、筆者にとって最も印象的なチームはスイスだ。スイスこそが、日本の手本と映った。スイスは協会(国)をあげて若手の育成に力を注ぎ、U17で世界王者についた。スイスにはスーパースターはいないが、組織力、規律、運動量、スピードが際立っている。そればかりではない。スイス代表では、若い選手が活躍している。21歳で先発している選手が2人いて、そのうち1人はキャプテン(センデロス)だ。オシムが率いる千葉で阿部がキャプテンであることと似ている。チーム全員が結束して守備に当たり、強いプレッシャーで相手の動きを拘束する。後半になっても、足がとまらない。スイスのような戦い方ができれば、日本がW杯でベスト16に常時名を連ねることが可能だと思う。若い選手とベテランを組み合わせて起用するのが、スイス代表監督のコビ・クーンだ。 強豪スウェーデンと引分けた小国・トリニダードトバゴも目を引いた。とりわけ、一人退場した後にとったトリニダードトバゴ監督ベーンハッカーの選手起用は、ジーコと対極にあった。 予選リーグを通じ、筆者には、コビ・クーン(スイス)、ベーンハッカー(トリニダードトバゴ)の2人の代表監督の手腕が記憶に残っている。 (4)ジーコとともに川淵キャプテンも退陣を 最後に、どうしても、言っておきたいことがある。本日をもって筆者のジーコ批判は終わるけれど、忘れてならないのは、ジーコの失敗は川淵キャプテンの失敗だということだ。ジーコの責任は川淵キャプテンの責任にほかならない。日本のサッカーを4年間停滞させた2人の責任は極めて重い。ジーコの退任=川淵キャプテンの退任でなければならない。 川淵キャプテンはJリーグチェアマン時代を含め、功罪相半ばする存在だと思う。筆者は、日本サッカーにおける川淵氏の役割は終わったと考える。日本代表の実力、それを率いる代表監督の能力、そして、日本サッカーの将来を見通せない人物をトップに戴くことは、日本サッカーに取り返しのつかないマイナスを及ぼす。 日本サッカーにとって、ドイツ大会は今日終わった。新たな出発には人事異動がつきものだ。スポーツマスコミが川淵体制を批判しないのなら、スポーツマスコミは、協会と共に、日本サッカーの未来を閉ざす存在だといわねばならない。
◎グループ分け(勝敗は6月23日:07時現在) A組=ドイツ○○○、エクアドル○○●、ポーランド●●○、コスタリカ●●● B組=英国○○△、スウェーデン△○△、パラグアイ●●○、トリニダード・トバゴ△●● C組=アルゼンチン○○△、オランダ○○△、コートジボワール●●○、セルビア・モンテネグロ●●●、 D組=ポルトガル○○○、メキシコ○△●、アンゴラ●△△、イラン●●△、 E組=イタリア○△○、ガーナ●○○、チェコ○●●、米国●△●、 F組=ブラジル○○○、オーストラリア○●△、クロアチア●△△、日本●△● G組=フランス△△、スイス△○、韓国○△、トーゴ●● H組=スペイン○○、ウクライナ●○、チュニジア△●、サウジ△●
日本代表が辛くも残った。2試合にして予選リーグ敗退だけは免れた。でも、内容は悪かった。日本の限界を露呈した試合だった。これ以上は望めない。この試合、川口の神がかり的なスーパーセーブがなければ、日本は惨敗していた。クロアチアの拙攻に救われたようなものだ。 日本サッカーを根本的に考え直すいい機会だ。いまの日本代表、そして、日本のサッカーを国民的に考え直すという意味で、ドイツ大会の意義があった。 日本の限界と可能性については、ブラジル戦後に当コラムでじっくりと展開したい。
◎グループ分け(勝敗は6月22日:08時現在) A組=ドイツ○○○、エクアドル○○●、ポーランド●●○、コスタリカ●●● B組=英国○○△、スウェーデン△○△、パラグアイ●●○、トリニダード・トバゴ△●● C組=アルゼンチン○○△、コートジボワール●●○、セルビア・モンテネグロ●●●、オランダ○○△ D組=メキシコ○△●、イラン●●△、アンゴラ●△△、ポルトガル○○○ E組=イタリア○△、ガーナ●○、米国●△、チェコ○● F組=ブラジル○○、クロアチア●△、オーストラリア○●、日本●△ G組=フランス△△、スイス△○、韓国○△、トーゴ●● H組=スペイン○○、ウクライナ●○、チュニジア△●、サウジ△●
| 2006年06月17日(土) |
予選リーグは第2試合へ |
予選リーグも第2試合半ばへ。開催国ドイツが予選突破。エクアドルも強かった。筆者の予想では、A組は1位ドイツ、2位コスタリカだったので外れた。エクアドルは高地(ホームは首都キト)で強いだけかと思ったら、とんでもなかった。 アルゼンチンが大勝で2連勝、オランダも2連勝でC組は予想どおり。B組もなんとかなりそう。 外れはA組、それに、E組のチェコが米国相手に予想以上の強さを見せたので、ガーナを押した筆者の予想は外れそう。H組がわからない。 予選突破を地域別に見ると、南米勢3、北中米1、アジア・アフリカ1、残り11を欧州勢がとりそうだが、H組でチュニジアかサウジが頑張れば、欧州は10となる。いずれにしても、ベスト16の過半数を欧州が占めそうだ。
◎グループ分け(勝敗は6月18日:08時現在) A組=ドイツ○○、コスタリカ●●、ポーランド●●、エクアドル○○ B組=イングランド○○、パラグアイ●●、トリニダード・トバゴ△●、スウェーデン△○ C組=アルゼンチン○○、コートジボワール●●、セルビア・モンテネグロ●●、オランダ○○ D組=メキシコ○△、イラン●、アンゴラ●△、ポルトガル○ E組=イタリア○、ガーナ●、米国●、チェコ○ F組=ブラジル○、クロアチア●、オーストラリア○、日本● G組=フランス△、スイス△、韓国○、トーゴ● H組=スペイン○、ウクライナ●、チュニジア△、サウジ△
| 2006年06月14日(水) |
可能性はゼロではない |
ドイツW杯予選リーグF組はブラジルがクロアチアに勝った。F組の順位は、�.�ーストラリア(3)、�▲屮薀献襦複魁法↓�クロアチア(0)、�て�本(0)だ。※( )内は勝点。 第2試合の日本対クロアチアで負けた方が、予選リーグ敗退がほぼ決まる。なぜなら一方のブラジル対オーストラリアは、ブラジルが順当に勝つからだ。第2試合で日本が勝った場合の終了時の順位は、ブラジル(6)、オーストラリア(3)、日本(3)、クロアチア(0)となる。 第3試合でブラジルと当たるのは日本だが、ブラジルは引分で決勝T進出が決まるので、ジーコのために力を抜き、日本に勝点1をプレゼントしてくれるかもしれない。オーストラリア対クロアチアで、クロアチアがオーストラリアに勝てば、最終勝点は、ブラジル(7)、日本(4)、オーストラリア(3)、クロアチア(3)となり、ブラジル、日本が決勝Tに進出する。 オーストラリアとクロアチアが引分ければ、日本とオーストラリアが勝点4で並び、そうなると、得失点差の勝負となる。そのときは日本がオーストラリア戦で屈した3失点が重くのしかかるかもしれない。 日本がクロアチアに勝てば、日本はブラジルの「手抜き」で救われる可能性が残るのだ。 日本がクロアチアに勝つにはどうしたらいいのか――体力(持久力)、走力、スピードしかない。早いプレス、チェイスイングでボールを奪い、一気に決めてリードを奪い、残り時間は前線から厳しい守備に徹し、カウンターを狙う。ちょうど強化試合のドイツ戦のような戦い方が90分間維持できれば、日本にも勝機はある。 90分間動ける巻、大黒(玉田)を先発で起用し、左サイドハーフの不調の三都主を中田浩に代えるなど、選手の体調、調子を見極めて先発選手を決めれば、日本にもチャンスはある。
◎グループ分け(勝敗は6月15日:06時現在) A組=ドイツ○○、コスタリカ●、ポーランド●●、エクアドル○ B組=イングランド○、パラグアイ●、トリニダード・トバゴ△、スウェーデン△ C組=アルゼンチン○、コートジボワール●、セルビア・モンテネグロ●、オランダ○ D組=メキシコ○、イラン●、アンゴラ●、ポルトガル○ E組=イタリア○、ガーナ●、米国●、チェコ○ F組=ブラジル○、クロアチア●、オーストラリア○、日本● G組=フランス△、スイス△、韓国○、トーゴ● H組=スペイン○、ウクライナ●、チュニジア△、サウジ△
| 2006年06月13日(火) |
ジーコジャパンの集大成 |
日本代表を象徴する試合だった。アジア杯、W杯アジア予選ではよれよれになりながら、幸運な勝利を重ねてきた日本だった。この試合も前半、豪のGKと主審のミスで1点をもらった。このまま逃げ切れれば、日本の勝ちパターンがドイツまで続いたことになるのだが、サッカーの神様は許さなかった。実力のあるチームが先へ進むのだよ、と、日本に引導を渡したのだ。 当コラムで何度も書いたように、筆者はジーコジャパンに期待していない。けれど、当コラムに書いたとおり、この試合に限れば引分だと予想した。日本より力で勝る豪だが、経験に乏しいから、0−0あるいは1−1くらいの引分に終わるというのが予想だった。 結果はご覧のとおりの日本の惨敗だった。しかも低レベルの試合、見るべき内容の乏しい90分だった。日本代表の欠陥は運動量、執念、積極性、走力・・・サッカーに勝つための要素すべてを欠いていた。ドイツとの強化試合で活躍した高原は、筆者が当コラムで指摘したとおり、調子が出ない。ムラの多い選手なのだ。柳沢に至っては得点を予感させない。こんなFWを選んだ監督が悪い。小野の交代出場については、筆者の理解を超えている。なんで??? 前日のスウェーデンと引分けた小国トリニダードトバゴは、退場者で1人少なくなっても、FWを入れ替えて2トップを維持し、強豪相手に引分に持ち込んだ。ジーコは幸運の1点を守ろうとしたのか。主審の誤審ではなく、クリーンシュートでもう1点追加して、すっきりと勝とうと思わなかったのか。 そういえば、TV中継のハーフタイム情報では、ジーコの指示は、「リードしている試合をしよう」というものだった。1点を守ろうという意味にも取れる。それが、1トップ・小野出場なのか。 後半足がとまるベテラン日本。ならば、もっと元気のある若い意欲のある選手を選んで投入すればいいではないか。あくまでも、トルシエの遺産にすがろうとするジーコジャパン――予選敗退が決まったわけではないけれど、クロアチア戦は足の動かないベテランを引っ込めて、走れる若手中心で臨んでほしい。
◎グループ分け(勝敗は6月13日:09時現在) A組=ドイツ○、コスタリカ●、ポーランド●、エクアドル○ B組=イングランド○、パラグアイ●、トリニダード・トバゴ△、スウェーデn△ C組=アルゼンチン○、コートジボワール●、セルビア・モンテネグロ●、オランダ○ D組=メキシコ○、イラン●、アンゴラ●、ポルトガル○ E組=イタリア○、ガーナ●、米国●、チェコ○ F組=ブラジル、クロアチア、オーストラリア○、日本● G組=フランス、スイス、韓国、トーゴ H組=スペイン、ウクライナ、チュニジア、サウジ
| 2006年06月12日(月) |
グループリーグ結果更新中 |
◎グループ分け(勝敗は6月12日午後12時現在) A組=ドイツ○、コスタリカ●、ポーランド●、エクアドル○ B組=イングランド○、パラグアイ●、トリニダード・トバゴ△、スウェーデn△ C組=アルゼンチン○、コートジボワール●、セルビア・モンテネグロ●、オランダ○ D組=メキシコ○、イラン●、アンゴラ●、ポルトガル○ E組=イタリア、ガーナ、米国、チェコ F組=ブラジル、クロアチア、オーストラリア○、日本● G組=フランス、スイス、韓国、トーゴ H組=スペイン、ウクライナ、チュニジア、サウジ
W杯が始まった。ドイツ、エクアドル、イングランド、アルゼンチン・・・が初戦を飾った。派手な打ち合いがあるかと思えば、つばぜり合いのような守り合いもある。サッカーには、1試合とて同じ試合はない。ドイツ、イングランドの次の試合がどんな様相を呈するかについては、神のみぞ知る。 予選突破の予想は既に当コラム(2005年12月10日付「 ブラジルより、クロアチア」)で書いたので、それを覆すつもりはない。そのときの予想を繰り返せば、以下のとおり―― ◎グループ分け(勝敗は6月11日午前9時現在) A組=ドイツ○、コスタリカ●、ポーランド●、エクアドル○ B組=イングランド○、パラグアイ●、トリニダード・トバゴ△、スウェーデn△ C組=アルゼンチン○、コートジボワール●、セルビア・モンテネグロ●、オランダ○ D組=マキシコ、イラン、アンゴラ、ポルトガル E組=イタリア、ガーナ、米国、チェコ F組=ブラジル、クロアチア、オーストラリア、日本 G組=フランス、スイス、韓国、トーゴ H組=スペイン、ウクライナ、チュニジア、サウジ ◎予想 もっとも難しいのがA組で、開催国のドイツの1位通過はやさしいのだが、2位がわからない。とりあえず、コスタリカにしておこう。B組はイングランド、スウェーデン、C組は「死のグループ」らしいが、順当にアルゼンチン、オランダにしておく。D組はメキシコ、ポルトガル、E組も「死のグループ」で迷うところ。イタリア、そして、大穴でガーナか。F組はブラジル、クロアチア、G組はスイス、韓国。フランスとスイスは予選同組で手の内を知り尽くしている相手同士。スイスにフランスは勝っていない。POでトルコを破ったたスイスに分があると見た。H組はスペインとウクライナ
| 2006年06月09日(金) |
哀れ漂う山本氏の辞任 |
世界中がサッカーで沸き立つドイツW杯開幕の日(6月9日)、山本昌邦磐田監督辞任の記事を見た。ひっそりとした、あまりにもさびしい記事だった。 筆者は山本がアテネ五輪代表監督のとき、当コラムにおいて厳しく批判を繰り返した(2004年2月11日付「コーチではだめだ」ほか)。いま繰り返せば、山本に監督経験がないことだった。世間では、山本はトルシエ前代表監督の補佐役として、W杯日韓大会で輝かしい実績を残したかのように思われていたが、筆者はまったくそう考えていなかった。山本に足りないものは、リーグ戦におけるリアルな監督経験にほかならないと。それなくして、山本の五輪代表監督就任はあり得ない、というのが筆者の基本見解だった。 筆者の予想どおり、アテネ五輪日本代表は予選を突破できず早々と日本に帰国した。にもかかわらず、山本は五輪敗戦の責任を問われることなく、J1の強豪・磐田の監督に招聘された。クラブ(磐田)は山本をプロの監督として育てる覚悟を持っていたのか。 磐田はちょうど、主力選手の世代交代にさしかかっていた。ゴン、名波のフランス大会経験者、福西、川口、服部の日韓大会経験者、ドイツ大会には川口、福西、田中(ケガのため帰国)が選ばれている。 山本は就任直後、千葉から茶野、チェ、村井を引き抜いた。その茶野、村井は、ジーコジャパンに呼ばれ代表として活躍したが、村井はケガでドイツに行けず、茶野はいつしか、千葉時代の輝きを失っていた。 また一方、磐田には、前田、カレン、菊池、成岡、太田、船谷、前田といった有望な若手が集まっていた。世代交代を円滑に行えば、磐田がJリーグを制覇するのは時間の問題だとだれもが思った。 有り余るほどいる代表、元代表、そして有望な若手――磐田の戦力はまちがいなく、Jリーグの中では屈指だったにもかかわらず、山本の就任1年目(05年)はリーグ6位。優勝争いにも絡めず、ナビスコ杯、天皇杯ともに準々決勝敗退だった。今季もリーグ戦はスタートダッシュに失敗し、他チームより1試合少ないものの、11位と低迷した。そして、ナビスコ杯準々決勝第2戦(8日)で4強入りを逃がした。 山本は、3年3か月契約で、執行役員の肩書きを持っていたのだが、自ら道を断った。クラブが山本を引き止める理由はなかった。クラブ(磐田)は、日本代表コーチ、五輪代表監督という山本の「輝かしい実績」から、チームの世代交代の実現に最適な人材だと判断したのだろうが、プロの監督としての経験不足は隠せなかった。クラブ(磐田)には、プロの監督・山本を育てる余裕も覚悟もなかったようだ。
| 2006年06月08日(木) |
ミッションは世代交代 |
日本代表の次期監督として元フランス代表監督で同国サッカー協会テクニカルディレクターのエメ・ジャケ(64)が挙がっているという。日本代表はジーコ監督がドイツ大会終了後に退任することが決定している。ジャケは1998年フランス大会で母国を優勝に導いた手腕の持ち主であり、厳しい批判に耐え、世代交代に成功したといわれている。 この人選はきわめて妥当だ。いまの日本代表の課題が世代交代にあることは明らかだからだ。日韓〜ドイツ大会時点で、ヒデ、三都主、柳沢、小野、福西、小笠原、稲本らの2大会経験者は、4年後の南アフリカ大会ではベテランの域に達する。中澤、高原、俊輔のドイツ初出場組も日韓大会世代に属しているから同じことだ。ドイツ〜南アフリカの2大会経験者の可能性があるのは、駒野、巻、加地、坪井くらいだろう。 4年後の代表チームから現在の主力がごそっと抜ければ、日本代表の弱体化は否めない。先般来日したトルシエが「ジーコは若手育成を怠った」と批判したという。ジーコについては、繰り返して言えば、トルシエの遺産を食い尽くしたにすぎない。 南アフリカ大会の主力となるのは、思いつくままにいえば阿部(千葉)、佐藤寿(広島)の落選組、巻(千葉)、駒野(広島)のドイツ大会代表控組、松井(フランス)、大久保(スペイン)、平山(オランダ)の海外組が真っ先に浮かぶが、左SBの鈴木則(F東京)、カレンロバート(磐田)らのJリーグで活躍する20代前半の選手すべてに可能性がある。ヒデに代わるリーダーとなるのは阿部が一番手だが、決まったわけではない。 Jリーグが充実しているいま、代表チームの人選に窮することはないが、課題は経験だ。ジーコジャパンは国内の親善試合に偏っていたが、新しい代表チームには、できるだけアウエーの経験を増やすようにしてもらいたい。 ジャケ、ベンゲルのフランス人二人が代表監督の最有力候補だろうが、千葉の監督を4年間務めているオシムの存在を忘れてはいけない。
| 2006年06月05日(月) |
マルタ戦の目的は何か |
W杯開幕直前にマッチメークされた日本vsマルタ。さて、この親善試合の目的は何だったのか。マルタがヨーロッパで最も弱い国の1つだという認識のもと、大量点を奪って、本番前の景気づけにでもしようと思ったのか。そのマルタは欧州予選でクロアチアと引分けている。日本がFIFAランキング20位前後なら、マルタの125位は低すぎる、というよりも、日本が高すぎるにすぎないのだけれど。 この試合の展開については報道のとおり。日本は2度の決定機を大黒がはずした結果、1−0の辛勝に終わった。後半はやや危ないシーンもあり、日本代表には、陽の当たったドイツ戦の後に、暗雲が立ち込めてしまった形だ。ドイツ入りした日本代表、“晴れのち曇り”といったところか。 先回のコラムで書いたとおり、サッカーでは、「過去(ドイツ戦)は忘れろ」なのだ。スポーツをやったことのある人ならば実感できることだけれど、調子には波がある。バイオリズムのような調子の波は、個人、チームを問わない。チームスポーツの場合、監督は選手を入れ替えたり、同じ選手のポジションを入れ替えたりして、チーム全体の調子を落とさないように努める。 実力は、だから、リーグ戦という長丁場で計られる。そこで平均的強さが試される。たった1試合、強豪に勝っただけでは、あるいは、おそろしいほどの強さ、上手さを示したとしても、それを実力といわない。 W杯の場合、最低3試合の予選リーグで実力が試される。五輪sサッカーで日本は、ブラジルを破った。いわゆる、「マイアミの奇跡」だ。五輪サッカーはW杯と同じシステムだが、予選リーグでブラジルを破ったにもかかわらず、日本五輪代表は予選リーグを突破できなかった。「過去(ブラジル戦)は忘れろ」なのだ。 筆者が代表監督なら、W杯開催直前、連続した3試合の親善試合を日本代表のためにマッチメークする。ドイツに到着できた後なら最善だ。相手は、豪州、クロアチア、ブラジルと似たタイプならば申し分ない。マルタ?さあ、このチームは豪州、ブラジル、クロアチアとは、まったく似ていない。 日本代表選手たちは、マルタ戦をどう位置づけたのだろうか。代表選手の中心であるヒデは、ドイツ⇒マルタ⇒豪州(本番)へと、チームの調子を高める試合としてイメージしたのではないか。ドイツで善戦ならば、マルタには完勝だ。控え組でも、3−0くらいの大差の勝利だ。その余勢をかって、豪州戦をピークの精神状態で戦い勝利し、予選リーグを勢いで乗り切る・・・ しかし、このシナリオは、完全に崩壊した。その原因は、代表選手がマルタ戦の位置づけを理解していなかったことだろう。選手に共通理解がないまま、なんとなく、マルタ戦に臨んでしまった可能性が高い。 ジーコは選手の自主性に任せるというが、選手に共通理解を醸成する役割は監督が担っている。なんでも選手に任せるのならば、監督はいらない。 先日の当コラムで、監督の「頭の中の勝負」と書いたけれど、マルタ戦から推察できることは、日本代表の頭の中は空っぽだったということだ。何にも考えない、出たとこ勝負を「選手の自主性」というのならば、日本代表は偶然性に依拠するチーム、たまたま、調子がいいときに勝つチーム、にすぎない。 アートの世界では、偶然の結果を傑作と言わない。意図したことが表現できていなければ、どんなに結果がすごくとも、優れた作品と認めない。だから、作家は多くの作品を残さなければ、適正に評価されないのだ。
| 2006年06月03日(土) |
過去(ドイツ戦)は忘れろ |
日本がW杯主催国・ドイツに善戦したことを、各国メディアが華々しく報じたらしい。日本のメディアを通じてそれを知るしかないのだが、日本のサッカーが各国に評価されたのは喜ばしいことだ。 この親善試合で日本は多額の代償を支払った。加地が背後からの違法タックルで負傷、高原・柳沢が故障、俊輔は風邪が完治しないらしい。これらの報道の真贋は問えない。負傷と報じられながら、本番で活躍した選手はいくらでもいるからだ。日本だって、そのくらいの「情報」を流してもいい。でも、本当ならば、コンディションのピークをドイツ戦に合わせてしまった未熟さを指摘されても仕方がない。 もう一つの代償は、日本の手の内を見せたことだ。ドイツ戦を見た豪州、クロアチアは、日本にカウンター攻撃があることを認識した。となると、不用意に前に出ることはない。日本対策としては、ハイボールで攻めてくる確率が高くなる。日本DFが跳ね返したボールを相手中盤が拾い捲り、攻撃の手を休めなければ、日本はスタミナを奪われる。しかも、右サイドの加地(駒野)には強いマークがつくから、ドイツ戦よりも右サイドハーフの行動範囲は狭められるだろう。日本のカウンターの基点は俊輔、ヒデ、福西の中央だとわかったから、この3人にはマンマークがつく。つまり中盤は火の出るような主導権争いが展開されるだろう。 豪州戦、クロアチア戦は、大雑把に言えば、ドイツ戦のような攻め合いというよりも、守備的接戦となる可能性が高い。日本が相手のパワープレーでスタミナ切れしなければ、相手の一瞬のスキをついた攻撃が可能となろうが、相手よりも、日本の攻撃機会は減る。日本が苦手とする空中戦対策のカギを握るのは、ドイツ戦のとおりの先発ならば、ボランチのヒデ、福西のでき次第となろう。ヒデのボランチが守備的戦術にあわなければ、体力のある稲本の先発もある。 となると、豪州戦は体力・体格重視で、CB中澤、坪井、左SB中田浩、右SB加地(駒野)、中盤は稲本・福西・ヒデ・俊輔でボックスを形成して、FW柳沢・高原の4−4−2のシステムが有効だろう。これまで不動のレギュラーだった三都主は、俊輔のバックアップメンバーにまわる。 本番の豪州戦、クロアチア戦では、ドイツ戦を再現することなどもとより不可能。ドイツ戦を過去のこととして忘れ、頭を切り替えなければいけない。サッカーでは一つとして同じ試合はない。同じ手を使って、二度の成功は望めない。千葉のオシム監督なら、ドイツ戦は忘れろ、と選手に言うだろう。 ジーコが豪州からドイツと同じ手口で成功を得られると考えているとしたらそれは間違いだし、日本は予選リーグで敗退する。親善試合でなまじっかいい試合をしてしまったばかりに、本番への入り方が難しくなった。監督の真価(頭の中)が問われている。
| 2006年06月01日(木) |
ホスト国ドイツが心配 |
ドイツvs日本の親善試合(テストマッチ)は2−2の引分に終わった。後半20分過ぎまで日本が2−0でリードする展開だったが、セットプレー2本で追いつかれてしまった。結果については、ドイツが底力を発揮したという見方と、日本が善戦したという見方の両方が成り立つ。アウエーで2点取れたのだから「日本善戦」でいいとは思うけれど、ヒデが試合後にコメントしたとおり、日本にしてみれば“収穫と課題の両方が顕在化した試合”という評価が正確だろう。 この試合、両チームを通じて、流れの中で生じた決定機を決めたのは、ドイツ・ブンデスリーグに所属する日本人選手・高原ただ一人。高原については以前書いたとおり、調子の良いときと悪いときがはっきりした選手だ。この試合は調子が良かった。体の切れ、ボールタッチ、トラップ・・・すべてが良かった。しかし(高原に限らず)、高原の調子が本番まで持続するとは思えない。 だから、何といっても、得点をとるパターンが多いほうがいいわけだから、この試合をVTRで見る場合には、高原以外の選手の動きに注目しておく必要がある。 注目すべき具体的な動きとしては、�‘麥麑椶�らの飛び出し、�▲櫂好肇廛譟次↓�セットプレー、�ぅ汽ぅ氷況癲宗修�挙げられるのだが、この試合において、そのすべてがまったく見られなかったわけではないものの、いい形で現れてもいなかった。心配なのは�い如∈献汽ぅ匹了暗埃腓両旦棒�が特筆される。多分自重したのだろう。反対に加地の負傷で出番がまわってきた右サイドの駒野の積極性は評価できる。 �,嚢況發僕蹐狒�手といえば中村俊輔だが、彼はパサーとしていい仕事をしたけれど、シュートを放つ場面はなかった。3−5−2のシステムでヒデがボランチに下がると、前線の攻撃陣は俊輔とFW2人の3枚しかいない。ヒデが無理して前に上がると、守備の負担が重くなる。まず、守備の人数が減り、マークの受け渡しが曖昧になる。この場合、中央に穴が空く。また、中央を固めてサイドハーフが積極的に攻撃に出ると、その裏が大きく空く。これが3バックの欠陥なのだが(4バックでも同じといえば同じで)、要は攻撃にウエイトをかければ、相手にスペースを与えるリスクが高まるわけで、欠陥というわけではないのかもしれない。つまり、2列目の飛び出しと簡単に言うけれど、2点リードでは出しにくかったかもしれない。(※リードされた局面なら、見られたかもしれない。) 一方、守備面では、�ゥ沺璽�とその受け渡し――が日本代表の永遠の課題だったし、この試合もそうだった。セットプレーの2失点が象徴的だ。DFがマークした相手に飛ばされたり、かぶったり、前に入られたり、裏をとられたり・・・と崩壊寸前だった。2点ですんだのは、ドイツの攻撃が低調だったからだ。 この試合、日本が善戦できたのは、ドイツの不調が主因だ。開催国なだけに、かなり心配だ。ホスト国にしては、不安ばかりが目立つ日本戦だった。前半、日本に対してボール支配率で圧倒的に上回り、押し込みながら、シュートの本数が少なくしかも不正確だった。日本のサイドを崩しながら、精度が高く早いクロスが少なかった。ホームなのにドイツの調子がこの程度なら、予選リーグ敗退の可能性もあり得る。
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