恋文
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ひとり くしけずる この手の先に ふわりと 落ちる
あなたの 手も ここを滑っていった
いつも わたしなのに わたしでいることを 信じられない
あなたの前で とり戻した わたしを 失いたくなくて
今のわたしを 忘れようとする
まだ一年も経っていないけれど 明日からしばらく帰国。 去年のこの頃を思い出してみる。 そんなに遠く隔たったわけでもない。 それでも、気持ちは先に飛んでいる。
2週間ほど留守にします。
もう すっかり暗くなって クリスマスに飾られた この街に トラムは ときおり 火花を散らして 走っている
緩やかな 坂道を 人々と同じように 歩いて行く わたしは 同じなのだろうか
2003年12月11日(木) |
クリスマスマーケット |
光は そこかしこに 瞬いて 歩くたびに めまいのように 揺れる
誰もが 待ち望んでいる その日まで いえ 今が もう その日なのかもしれない
前が見えなくても 歩いてゆける
触れるものが 聞こえるものが 見えるものが わたしのものではなかったら
後ずさりながらでも 歩き出す
冴え冴えと 月の光を運んでくる
窓を開ける 夜に
遠い国にも 渡ってゆくのだろう
あまりに空が青かった 草はかじかんでいた 白くひび割れた氷を踏んで歩く
人気のない停車場 日溜りに 落ち葉は濡れている
クリスマスに飾られた 家々の窓は まだ暗い
いつものように 少しだけ装う ただ そのしるしのために
いつものことなのに まだ ためらってしまう
なんにも 言わない
すねてる だけかな
でも 今日は
考えるのも いやになっちゃった
始まりは わたしじゃなかった それから わたしじゃないものになった
いつも わたしだった なのに わたしじゃなかった
また わたしになりたかった ずっと わたしだったのに
滲んで 溶け合って この暗がりも 灯りも ひとつになる
その中を 歩いて行く わたしも ひとつになってしまおう
昨日 いなかった わたし いつも いなかった わたし 今日も いない わたし
どこにも いない
明日は どこかに いるかしら
いつかの あの場所に 残してきてしまった その思いは もう そのままにしておこう
懐かしく 思い出せればいい
誰もいなかったときも あなたがいたときも 誰かがいたときも いつか みんな思い出になる
光を 少しずつ 置いてゆく ほの暗い 夕暮れの 木々の間に
雨が 髪を湿らせ 腕に 降りかかる その最中にも どこからか 歌声が聞こえる
光を映して 雨は 降り続く わたしの中にも
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