恋文
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いつからか 未来を思い描けなくなったのかしら
きまって 過去を見ているのかしら
いえ 見えない未来を見ているだけ
みんな わたしと一緒にある
その瞬間を まざまざと 蘇えらせることが できるのなら それを 失ったとは言わせない
触れ合った その温度ですら まだ 残っている
霧の向こうに 隠れてしまっている
それは 本当は 見せたくなかった わたしかもしない
髪飾り ひそかに 花飾り 知られないようにね
あなたの前だけで ひっそりと 髪を解いて 装う
本当は ただ わたしの 独りの 思いだった
夜の音を 聴いている
遠くから 近くから
目を閉じた闇の中に 滲んで
わたしの身体の 音になる
眠っている間に 生まれ変われたらいいのに
今朝も いつもと同じ自分だった
髪が頬を滑ってゆき 顔を蔽ってしまう
そのまま わたしではない わたしを想っていた
進んでも なにも実らないのに
なにも していないと いやになるから
失ってしまうと きっと もう取り戻せない
だからといって いまでも 失い続けるだけ
だけど まだ わたしが わたしでいるために
この わたしのままでいる
一人で部屋を歩くと 自分の足音だけが聞こえる
一人で簡素な食事をする 多くはいらない
白いレースのリボンにする 鏡の中の一人
窓の向こうには 光があって
わたしは 今日は一人でいる
わたしの中に わたしが泣いている
暗いような 薄明かりの 手探りの記憶に
わたしの中の 泣いているわたし
覚めても まだ いえ 覚めたくなかった
指で触れるまでもなく 感じている
泣いている わたし自身を
そんなふうに できたらいいのに と 思うだけで 近づける気がする
心を 開けておこう
閉じ込めないで 放つ
ずっと 薄明かりの中を 歩いている
誰かを 見失ってしまったのではなかった
見失ったものは わたしだった
2003年11月18日(火) |
夢の中にも 雨が降る |
叩きつける雨の音 暗い部屋
すれ違ってゆく気持ち
そして失われてゆくものも
みんな痛みと共に 記憶している
その一瞬で 止めておいた
そのほうが いい
未来に繋がらない
ひとときで よかった
あなた 好きだった だから このまま いたいよ
あなた いないのなら
もう わたしも いない
これが わたしの肉なら みんな 食べてね
あなたの 血になろう
それで わたしはいなくなって
それから
あなたのところにいる
わたしは いつも ばらばらなの
わたしは わたし だけど わたしじゃない
いつも さがしてる わたしって だれ?
わたしのままなのに いつも
わたしになりたいの それだけ
わたし自身 矛盾した存在
どっちも わたしなのに
2003年11月11日(火) |
もしも わたしがいるのだったら |
わたしの いなかった時間 いなかった場所
そこに みんないるね
思いをはせてみる わたしが もしも そこにいるのだったら
やっぱり いないかのように 佇んでいるのだろう
目を背けたくても それは わたしの一部なのだ
覆い隠してしまいたくても 目の前に現れる
思い出したくなくても 振り返っている
町も 森も ずっと静かだ 時折 すれ違う人々も また 挨拶を交わす以外は
馬たちは 黙々と草を食んでいる 羊たちは 横たわったままだ
暮れかかった光に照らされて 遠くにみえる丘も なにも語らない
だから わたしも 何も言うまい
日々に わたしは 漂っていよう
霧は 森を 被ってしまった
目を伏せるまでもなく なにも見えないなら
このまま 海にのまれたように
自分で作るものなんだ
いつも 離れたくないのかしら 離れたい時も あるよね
たとえ 半身であっても
たとえ あなたであっても
だから 測る この瞬間の距離でさえも
どこに いたのかしら まだ 眠ってたのね 起きてしまうと 不安になるね
こうして 朝をむかえると まだ まぶたが重いように じっとしていたい
眠りと寝覚めとのあわい 見たもの 感じたこと 過去の時間と同じように 長くもあって もう ただの瞬間だった
額に うなじに 滲む汗に 纏わる髪を片寄せる
まだ 夜明けには早い
静かに泣きたかった わたしの 別のわたしに
別ではない ただ一人の わたしに
ずっと 待っても いつまでも会えない わたしに
それは 半身と言えたのだろうか わたしの半分の
きっと それは 女だったのに
ここに いる
わすれないでね
わすれないでね
でも わすれてもいいよ
きっと いつも いるから
また おもいだしてね
またね
まだ わたしになれない 半分っこ どこかに隠してしまう
いつも ちゃんといるのに 切れ端じゃないのよ いつも一緒
なのに 隠してしまう 時々顔をだすけれど まだ どこかに 息を潜める
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