恋文
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こんなに 空が あおい
雪は 溶けてゆく
空が 暗くなって
凍った 雪が あおい
どこに 行きつこうと 思えばいいか
行きつくまいと 思うかもしれない
さぁ あした どこにいるのか
まっしろで ふわふわ その先に
歩いてみよう
ことばを聴く
現れた ことばは いつも新鮮で
わたしを 穿つ
あぁ あなたは そこにいる
わたしも ここに いられる
あぁ わたし 微笑んでいた
まだ 続けられる
そういえば 月を見ていなかった
まだ 雲がおおう 空に
いつしか 見落としていた そのとき
白く輝くのは 雪ばかり
かたちは まだ なかった いつか あるのかどうか それも わからない
さだまらない かたちは ただ ためいきをつく
なんにも ないな
からっぽを 抱いている
息を 吐きだして
吸うのは ひっかかる
この 袋のような わたし
もう 消えていると思ったのに
毎朝 まといながら 夕方には かすかになる そのかおり
この夜 鮮やかに残った それは 思い出ではなく
ほんの ささいなこと
今日を 穏やかに過ごす
雪は 明るい空から 花のように おちてくる
いつだって ある
だから まぁるく なって
くるんと ころがって
わたしで いたい
みずいろって こんなに あおいのね
このまま 眠ってしまいたいね
耳をかたむける たどりつく ことばを 失わないように
たとえ ことばが とどかなくとも
ふと もらした 息をきいていよう
わたし 雨になり 雪になり
降りそそぎ 降りつもり
いつか消える
野菜を刻み 湯を沸かし 手はいつものように動く
この瞬間に もう どこにも ゆきたくない
ひとり
雨は ざあざあと 音をたてて ふっている
結び合った 手を 傷つける 刃に なるなんて
それでも 手を 結びつづける 絆で あるように
わたしは ゆうれいのようだ
ただただ あなたの ことばを ききながら とどかない
なにもない わたしが もどかしい
ほんの少しでも つながれるなら どんなに 滑稽でも どんなに 陳腐でも くり返し なんどでも 語りかけるよ
どんな わたしかしら
いまのまま じゃないよね いまのまま かしら
あっちいったり こっちいったり
なんでも いいけど わたし つかれちゃったから
あぁ もう ねちゃおう
揺れる きもちは どこか とおく 投げやってしまいたい
ふつふつと わきあがるともなく 沈んでしまう
もう どこにも やりようがない と どうしよう
くるくると くるんで かかえて 眠ってしまおうか
森は 音に満ちている
木には 木のいとなみ 鳥には 鳥の 小さな生き物の その
風がふく ただ 立ちつくす
忘れたのは なんだったんだろう 取りもどしたかったのは なんだったんだろう
いつか なんにも考えていない 座っている わたし
朝は一面の靄の中 誰もが 黙って立っている わたしも 黙って立っている
音も 光も みんな黙ってしまう
いつも 言いたいことは どこにいってしまうのだろう
あとになって 帰ってくるのね
なんだか おぼつかない 歩みを つづけてきたから
いやだな あんまり 考えたくない めまいがするよ
朝の雨に 髪が いつか湿っている
まだ日が昇らない 街を 知らないどこかのように見る
きっと まだ 知らない
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