恋文
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波に浮かんでいるような 眠りのなかに
浮かんでは消える 夢の泡沫
いつのまにか 時計が 止っている
止る瞬間に
かすかに ため息とか 悲鳴とか
そんな音を たてただろうか
少しづつ 変わってゆく 町を見ながら
毎日の 通り道を歩く
なにも 変わらない日々
セミの声が けだるい
曇った夕方
昼下がり なんだか みんな
ゆるゆる 動いている
きっと わたしも ゆるゆる
歩いているから
花びら くるん ぽつんぽつんと 落ちている 朝の歩道
夢と現実 入り混じっている 朝は
ずっと夢のなかにいたい
元気とか 蔓延していて 息切れのする 暑さ
遠くに 雷を聞く 長い夏
オシロイバナに 露がひかる 昼下がり
知らないうちに 汚れてしまう
すっきり 洗ってしまおう
見えないことが 当たり前になったら
とっても困る
曇り空でいい ゆっくりとしていよう
陽射しがやわらかい 風がとおりすぎて
さるすべりが 紅い
日本語ではない ことばのほうが 話しやすいことがある
外国に行きたい と また 思う
また 暑さが戻って 恨めしい
とつぜん 窓をたたく 雨によろこぶ
一息つく そんな風
雷が鳴ったので わくわくした 空気がくすんでいたので
やがて やっと 雨が降ってきた
声をだして 喜んだ
ひとりきり降って
風が なんて心地いい
なんだか 人通りのない 朝の町
誰も知らない 夜のあと
草木が 色あせてゆく
風も熱い
毎年 夏を忘れている
もっと 忘れていたいような
風のよどみに 滞っていた 喧噪が溢れだす 明け方の町
夢も 熱を帯びたような 息苦しさ
お白粉は まだ 少し
小鳥の声ばかり みどりの小道
とんぼとちょうも 行き交う 陽射し
影が はっきりと 映る
熱気のように
髪が重いような 空気の色
一喜一憂する
じぶんの からだに
誰も気づかないのに
繰り返す 日常も 同じではない それでも 変わるのは こわい
陽射しを 跳ね返すように
青い花が 揺れている
重くなる前の 夜の空気
伝わってくる 遠くの音
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