恋文
DiaryINDEX|past|will
ベランダに出ると 熱風がやってきた
鉢植えの草木が 疲れてしまっている
熱帯夜なんて
あぁ、ほんとうに 熱帯になってしまったような
その気持ちのただなかで
風が吹いてくる
ので
うけているよ
影が 少し長くなる オレンジ色の 夕方の陽射し
とても いやな気持ちになる
みんな 嫌い
雨上がりの朝 山の稜線が はっきりと見える
日傘を透かして 陽射しも柔らかい
畑では もう 秋になっている 虫の声
文鳥は 夕方涼しくなったら 水浴びをする
夕立が 近くなるような
しんとした通り
せみが 急いでいる
夕暮れが 早くなってきた
雨が降らない みっしりと 蒸気だけが 圧縮されてゆく
誰もいない 居間に 風が入ってくる
気持ちが 嫌がっていると はっきり感じる
朝から ただ暑いばかり
気の抜けたようになる ふと気づくと 虫の声
ゆっくり 沈んでゆく
浮かび上がるのも ゆっくりと
波紋のような 光のうず
思いもかけない 風に和む
夕日が ゆっくり 落ちてゆく
まぶしい光に 知らないところに 迷いこんだ自分になる
真昼の暑さが 夕方には 和らぐ
セミの声が ずっと 聞こえている
雲を見上げる
空の 合わさりを 眺めている
いちにち それだけのこと
歩いたり 話したり
せみは いつもの夏のように 鳴いているし
でも 少しづつ 離れてゆく
一日を さらに 焼き尽くすように
日が沈む
熱気のせいなのか 風景が ゆらゆらゆがむ
雑草も のろのろ揺れる 熱い風
草木も 疲れているような 昼下がり
残念だけれど 楽しむより 呪いたい暑さ
忘れられた町にも似た 佇まいに 陽射しがそそぐ
朝日の下で 歩道のどこも しらじらとする
曇り空 蟻が静かに行き交う
仙人に なるつもりはないけれど
世の中は 面倒で
人ごみも 疲れてしまって
いや やっぱり 仙人も いいかもしれない
湿った 重い空気に 逆らって歩く
|