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『壬生義士伝(上・下)』 浅田次郎 文春文庫 - 2003年07月29日(火)

浅田次郎に新選組はよく似合う。
本来、歴史小説の楽しみとは“作者の史観を楽しむべきものだろう”が、本作はそれ以外に想像を絶する感動話が盛り込まれており2倍にも3倍にも楽しめる。
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『燃えよ剣』のように新選組の“幹部”(土方歳三)じゃなく“下級幹部とその家族達”にスポットライトを当てた点を称えたく思う。
下級幹部と言っても実質は故郷(南部藩)を脱藩して、お金の為に仕方なく働いている身分のものである。
土方歳三みたいに野心(いい意味の)溢れる人物じゃない。
そのあたりを比べあって読んで行く事によって、余計に味わい深く読むことが出来た気がする。

斎藤一が一人称で語ってる部分を引用したい。
世の中がどう変わるにせよ、新選組に立派な明日のないことはわかりきっていた。世の行く末はわからずとも、これだけ人を斬ってただですむわけはないと、誰もが思うていた。

ここまでして、新選組に入って人を斬った貫一郎に対する擁護の言葉だと受け取った。

と言って、浅田さんは新選組に対して否定的なわけじゃない。
むしろ逆だと思う。

個人的に土方さんに対して思い入れが強いので、数多くはないが浅田さんの土方さんに対する描写にも目が離せなかった。
彼の土方歳三に対する眼差しの暖かさは本書の読後感のよさを助長している。
途中で土方が貫一郎に対して婿入りを勧めるシーンがあるのだがちょっと意外な一面を見たような気がした。
きっと土方歳三に対する“冷酷”なイメージを払拭したかったのだと思う。

五稜郭での土方歳三の潔いシーンも『燃えよ剣』ほどじゃないが垣間見ることが出来た。
榎本武揚との対比において、夢のある男の理想として“土方歳三”を捉えているのも見逃せない。

逆に、浅田さんが家族を大切にする男の理想として“吉村貫一郎”を描きたかったことは言うまでもなく、読者は彼の意図を感じ取らずにいられない。
貫一郎親子、大野親子いずれも深い絆で結ばれている。
“良心を持って生きることの尊さを教えてくれる作品である。”

浅田さんの、過去を回想する語り口の上手さをみなさんも味わって欲しいと思う。
きっと誰にも真似の出来ない領域に達しているように思えてならない。
まるで、吉村貫一郎が妻子に示した愛情のように・・・

評価9点。オススメ




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《ギャング・オブ・ニューヨーク》ビデオ - 2003年07月27日(日)

評価5点。(2002・米・168分)

タイトル名に名前負けしている作品だ。
元来“大作”っていうのは見終わった後に他の人と語り合えることが出来るというか語り合いたくなるのが普通だと思うのだが、この作品に関しては語り合うことってほとんどない気がする。
どうしても後ろ向きな意見となってくるであろう。

キャストに騙されて劇場に行かれた方はどんな気持ちだったろうか。
作品の背景をわかってたら違った感想にもなるのかもしれないが、あまりにも期待はずれで私だったら映画館で見てたら必ず寝てたでしょう。
というのも放映時間が168分と長すぎてどこがクライマックスかわからないって感じで退屈しちゃうんだよね。

よほど、ディカプリオの熱烈なファンの方やアメリカの当時の時代に興味がある方なんかはいいかもしれませんがそれ以外の方にはオススメしかねる。
私なら『タイタニック』をもう1度見ますね(笑)

ただ、映像が綺麗だったというのはまだ救いだったような気がする。
男性ファンの方はせめて、ディアスのヌードシーンぐらいあれば違った捉え方出来たでしょうが、ディアスの役柄も本当に中途半端な感じで目を覆いたくなった。

歴史的背景をよくわかってる人の意見も聞いてみたいが、もう1度見たいとは思わなかった。


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《オールド・ルーキー》 ビデオ - 2003年07月26日(土)

評価8点。(2002・米・128分)

とっても爽やかな作品である。
『フィールド・オブ・ドリームズ』なんかに比べるとスケールも内容も劣ってるように思えるが、現在みたいな不況の時代においてはなかなか面白い映画だと思う。
なんと言っても一握りの一流選手じゃなくって、メジャーにあがれるかどうかにスポットライトを当てた所がいい。
マイナーリーグの場合は普通のサラリーマンより薄給の為に入団するかどうかを迷ってる所がリアルだ。
日本のプロ野球の二軍の選手はまだ幸せだなあって痛感した。

実話らしいので説得力もある。
日本では35歳のルーキーなんか考えられないが、アメリカでは現実だ。
そのあたりも自由と実力の国アメリカを象徴している。

キャストもなかなかいい感じだ。
デニス・クエイドはちょっと地味だけどかなり熱演していると思う。
“いつまでも夢を持って生きて行こう!”と問いかけられた気がしてハッピーな気分に浸れる作品です。
全体としてはディズニー映画らしい(いい意味で)作品だなあと思いました。
あと、夫に理解を示す妻の健気さも見てて非常に好感を持てた。

ちょっと疲れた時に見て下さい。きっと明日の活力を養えるでしょう。


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『燃えよ剣(上・下)』 司馬遼太郎 新潮文庫 - 2003年07月24日(木)

男が惚れる男ってなかなかいないがもちろん例外もある。
本作は土方歳三、新選組の副長として幕末の時代に命を燃焼させた人物の一代記となっている。
とにかく、彼のほとばしるエネルギーを少しでも分けて欲しいと心の中で叫びながら読みふけった。
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彼の人生は“潔い人生”であった。
近藤勇や沖田総司が小さく見えて来るのである。
まるで歳三によって近藤や沖田が動かされていたかの如く・・・
それほど激動の時代であった幕末には土方歳三がよく似合うのである。

新選組に関してはいろんな解釈があるだろうから、ここでは触れたくない。
私たち読者は歴史学者じゃないので、小説を楽しみ歴史を楽しむと言うだけで十分じゃないだろうかと思う。

もちろん、土方歳三の素晴らしさをここまで淡々と当たり前の如く描写出来る司馬さんの筆力はまさしく天下一品だ。
とにかく豊富な資料読みに基づく安定した筆致で読ませてくれる。
上手すぎてどこまで架空の話でどこまで史実なのか私にはわからないぐらいである(笑)

現代小説と違って歴史・時代小説は風化されにくいのが通説だが、それにしても約40年前に書かれた作品とは思えない。
本来、点数をつけるようなタイプの小説じゃないかもしれないが敢えてつけさせていただきたい。

イメージ的に堅苦しい感じで思われてる方も多いと思いますが、ラブストーリーも盛り込まれています。
これがとっても切なくて儚いのである。
お雪が函館まで会いに来るシーンは涙なしには読めませんでした。
ちょっと引用しますね。
「来ては、いけなかったでしょうか」
「…………」
 歳三は、ふりむいた。まぎれもなくお雪がそこにいる。不覚にも歳三は、ぽろぽろ涙がこぼれた。


あなたも血で染まった土方歳三の生涯を堪能してください。
“初志を貫くことの素晴らしさ”を少しでも学び取れたら、“ああ、本を読んできて良かった!”と思われることだと確信しております。
他の司馬作品にも通じることだと思いますが、若いときに読んだらその人の“人生観が変わる1冊”だと言えるでしょうね。

来年大河ドラマで新選組を放映されるみたいだが、本作は新選組入門書としてもベストの作品だと思います。タイムリーな読書となりました(笑)

評価10点。超オススメ

新選組関連作品リンク
『壬生義士伝(上・下)』




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『火の粉』 雫井修介 幻冬舎 - 2003年07月22日(火)

各サイトで評判の高い本作だが社会派大作を期待して読んだ為に少し期待はずれだった。
確かに非常にテンポよく読める作品である。
老人介護問題・嫁姑の立場の問題なども扱っておりかなり取材して書かれているのも注目に値する。
展開的にもスリリング&サスペンスフルで読ませてくれるのも間違いない。

でもいかんせん、“冤罪者が実はそうじゃなかった”という内容があんまり好きじゃない。
問題が大きなだけに人間誰でも間違いがあるということで済ませて欲しくない気がする。
本当の冤罪の方で苦労をされてる方に気の毒かなあという気持ちが読んでいて強かった。
ミステリー的に見ても、途中で武内か池本かどちらが犯人かわからないような場面があってそこまでは楽しめたのだが、それ以降はあまりにも展開がハッキリしてきて妙味に欠けるような気がした。

武内に関しても単なる“狂人”としか受け取れなかった。もっと過去の生い立ちに触れ(触れてるのですが)何故こんな人間になったのかを描写してほしかったなあと思う。
もう少し救いの手を差し伸べてあげて欲しかったです。

あと、裁判官の勲と俊郎親子のちょっと無神経というか機転の利かなさが気になって仕方なかった。
火の粉の張本人の勲の心の動きの描写が少ないのが残念な気もした。
もっと勲の心の苦悩を書くべきだったと思う。
読んでみると、嫁の雪見が主人公みたいに扱われてるが、判決を下した勲をもっとクローズアップしなければ意味がないなあと思った。

ちょっと辛口になりましたが、非常に文章の読みやすい作家さんだということを付け加えておきたい。
これからますます期待できると思います。
エンターテイメントとして割り切って読めば楽しく読めることは間違いないでしょう。

評価7点。


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『スローグッドバイ』 石田衣良 集英社 - 2003年07月20日(日)

石田さんが直木賞を受賞されたので積読棚から出してきて読んでみました。
比較的軽いタッチの恋愛短篇集となっている。

この人の文章は素人っぽくてそれが親近感を持てていいと思う。
さりげなく洒落た会話が心地よく染みわたる。
毒の効いたフレーズ等は男性作家のためにあまりないが、各篇なかなか主人公の男性がさりげなくてカッコいいのが印象的だ。

一気に10篇読んでしまったが、少しづつ味わって読むべきだったかなあといささか反省した。

恋愛のいい部分と悪い部分を都会的センスを持って描写している為に、どちらかと言えば独身の二十代位の年齢層をターゲットとして作られているような気がする。
現代の風俗描写もかなりされておる点も見逃せない。

適度にほろ苦く適度に切ないのは石田氏の持ち味だろうか?
本書を通じて色んな恋を体験できるのは嬉しい事である。
若者への恋の指南書的な作品と言えそうです。
私は出来なかったけど、水割りでも飲みながら寝る前に味わって読んで欲しいなあ。

今よりも読者の方が恋愛上手になって欲しいという願いを込めて書かれたと信じております(笑)

個人的に好きな短篇は「フリフリ」「ローマンホリデイ」です。

サイト上に本作のHPがあります。ムービーもあって楽しめますよ。
こちら

評価7点。



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『幼な子われらに生まれ』(再読) 重松清 幻冬舎文庫 - 2003年07月18日(金)

私が重松さんのファンとなるのを決定付けた思い出の作品です。
“普通の人”の苦悩をこれでもかとリアルに描写している。
まるで重松さんの“魂の叫び”が聞こえてくるようだ。
そのくらい、主人公は常に“葛藤”している。
葛藤が強いゆえにアンジーさんに狂うのも男性読者なら理解できるところであろう。

特に印象深いのは沙織と会ってる時の喜びは文章上でも際立っている。
少し引用します。

“この子の体には私の血が半分流れている。沙織は私の娘だ。たとえ父親としての役割は果たせなくても、沙織が『パパ』と呼ぶのは世界中で私ただ一人だけで、世界が滅亡するときには、私は沙織を抱き締めていたい。”

3カ月に1回、年に4日会うと言うのを唯一の楽しみとしる姿が切なく感じる。
“残りの361日は偽善者である”という言葉がとっても生々しい。

沙織ちゃんも、凄くいい子で生みの親をパパと呼び、育ての親をお父さんと使い分けている所が儚げで意地らしい。
あと、沙織と薫のコントラストも見逃せない。同じ年の設定はもちろんのこと、お互いの“育ての親”に対する接し方の違いが甚だしいが、沢田(薫の実父)の登場で少し仕方ないかなあという気分にさせられた。

再読してみて、前妻の友佳と現在の妻の奈苗とを比べてみた。
初読の時はどうしても、主人公側(男性側)の視点からしか見てなかったが、今回は奈苗の頑張りも見逃せなかった。“バツイチ同士”のいろいろな問題を抱えながらも今後は何とか乗り越えていけそうな気がした。
それだけ、お似合いのカップルと言えそうだなあ、この2人は・・・
考え方の相違によって、前妻とは離婚に至ったわけだが重松さんの理想像は現在の妻の奈苗の方に近いんじゃないかなあと思う。
個人的には奈苗さん、出来た妻と言っていいんじゃなかろうかなあと痛感した。

この作品は“血のつながり”の重要性を謳っているのではない。
“人生悲観しないで前向いて生きようね”って言う事を謳っているんだと理解している。
生まれてきた“つばさくん”誰よりも幸せに育って欲しいと言うのは重松さんだけじゃなく、読者の強い願いです。
その願いがあるから切ない話だけど、明るい気持ちで本を閉じることが出来るのであろう。


評価10点。超オススメ作品




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『いま、会いにゆきます』 市川拓司 小学館 - 2003年07月14日(月)

懐が深くて胸が詰まる小説だ。
恋愛小説特有の“あざとさ”が感じられない点に市川さんの筆力の高さが窺い知れる。
まさに読者を選ばない恋愛小説って感じかな。
どちらかといえば既婚者向けだと思うが、2人の馴れ初め等も上手く描写してるので恋愛小説としても家族小説としても読ませてくれる稀有な作品だ。
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使い古された言葉かもしれないが、子どもは夫婦の“愛の結晶”。
仲のいいふたりのあいだに出来た子どもはたとえ両親と離れ離れになってもしあわせだ。
きっとどこに行っても(たとえアーカイブ星に行っても)別れずに心はひとつである。

親子3人(巧と澪と佑司)が自分を犠牲にしてまでも相手が幸福になった欲しいと言う気持ちが滲み出ている。
現実では考えられないかもしれないが、ちょっとこういった夢見心地にさせてくれるのが恋愛小説の醍醐味を堪能できた気がする。

なにわともあれ、主人公の巧がとっても良い。
仕事が出来るとか云々じゃなくって、このようにして女性や子どもを愛するんだよって読者に見本を示してくれる。
そこには究極のいたわりの気持ちがあって、読者に日常生活において“少し君も反省しろよ!”って感じさせてくれるからたいしたものだ。

敢えて物語のストーリーには触れたくない。
読めばわかるし、読んでみなければわからないからだ。

会話文が多いので、ちょっと疲れてる時に読めば効果満点かもしれない。
読んだあと、ちょっと自分が優しい気持ちになれた気がするのは気のせいだろうか。
ちょうど、“雨の多い季節”にこの作品に出会えたことを誇りに思いたい。
あなたも心のリハビリをして下さいね。

評価9点。オススメ


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『ネバーランド』 恩田陸 集英社文庫 - 2003年07月13日(日)

本作は恩田さん得意の学園物の作品で、以前TBS系でドラマ化された作品です。

恩田さんの著作リストはこちらです。

完成された作品とは言いがたいかもしれないが、まさしく“夜中に一気読み出来る作品”です。
とにかく4人の少年たちの微妙な違いがとっても上手く描写されている。
恩田さんもあとがきでそれぞれの特徴を短い言葉で端的に表現していますよ。

わずか7日間のあいだにこれだけ打ち解け合えるのはこの年代であるがゆえのこと。
ちょっと『木曜組曲』の少年版みたいな感じでもあるが、本作の方がミステリー度は低い。

でも“過ぎ去りし日々"をとっても懐かしく思わせてくれるに十分な1冊です。
私も読みながら自分が誰に1番近いかを常に考えて読みました。
今の私じゃなく、高校生の時の私です。
そこに恩田さんの確かな筆力を垣間見た気がする。

たとえば、"俺は光浩みたいに料理は上手くないなあ"ってね。
少年時代特有の“強がり”なんかは読んでいてハッとさせられた部分でもあります。

ミステリー度を期待してとして読まれたらいささか期待はずれかもしれませんね。
どんな人にでも悩みがあるんだなあとちょっと安心しつつもほろ苦い気分になった1冊と言えそうです。


評価8点。


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『永遠の咎』 永瀬隼介 光文社 - 2003年07月12日(土)

普及委員会のコーナーでNakatzさんが委員長を務める問題作に挑戦しました。

ノンフィクションライター出身の作家さんらしくてとってもリアルさが売り物の作品である。
なんといっても轡田の執念が凄い。異常キャラクターなのだが、想像を絶する。

本当の神坂綾乃の“永遠の咎”がわかるまで物語がめまぐるしく動いて行く点は見逃せない。

轡田の異常さと綾乃の魔性の魅力がグイグイ読ませてくれる作品だが、ただ、暴力シーンが多いので心して読まなければいけない。

作品の中で登場する、ケンジこと鉄男の存在感は読者に安心感をもたらせている。
男性読者は彼に応援しながら読まれた方も多いんじゃないかなあと思う。
というのも、他の登場人物はどう考えても“通常の人間には考えられない領域に達している人たち”だからである。
それだけに鉄男の存在感は大きくて、まさに“ヒーロー”とも呼べそうだ。

無認可保育園など都会の怖さや社会的問題も提起している本作は“親としてなすべき責任感”を教えてくれた。

しかし、“子どもは親を選べない”って当たり前のことが理不尽に感じられたのは物悲しいなあと痛感した。

評価8点。


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《ボーン・アイデンティティー》 ビデオ - 2003年07月11日(金)

評価6点。(2002・米・119分)

マット・デイモンのファンか否かによって評価の分かれる作品といえそうだが、私はそんなにファンでもないのでちょっと辛口な評価としてみた。

テンポよく展開するのだが、ちょっとヤマ場があってないようにも感じられる。
ストーリー構成がわかり辛いのが残念だった。
マットも意外とキレのいいアクションシーンを演じているが、いかんせんアクション映画向きの俳優じゃないように思えて仕方ない。
もちろん、“新境地開拓”といった感じだろうがもっと他に適役がいたんじゃないかなあと思われた方も多いはず。

あと、ヒロイン役、もうちょっとキュートな女の子を抜擢出来なかったものだろうか?
マットの女性ファンを安心させる容貌の子を選んだのかなあとガッカリした。

あくまでも夢を売る映画だから、現実を忘れさせて欲しいなあと痛感した作品であります。

良かったと思える点ももちろんあります。
まず、カーチェイスシーンはとっても良かった。
かなりの迫力で楽しませてくれます。

あと、全体的なヨーロッパの風景美、これも一見の価値があるものだと思います。
個人的にはシリアスな作品のマットを見たいと思う。
でも、マットのファンの女性ファンの方、是非見て下さいね(笑)


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第129回直木賞候補作品発表。 - 2003年07月10日(木)

第129回の直木賞の候補作品が発表された。
今回はかなりの力作ぞろいだと思う。
前回、残念な結果に終わったので今回は必ず誰かが受賞されるものと信じていたい。

今回ノミネートされた作品は
★伊坂幸太郎 『重力ピエロ』 (新潮社) 1回目
★石田衣良 『4TEEN』 (新潮社) 3回目
★宇江佐真理 『神田堀八つ下がり』 (徳間書店) 6回目
★真保裕一 『繋がれた明日』 (朝日新聞社) 4回目
★東野圭吾 『手紙』 (毎日新聞社) 4回目
★村山由佳 『星々の舟』 (文藝春秋) 1回目

ラインアップ的にはかなり豪華なメンバー構成となっている。
これに横山秀夫さんが加わってればもっと盛り上がったのでしょうが・・・
なんといっても伊坂さんが加わってることによって、フレッシュな感じがする。
出版不況と言われて久しいが、センセーショナルな話題という点では伊坂さんなんかが受賞されれば一番業界が活性化するかもしれませんね。

個人的には全6作品中、4作品読んでいます。
宇江佐さんが『神田堀〜』でノミネートされたのは意外であったが、飛びぬけた作品がないのでチャンスかもしれない。
希望としたら宇江佐さんか東野さんに取ってもらいたいと思います。
特に、宇江佐さん、6回もノミネートされてるのに本当に気の毒です。
東野さんや真保さんはセールス的には今までで売れているのでね(笑)
(私は予想投票に宇江佐さんと東野さんを投票させていただきました。)
予想投票はこちら

個人的な予想としたら、初登場ながら村山さんが最も近い位置かなあと思う。
これは完全に版元が文藝春秋だからで、正直言って文藝春秋じゃなかったら選ばれてなかったような気がしてならない。
今回、出版最大手の講談社からはノミネート作品がなかった。
でも過去に文藝春秋の作品がノミネートされなかった年はないはずである。
逆に言えば、村山さんにとって大きなチャンスとも言えるでしょうね。

データ的には2000年以降、受賞された全8作品中、半数の4作品が文藝春秋社の本なのである。
特に上期は2年連続して文藝春秋の作品が単独受賞しているのである。
(藤田さん、乙川さん)
特に、直木賞受賞というだけで間違いなく増刷が見込めるだけに(受賞作のみならず他の作品も)選考委員も多少なりとも肩入れしてもなんら不思議はない。
ちょうどサッカーのホームとアウェイみたいな感覚じゃなかろうか。

結論として、1作のみなら村山さん最有力、2作なら○以上の4人のうちから2人だと思います。
もし、村山さんが落選したら“公正に選考したんだなあ”と思いたいですね。
(でも村山さんの作品も読んでみたいと思っております。)
◎  村山由佳
○  宇江佐真理、東野圭吾、真保裕一(横一線)
大穴 伊坂幸太郎

 


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『明治おんな橋』 平山壽三郎 講談社文庫 - 2003年07月09日(水)

篠田節子さんの『女たちのジハード』の時代小説版と評されている本作。
作者の平山さんは『東京城残影』で第9回時代小説大賞を受賞されている。
直木賞作家の乙川優三郎さんを輩出したこの賞も第10回で終わりとなったのは非常に残念ではあるが、本作は平山さんの受賞後第1作となった長編小説である。

時は明治維新、江戸から明治へと時代が変わっていった時期。
過去にそれぞれ経緯があるも、時代の流れに順応し、エネルギッシュに生き抜いた3人の女性(美代・お倉・律)の物語である。
時代小説といってもかなり歴史小説的要素が強い。
西郷・伊藤・大久保等、時代の“つわものたち”が登場します。
まさに“歴史の影に女あり!”といったところでしょうか。

『女たちのジハード』と違う点は、本作の女たちは悋気を起こしはするが男どもを牛耳っている(笑)
それも三人三様に・・・
あるときは可愛くて健気に、でも根本的にはとっても逞しいのである。

女性ならではの、しなやかさというかしたたかさを十分に満足させられた一冊であった。男性作家でここまで女性心理を描写できるのは素晴らしいの一言に尽きる。
反面、男性の情けなさって本当に凄いですよ(笑) 
でも、まあ男ってそんなところもあるよなあと思わせられましたが・・・

個人的にはもう少し歴史知識があれば、楽しめ方も倍増したのになあと言う気持ちが強かった。
でも、とっても爽快感の残る作品です。
3人の中では美代さんがいちばんタイプかな。そう言った読み方も出来る作品なので読者にとっては嬉しい限りですね。

評価8点。



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【クニミツの政】 フジテレビ連ドラ � 銑� - 2003年07月08日(火)

ドラマ公式サイトはこちら

伊東美咲ちゃんの公式サイトはこちら

連ドラの視聴率低迷がささやかれていて久しいが、一部の主演者(キムタクなど)を除いて本当に苦しそう。
大体がまずキャストを見て一回目を見るかどうか決めているのが現実であろう。

私も伊東美咲ちゃんが出ているので見た次第だが、なかなか脚本もよく2回目まで見てしまった。簡単な感想をアップしたいと思う。

原作が漫画雑誌掲載というのも原因だと思うが子どもが見ても大人が見ても爽やかな話が続いている。
個人的にはあんまり好きなことはないが(ファンの方ごめんなさいね)押尾学もなかなか3枚目ぶりを好演している。
第1話ではローラーを引っ張ってグラウンドを整備し、第2話ではリヤカーを引っ張って野菜を運んでいる。

どちらも生徒のためになので好感が持てた。本当にこんな先生がいたらいいのになあと思われて見た方も多いと思う。
勧善懲悪的な話って通常はまどろっこしいイメージもあるが、本作は気楽に楽しめるように作られてるので今後も見てみようかなあと思ってしまった。

伊東美咲ちゃんは、同性受けもするタレントだと思う。梅酒のCMもいいが本ドラマでも知的な役どころ(新聞記者)を好演していて見ていて清々しい。
レースクィーンの吉岡美穂ちゃんもでてるが、教師役なのでちょっと色気が十分に発揮されてないのが男性視聴者としては残念である。




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『失踪症候群』 貫井徳郎 双葉文庫 - 2003年07月07日(月)

症候群シリーズの第1弾で、ちょっと異色な警察ミステリーという範疇でしょうか。
警察の外部組織(特殊班)を描いたシリーズで、ミステリ版の必殺シリーズ(あるいはハングマン)と呼ばれていますが“必殺”好きの貫井さんの趣味が仕事に生かされた(?)作品ともいえるかな。

本作で家出した若者たちは別人の名前に生まれかわって新たな人生を送ろうとしている。
導入部分が特に素晴らしいだけにちょっとそのあとの展開等が中途半端な気もする。
あと感じたのは若者全体が退廃的過ぎて辛い。不動産屋に勤める馬橋なんかは辛いを通り越して惨め過ぎるキャラです。

特殊班チームの中では原田だけが等身大(というか身近な)のキャラなので原田と彼の娘との話はほろりとさせられる方もいらっしゃるだろうとは思いますが、他の3人とは距離があってちょっと残念な気がした。
リーダーである環敬吾や倉持や武藤が個性的過ぎて受け入れにくかったなあ。

まあ、それなりに次々と失踪していく若者たちがどのようにリンクしていくのかは興味深く読めるのも事実ですが、チームの内の2人(倉持と武藤)が個性的過ぎてあんまり犯人連中と変わらない気がしてどうも入り込めませんでした。

代表作と言われてる『慟哭』と比べたら消化不良かなあと強く感じた1冊でもあります。
犯人側のトリックも弱すぎて印象に残らないレベルだなと思いましたがみなさんはどうでしょうかね。

特殊班チームの存在自体が希薄過ぎたのが残念ですが本来そうあるべきものなのでしょうね(笑)
ただ『誘拐症候群』『殺人症候群』とだんだん面白くなって行くらしいので次も読んでみたいとは思います。



評価6点。



















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『分岐点』 古処誠二 双葉社 - 2003年07月05日(土)

本作品は戦争をテーマとしており、終戦間際の日本の実態を克明に綴った佳作である。
本土決戦が迫っていたこの時期、中学生までもが動員されてたのは驚愕の事実として受け止めなければならない。
誰もが日本の敗戦をわかりつつも口に出す事は決してしないというか出来ない時代であった。

読みどころは国の為ということで頑張っていた伍長クラスの人がふと本音漏らしたりそう言った行動に出るシーンかな。
そこに少し人間らしさを感じ取る事も出来る。

それとなんといっても対馬智と成瀬憲之とのコントラストが見事。
でも2人ともとても13歳には思えない。
本作に出てくる登場人物はみな、ある種現代人からみたら狂気じみていることは否定できない。
しかしながらひとりとして一生懸命に生きていない人はいない。
とっても人間らしいのである。
視点的にいちばん現代人に近いのは片桐少尉だが、彼の心理面での苦悩は納得の行くものであった。
誰も彼らを攻めることは出来ない点に戦争の重みがズシリとのしかかってくる。
この点を強く認識出来ただけで読んだ価値があると言えよう。
かなり重い話ですがノンフィクション的なリアリティ溢れる作品です。

古処さん、初読みですが日本人の心を上手く描けてる点は素晴らしい。
殺人の動機がとっても切ないのでちょっと許しちゃいました。
ただ、文章はちょっと読みづらいかもしれませんので・・・
でも読んでる間だけでも皇国民になり切れると信じています(笑)
きっと今の私たちのしあわせはこの人たちのおかげだと素直に感謝の気持ちを捧げたいと思います。

評価8点。



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『春風ぞ吹く 代書屋五郎太参る』 宇江佐真理 新潮社 - 2003年07月04日(金)

宇江佐真理の時代小説は本当に読みやすい。
本作は男性主人公の武家物の人情話が綴られている。
内容は恋愛小説に青春小説をミックスしたような作品に仕上がっている。
他の宇江佐さんの作品と比べて、ほのぼの度においては飛びぬけているような気がする。

要因はズバリ主人公五郎太の性格に尽きる。とっても心優しい。
主人公のキャラがいいから、周りを取り巻く人々もとってもいい。

生活苦のために代書屋の内職をするかたわら、大好きな紀乃との結婚を果たすために必死に学問に励む五郎太が微笑ましい。
たまに喧嘩をするシーンなんかも上手く織り交ぜていて適度にやきもきさせてくれるところも心憎い。

代書に持ち込まれる騒動は1篇1篇人情味のある話が語られ連作短篇集ならではの特徴が出ていて作品全体としても機能している。
特に五郎太の師匠や恩師達(二階堂秀遠・橘和多利・大沢紫舟)の過去にまつわる話はどれも泣ける話となっている。
個人的なベストは「千もの言葉より」かなあ。

あえてファンとして苦言を呈すれば、最終編がちょっと書き急がれたような気がしてならない。
でもとにかく爽やかで暖かい作品なのは間違いない。

江戸時代の受験の実態もわかり、現代と同じく大変だったのだなあとちょっぴり切ない気分にもなりました。
女性の方、読まれて主人公に惚れてください。

評価8点。

宇江佐さん著作リストは《こちら》


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『仔羊の巣』 坂木司 東京創元社 - 2003年07月03日(木)

『青空の卵』の続編です。

まず、タイトル名(『青空の卵』→『仔羊の巣』)からして物語の広がりを表している。
本作は全作にも増して1篇1篇が長くなっており連作中編集と呼ぶべき内容となっている。

またまた新たな出会いが起こります。
人と人との暖かいつながりは前作以上に表れており読んでいて心地よい。
くつろいで安心して読める作品と言えそうですね。

前作に比べて鳥井の自慢の料理シーンや名推理より、周りの登場人物の活躍が目立ったような気がする。
1篇目では同僚の吉成くんや佐久間さん、2篇目ではは土屋さんや利明くん、最終篇では矢崎さん・・・
特に最終章ではかなりの人物が総出演といった感じで出てきて、季節感も上手く醸し出して(クリスマス)なかなかのものです。
それも究極的には坂木と鳥井の仲のことが発端となって起こった事件なんで余計に面白く仕上がっている。

個人的には最年長の栄三郎さんの存在感が作品全体を引き締めてるような気がしました。
人と人とのふれあいを大切にする作者の意図のあらわれなんでしょうね、きっと。

作者にとって、坂木さん(登場人物の)って理想の男性なんでしょうかね?
お人よしみたいに言っててそれが謙遜みたいに受け止めてしまいました。

それにしてもふたり(坂木と鳥井)の仲はどこまで良くなり続けるのでしょうか?
三部作らしいのであと1作楽しみにしております。
最後は長編らしいですよ。
前作を読まなければ理解し辛いであろうことをつけくわえておきます。

評価8点。


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《K−19》 ビデオ - 2003年07月02日(水)

評価8点。(2002・米・137分)

戦争映画というか放射能の怖さを知る為の反戦映画といったほうがいいと思う。
実話と言う事なんでちょっと見終わった後に考えさせられることが多かったです。
人間というより“リーダーとしての資質”を問うた作品として見たらおもしろいかもしれません。

ちょっとハリソン・フォードがロシア人という設定で皆が英語を話してるという点は違和感があるかもしれませんがどうでしょうか。
ハリソンの貫禄の演技はもちろんのこと、リーアム・ニーソンやあと脇を固める放射能部屋に入って頑張った勇気ある若者たちに拍手を送りたいと思う。
本当の主役は彼らかもしれませんね。

現代人にとって組織の中でいかに生きていくかの重要性を学ぶことが出来た作品とも言えそうです。
ちょっと重苦しいので心して見て下さいね。



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《壬生義士伝》 ビデオ - 2003年07月01日(火)

評価9点。オススメ(2002・日・137分)

『たそがれ清兵衛』といい、本作といいこのところ邦画を見たほうが感動度が高い。
もちろん原作・脚本ともに素晴らしいのだろうが、主演俳優の熱演も光っている。
中井貴一、いい役者になりました。とっても力強く演じている。

『たそがれ清兵衛』同様、本作も究極の家族愛と武士はどうあるべきか!男はどうあるべきかを描いている。
映像的には『たそがれ〜』の方が綺麗に取れてるような気もした。
逆に感動度で言えば本作のほうが上かもしれない。

脇役では中谷美紀ちゃん、あんまり出番がないのだけど儚げな役を演じていてとっても印象的です。ちょっと濡れ場もあって結構ドキッとさせられました(笑)

あと、忘れてならないのは斎藤役の佐藤浩一の熱演、ある種男の友情を強く感じさせる役回りがいい。
原作はどうなってるかわからないが、回想シーンのプロセスを取ってるところが憎らしい。
老人役は様になってたかどうかは別として、印象度は高いですね。

新撰組に関してもちょっとばかり知識がついて、原作ともども司馬遼太郎さんの『燃えよ剣』あたりも読みたいなあという意欲をわかせてくれた作品でもあります。
本作は新撰組藩士を武勇伝的に描いてない点が却って新鮮味がある気がした。

個人的には最後に子どもが貫一郎の志を受け継いで行くシーンがいちばん感動的でした。
でも死ぬ前にもう1度家族と会わせてあげたかったなあ・・・

吉村貫一郎(中井)、本来はとっても不幸な男である。でも不幸を感じさせないのは、愛する妻や家族の為に義を尽くしているに他ならない。

見終わった後、少しは明日から自己を奮い立たせて生きることが出来るような気がした。





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