『其の一日』 諸田玲子 講談社 - 2003年06月30日(月) 4編からなる短篇集で吉川英治新人文学賞受賞作品です。 諸田さん著作リストは《こちら》 運命に翻弄されながらも一生懸命に生きる主人公たちを活写している。 どの話も緊迫感があって読ませてくれる。難を言えばちょっと地味すぎるかなと言う点か・・・ 全体として、他の諸田さんの作品よりも心理描写が凄いなあと思いました。 そのへんは短篇集であるがゆえにより研ぎ澄まされた文章となってるような気がする。 桜田門外の変、箕輪心中など史実に基づいた篇もある(全部かもしれませんが?)ので興味深く読める。 特に、女性主人公の2篇がとってもとが印象的。 夫の自害の原因を調べて行く内に凄い事実に辿り着く過程を見事に描いた「蛙」 20年以上思い続けてきた男(井伊直弼)の安否を気遣う女の心情が滲み出た「釜中の魚」。 やはり女性の情感を描写するのは際立っている。 他の2篇も葛藤しながらもそれぞれの主人公の気持ちを深く入り込んで描写してる。 まるで読者に他人に対する思い入れというものを考え直しなさいと教えてくれているような気分にさせられる。 地味だけど安心して読める1冊だといえそうです。 読んだ次の日から少しは懸命に生きようと努力してるような気がしますが・・・(笑) 評価8点。 ... 『ZOO』 乙一 集英社 - 2003年06月29日(日) 10篇からなる短篇集です。ジャンル的にはちょっとSFがかったホラー短篇集に分類できるのでしょうかね。 なんといっても「SEVEN ROOMS」が秀逸。 これ1作読めただけでも良かったと言う人もいらっしゃると思いますが、そのへんの評価の分かれ目が乙一ファン度のバロメーターともいえるでしょうね。 1作だけ飛びぬけたインパクトのある作品のような気がするので冒頭に持って来なかったのは正解とも言えそうです。 ほかもちょっと滑稽だけどホラー色の強い乙一ワールドが満開。 多少好みの問題もあるけど安定して読める作品集といえるかな。 個人的には他に「カザリとヨーコ」と「落ちる飛行機の中で」がよかった。 前者は従来の乙一さんのよさが出てて、また後者は逆に今までにない感じの作品だと言えそうです。 ただ、『きみにしか聞こえない』に代表される初期の切ないセンチメンタルな作品を求めてる読者はあんまり満足できないかも知れません。 書かれた年月日もかなり長期間(1998〜2002年)に渡っているので寄せ集め的な感も否めず、作品集としてのコンセプト的には弱いような気もしますが、現時点での集大成的作品集として受け止めれる方はいろんな乙一ワールドが楽しめるのでいいかもしれません。 個人的には切ない作品を求めたいので、いささかガッカリしたのも事実です。 あと、いつもの楽しみの作者による“あとがき”がないのがとっても残念だったことも付け加えておきたく思う。 評価の高い作家だけに“面白かって当然!”というプレッシャーに打ち勝てるかが今後の焦点となってきそうです。 評価7点。 ... 『暗黒童話』 乙一 集英社 - 2003年06月27日(金) ある日、私は片目を失った。そして、その日までの記憶も・・・。 祖父のはからいで眼球移植を受けた私の頭に、時折激しい痛みと共に見知らぬ映像がよぎる。 その映像の源を求めて旅に出た私は・・・。ノベルズ版帯より かなりグロテスクな猟奇的な話なんで、通常の“せつない話”を期待される方には驚かれるでしょう。心して読んでください。 ジャンル的にはSFホラーに分類されるのでしょうね。 ホラー好きな人にはいいでしょうが、ホラー嫌いの人にはあんまりオススメ出来る作品じゃないかもしれません。 でも私が完読出来たからそんなこと懸念する事もないかもね(^○^) しかし、自由奔放に書いた作品なんで乙一さん自身は満足度の高い作品だと思ったりしますがどうでしょうか。 作品の中の童話(『アイのメモリー』)の方が話として面白かったのは残念です。そのために本体の話が霞んでるような気もした。 あと印象に残ってるのは、手術前と比べて変わり果てた菜深に対する親(特に母親)の変貌振りが寂しい気持ちを増殖させました。 ただ、ミステリー度も多少あってその側面から見たら読み応えあるかもしれません。読んでのお楽しみと言う事で・・・ でも泣けるような話を書いて欲しいと痛感した1冊でもあります。 評価6点。 ... 『藩校早春賦』 宮本昌孝 集英社文庫 - 2003年06月25日(水) とっても爽やかで明るい作品だ。 作者名からして固いイメージがあったがとんでもなかった(笑) 清々しい青春小説の佳作と言えそうです。 舞台は東海地方の某藩、藩校の建設から始まって厳しい階級社会の中でもまれて成長して行く3人の姿がとっても印象的である。 3人(新吾・太郎佐衛門・仙之助)をいろんなエピソードを交えて描いている。 3人とも階級や性格が違っていてそれが作品の中で上手く生かされている点は見逃せない。 御家騒動や、恋心を抱くシーン、あるいは剣客シーンなど読みどころ一杯過ぎて困ってしまいます(笑) まっすぐに生きている3人はもちろんのこと、脇を固める登場人物もバラエティに富んでいて素晴らしく特に真吾の隣に住む志保との恋模様が続編(『夏雲あがれ』)以降どう展開されるかとっても楽しみとなりました。 “正義と純真さの素晴らしさを教えてくれる1冊”と言えそうです。 評価8点。 ... 『ブルーもしくはブルー』 山本文緒 角川文庫 - 2003年06月24日(火) 山文さん、ひさびさに長編に挑戦しました。 ちょうど、NHKでドラマ化されてるのでいい機会となった。 ドラマはまだ序盤ですが、細部にわたってドラマと設定が違うような感じです。 他の山本作品と一線を画する作品となっている。 意外とサスペンスフルなんで驚かれた方も多いと思います。 よくある“隣の芝生は青く見える”という典型的な話で、物語はどんどん進んでいきます。 誰もがもういちどやり直せたらなあと思う人生。 ドッペルベンガーによってそれを実現するのだが、お互い(蒼子Aと蒼子B)が予想通り夢見て入れ替わったのが現実は厳しいという事を悟って行く過程が見事に描かれてます。 やはりこういう結末になるだろうと思っていてもそうさせないあたりは山文さんの術中に嵌っているような気がした。 女性にとって本当の幸せとは何かを見つめなおす恰好の作品と言えそうです。 いや、現実的には不可能なんでひとときでも甘い夢を見させてくれる物語かもしれませんね。 ほんのひとときだからこそいいかもしれません(笑) そうそう、私は蒼子Bさんの方がタイプです。地味な方ですよ(笑) 結婚小説として読まれてもいい勉強となるかもしれませんね。 評価7点。 ... 『沙羅は和子の名を呼ぶ』 加納朋子 集英社文庫 - 2003年06月23日(月) 加納さんのお得意の連作短篇集じゃないけどテーマはファンタジックなものばかりで一貫してる作品集です。 ズバリキーワードは“幽霊”。 10篇からなりますが短いのは4ページのものもあって内容的にはバラエティー豊かな構成となっている。 しかしながら雑誌掲載が多岐にわたっており(全部で5誌)期間も94年から99年までにわたるので作品のコンセプト的にはちょっと寄せ集め的な感は拭えないかなあとちょっと残念な気もした。 個人的にはラストの2篇(「オレンジの半分」「沙羅は和子の名を呼ぶ」)が飛びぬけて面白いような気がした。 「オレンジの半分」は初期の三部作を彷彿させるキレのいい話と卓越された女の子の心理描写が楽しめる。 「沙羅は〜」は誰しも持っている過去の人生における後悔を上手く盛り込んでいてハッとさせられ切なくもある。 あとはちょっと中途半端で加納さんの心暖まる話を堪能する事が出来なかった。もちろん、期待が大きいから仕方がないのでしょうがね(笑) 後味の決してよくない話が入ってたのもマイナス材料だったような気がする。 評価7点。 ... 『ジゴロ』 中山可穂 集英社 - 2003年06月21日(土) ひさびさに中山可穂さんの作品を読んだ。 タイトルのネーミング(『ジゴロ』)がとってもよい。 内容はいつもの(笑)レズビアンものだが、いつもより軽く読めて心地よく感じた。 ディープなファンにとってはどうかわからないが、初めて読まれる方も違和感なく読める一冊かもしれません。 文章も意外と(?)爽やかに綴られてると思う。 読み進めて行く内に物語に入りこんでいけるようになる点はさすがだなあと思った。 ひとそれぞれにいろんな恋があるが、まさに究極の恋を描いている。 ストリートミュージシャンのカイが主人公となっている5篇からなる連作短篇集だが、カイが少ししか出てこない篇もあっていろんな女性の生き様を体験することができる。 それにしてもカイって言う人は不思議な魅力を持った人だ。 年上の既婚者好きと言う設定がいいのかな。でもよくもてるが年下には見向きもしない。 彼女が恋人の(?)メグに対して嫉妬するところが一番の魅力かなと思ったりします。 各篇それぞれ魅力ある人が意外と同性者を一途に愛しますが、本当に人ってわからないなあと実感させてくれます。 かえって同性愛者が読んだら共感できないかもしれませんね。 個人的に好きな篇は皮肉にもカイがステディな関係を結ばない「恋路すすむ」と「上海動物園にて」です。 「上海動物園にて」の順子さん、とっても魅力的です。それとラストの携帯電話のエピソード、メグに対するカイの気持ちがとっても上手く表現されていると感じました。 読者にとってちょっと興奮し、逆に冷静さを取り戻させてくれる作品だと思います。 評価7点。 ... 『青空の卵』 坂木司 東京創元社 - 2003年06月20日(金) 作者と同名の坂木司は外資系の生保に勤めるサラリーマンでワトソン役。 彼の友達でひきこもりの鳥井はプログラマーで料理が得意でホームズ役。 いつも坂木が持ってくる相談事を鳥井が名推理で暴いて行くのであった・・・ 日常に起こるミステリーなんだけど、1篇1篇が結構長くて奥も深い。 ひきこもりの鳥井を中心に事件を追うごとに成長をしていく姿も見られまた四季感も織り交ぜていて心地よい。 そしてなんと言ってもとっても文章が上手いなあと感じる。 題材的にも日常のありふれたものが、実はかなり社会派的な題材であったり(性犯罪や障害者問題)して興味は尽きない。 ちょっと推理が飛躍しすぎと言うかこじつけ過ぎな感も否めないが、それを言い出したら小説は楽しめないと割り切って読んだ(笑) 坂木の人の良さは作者の暖かいまなざしだと感じ取れます。 話が進むごとに前に出てきた人が登場して活躍するシーンも微笑ましく感じられる。 最後の料理屋を開く短い1編なんかはその典型だといえよう。 ちょっと奇妙なりにも男の友情っていいなあと痛感させられる1冊と言えそうです。 ただ、鳥井に関しては多少なりともわがままな性格なんで(そのいきさつは別として)ちょっとイライラされるかもしれませんね。 巻末のインタビューを見ると作者はプロフィールを明かしてないがはたして男性だろうか女性だろうか? 加納朋子さんや北村薫さんのファンの方は是非読み比べて欲しいと思う。 評価8点。 ... 『重力ピエロ』 伊坂幸太郎 新潮社 - 2003年06月18日(水) 冒頭から衝撃的なフレーズで始まる。 「春が二階から落ちてきた。」 舞台は仙台、異母兄弟の泉水と春と闘病中の父親との3人の親子愛と兄弟愛を描いている。連続放火事件と落書きと遺伝子の謎が結びついた異色作であるがミステリー度はそんなに高くない。 とっても博学な作家だ。巻末の参考文献の数は驚くほど多い。 評価の分かれ目として、遺伝子等の博学な知識を披露している部分を楽しく読めるかどうかがポイントとなっているような気がする。 そう言った面では中だるみもあったような気もする。 物語としての展開自体は読めた部分も多かったがそれを超えた感動と言うのももたらせてくれた作品である。 もっとも読まれた方の大半はそうだと思いますが・・・ 文体も重厚さはまったくなくて洒落てて読みやすくそして知識がつく新時代の小説といえそう。 巧妙なフレーズも多用しており既に作者自身のスタイルを完全に確立してるものだと言えよう。 ただミステリーとして期待され読まれた方は肩透かしをくらうかもしれません。 “家族小説”として読まれた方には心地よい感動が待っているといって良いでしょう。 ちょっと胸が痛くかつ熱くなる小説です。 本多孝好さんの書評はこちら 評価8点。 ... 『黄色い目の魚』 佐藤多佳子 新潮社 - 2003年06月17日(火) きっと読み手を選ぶ小説なんだろう。 みなさん、絶賛されてるのでちょっと感想をアップしにくいのですが(苦笑)、以前『冷静と情熱のあいだ』を読んだ時に感じたのと同じような気持ちになった。 性別・年令によって随分受け止め方が違ってくる典型的な作品だと思う。 個人的には20年前に読みたかった本ですね。 江國香織さんのファンの方には合う作品なんでしょうね。 文体が合わないというかちょっと歯切れが悪いというのか、どうしても、普段、山文さんの現実的なグサリとくる恋愛小説を敬愛している私としたらちょっと物足りないというか、現実離れした話なのでちょっと留保を付けたく思う。 いや、高校生に取ったら現実なのかもしれませんね。私が年を取りすぎたのでしょうかね。 でも『翼はいつまでも』には感動したのですよ。『翼はいつまでも』のように万人受けもしないような気がしました。 きっと女性向きの作品なんでしょうね。 森絵都さんの『永遠の明日』は完全に過去を卒業アルバムを見るように回想している話なんで、懐かしんで読むことが出来るために心地よかったけど、本作は現在進行形で進んでる話なんでちょっと視点が違いすぎてどうかなあと・・・ あと名作『しゃべれどもしゃべれども』の強いイメージがあるのでギャップが生じたのも事実です。 うまく2人(木島と村田)の心のゆれを描いてるんでしょうが。 主人公が2人なのが受け入れられなかった原因かもしれません。 片方に焦点を当てればもっとスムーズなのにと思ったりしますが、評価されてる方はそこがいいのでしょうね。 ちょっと欲張りすぎたかなあと思ったり、あと木島クンの身勝手さが目についたり(女性が読まれたらそんなに感じないと思いますが) ピュアすぎて馴染めないのはわかってるのですがね。 男心より女心を揺さぶる作品なんでしょう。 でも完読出来たから褒めてやってください(笑) でも、女性の友人には勧めるつもりでいます。 「私はあんまり面白くなかったけど、きっといい本だから読んでみてね。」ってね(笑) 評価6点 ... 『眩惑』 諸田玲子 徳間文庫 - 2003年06月16日(月) 諸田さんのデビュー作である単行本『眩惑』に書き下ろし1篇を加えた3篇からなる初めての文庫本です。 諸田さん著作リストは《こちら》 いずれもが魅力ある女性に翻弄される男の人生を描いている。 時にミステリアスに時にシニカルに描いていてテンポ良く読める。 女の情念の凄さ・怖さを思い知ることが出来る作品と言えそうで、現在の諸田さんのエッセンスが凝縮された作品といえよう。 冒頭の「花火」は特に歯切れが良くドラマティック。見事なラストに唸らされてしまった。 佐和さん、恐れ入りましたといいたいです。 中編の「竹薮をぬけて」はラストが私的には混乱を招いてわかりづらかったです。ちょっと評価の分かれる作品と言えそうですね。 哀しい作品といえそうです。 表題作の「眩惑」、まとまってていいのだけど、結末がわかっててそれを振り返るという流れがちょっと受け付けなかったかな。 どの話も緊迫感があって思わず読者も眩惑されそうになる作品です。 ちょっと男がだらしないのだが、当たってる点を突いているので否定のしようがない(笑) デビュー作としたらまずまずといったところでしょうかね。 文体的にはハードボイルド調の作品集と言えそうです。 「なぜ、すまないと思わなきゃいけないんです?松之助さまに惚れていたのはほんとですけど、でもあのお方は死んじまったんですよ。死んじまったお人に操をたてたって、だれも喜びゃしません」 評価7点。 ... 《アバウト・ア・ボーイ》&《ドライブ》 ビデオ - 2003年06月15日(日) ☆アバウト・ア・ボーイ 評価8点。(2002・英・米・仏・101分) とってもハートウォーミングな作品である。 ヒュー・グラントが適役でいい味を出している。 父親の残したヒット曲の印税で仕事もせずにずっと独身を通してのほほんと生きてきたウィル(グラント)が、12才の少年マーカスと知り合う事によって心を通わせて行く家庭が見事に描かれている。 恋人(?)役のレイチェル(レイチェル・ワイズ)はハムナプトラに出てたがちょっと違った感じがまた良い。 ハリウッド映画にはない良さが出てたような気がします。 情緒不安定な母親を持ち学校でもいじめられているマーカスの家庭環境はかなり辛いものがあるけど、それを感じさせない前向きなものがこの作品を支配していててよかったです。 最後は自然と前向きな気持ちになれるのが心地よい作品です。 原作はイギリスでのベストセラーらしい。機会があれば挑戦したく思った。 ☆ドライブ 評価3点。(2002・日・102分) はっきり言って騙されたっと思った作品です。 映画やビデオは出演者で見るケースが非常に多いです。 この作品も柴咲コウちゃんが出てるのでレンタルしました。 クレジットを見ても2番目だったのでヒロイン的な役柄かなっと当然の如く期待してみたのですが・・・ 登場したのは最初と最後にわずかに出て来ただけで、本作品の本筋にはほとんど関与していないものでした。 堤さんや大杉さんあるいは安藤クンに筧さん、かなりの豪華キャストなのは認めますが、ちょっとファンをバカにした宣伝方法かなっと思います。 通常の映画では“特別出演”とか“友情出演”って感じで出てる場合があるけど、まさにそういった感じです。 内容自体はまあまあかもしれません。でも、いつ出るのだろうかと思って期待をして見た者としたらイライラが募ってストレスがたまる一方でした。 映画館で見られた人はもっと残念だったと思います。 ... 『甘露梅 お針子おとせ吉原春秋』(再読) 宇江佐真理 光文社 - 2003年06月14日(土) 連作短篇集の名手、宇江佐さんの上手さが際立った作品です。 初めて読んだ時より感動が深かったような気がしました。 切なくて感動的な物語だ。読後感もいい。 とにかく、普通の長編小説じゃなくって1篇1篇楽しめる。特に各篇のエンディングがとっても印象的で上手くまとめている。 宇江佐さん著作リストは《こちら》 新吉原という遊郭を舞台とした命がけの恋が描かれてます。 岡引の主人をなくした後家さんの“おとせ”が「海老屋」という遊女屋でお針子として奉公する一年あまりを季節感たっぷりと描いています。 あんまり深読みすると落藉などの話も出てくるので悲しすぎるかもしれませんが・・・ 内容はあえて詳しくは触れませんが、禁じられた恋の“喜蝶と筆吉”と“おとせと凧助”。この2組の恋の行方がどうなるかがポイントで目が離せません。 どの話もいい話ばかりだが、特に「くくり猿」と最後の「仮宅・雪景色」は圧巻です。 宇江佐さんの人物造型の確かさは定評のあるところであるが、本作は特に“おとせ”が人間らしくてとっても共感できる。 最後の“おとせ”の決断には女としてのいとおしさが漂ってるように思えます。ちょっとした女心の変化を自然とした流れで描き出している点は見逃せない。 人を想うという素直な気持ちを想い出させてくれる秀作です。 宇江佐さんの作品の中ではもっとも情感溢れた作品といえるかもしれませんね。 読者が同性であれ異性であれ主人公に恋をする物語です。 おとせのやさしさと哀しさ、是非味わってください。 評価9点。オススメ ... 『命日 短篇セレクション 幻想篇』 小池真理子 集英社文庫 - 2003年06月13日(金) 3冊目は幻想篇に挑戦した。 ドラマ化したら面白そうな作品ばかりです。 切なくて怖い作品が並んでるので根っからの小池さんのファンや幽霊話や怪異譚のお好きな方には恰好の作品だと思う。 私的には、若干ホラー作品に対する苦手意識がある為に少し読みづらかったのは事実です。 でも完読出来たから褒めてやってください(笑) タイトルからして怖そうです。「命日」「家鳴り」「流山寺」「水無月の墓」「ミミ」以上5篇。 どの作品も死者が近くに現れますので、読まれる方の感性によって捉え方が違ってくるなあと思います。 どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが幻想かが気にせずに読める方には心地よいかもしれません。 私の1番のお気に入りは「ミミ」です。ミミちゃんが可愛くて切ない話です。 それにしても小池さんの美しい文章は本作のような作品によって最も際立って見えるようにも思いますね。 さりげなく書いてて怖い“怪談短篇集”と言えそうです。 真夜中に読んだらもっと面白かったかもね(笑) ちょっと評価は低くしますが他の2作との個人的な比較によるものですのであしからず。 評価6点。 ... 『絶対泣かない』 山本文緒 角川文庫 - 2003年06月12日(木) お見合いをすれば、贅沢さえ言わなければ、こんな私でも結婚できるのではないか。そう私は思っていた。けれど、現実はアラスカの冬のように厳しかった。(「ものすごく見栄っぱり」より) 山本文緒は比喩表現のの天才だ。 思わず読みながらニヤリとさせられてそれがとっても心地よい。 本作は『ブラックティー』や『みんないってしまう』のように後ろ向きで変わった人物が登場してるわけではない。 どの話も普通に生きてる人の小さな悩みを活写している。 15人の登場人物、それぞれに共感できる。皆が前向きな姿勢を貫いて生きている。 ちょっと仕事で疲れたときに読んだら一服の清涼剤的に心を和ませてくれる1冊だといえそうです。 他の山本作品よりまなざしが優しいような気がする。 ただ、従来の辛辣で毒気のあるものを求めてる人にはちょっと不満が生じてもしかたないとは思った。 でも、話作りの上手さは天下一品ですよね。 女性が読まれたら“自分だけじゃない”って感じると思いますよ。 個人的なお気に入りは「ものすごく見栄っぱり」「愛でしょ、愛」「絶対、泣かない」 評価7点。 ... 『泣かない女 短篇セレクション ミステリー篇』 小池真理子 集英社文庫 - 2003年06月11日(水) 今回はミステリー篇、ちょっとミステリー的な要素もあるが基本は心理サスペンスである。 4編とも研ぎ澄まされた小池さんの短篇を満喫できる。 小池さん自身がセレクトされた作品集だと思われるが、結末後を読者に委ねている作品も入っていて読ませてくれる。とにかく人の心の裏側を鋭く抉ってくるので読んでて快感でもある(笑) 表題作の「妻の女友達」は怖い。主人公の夫も凄いが妻が上手なのには恐れ入りました。日本推理作家協会賞受賞作らしい。 次の、「泣かない女」と「悪者は誰?」は対照的な作品である。 前者は愚かな男性を、後者は愚かな女性を描いていて面白い。 特に後者は真面目な夫を殺そうとする狂気の女性を描いていて興味深く読めた。 ラストの「鍵老人」はすっきりした結末で納得しました。 そうです、解説は宮部みゆきさん。歯切れのいい元気な解説です(笑) 評価8点。 ... 『犬吉』 諸田玲子 文藝春秋 - 2003年06月10日(火) 時は元禄、徳川綱吉治世の頃、ちょうど生類憐れみの令が施行されていた。 折りしも赤穂浪士の吉良邸討入りの夜、江戸郊外の御囲で犬の世話をしていた女性“犬吉”(いぬきち)はひとりの侍に恋し、ある事件に巻き込まれる・・・ 諸田さん著作リストは《こちら》 ひとりの女性の狂おしいまでの恋を描ききっている。 一人称のモノローグ調で語られているために感情がとっても素直に表現されていて読んでいるほうも圧倒される。 わずか一夜でこんなに人の運命って変わるのだろうかと感心すること間違いなし。 史実を交えてる為に臨場感もあって当時の風潮(犬を厚く保護する)や人々の不満もよくわかっていい勉強にもなる作品である。 なんといっても犬吉の侍“依田”に対する熱情に尽きる一作である。 ひとりの女性の人生の儚さと運命の出会いをスリリングな展開で描いている。 女性としての情熱的な生き方をしている犬吉に感動しない方はいないと思いますね。 ちょっと辛い描写もあるけど、読み終えたときに幸せな気持ちで本を閉じる事が出来る作品です。 それにしても諸田玲子に女性主人公はよく似合う。 本作は時世に合わせて犬をこよなく愛した女性を主人公に持ってくることによって、よりその時代に入り込んでいけるというアイデア作品ですが、悪法の“生類憐みの令”に翻弄されつつも健気に生きる“犬吉”の姿は本当にいとおしいほど切ない。 今までの自分の過去を顧みて疑いつつも信じて行こうとする姿には胸を打たれることでしょう。 是非女性に読んでいただいて共感して貰いたい作品であります。 評価9点。オススメ ... 『会いたかった人 短篇セレクション サイコ・サスペンス篇�機戞‐�池真理子 集英社文庫 - 2003年06月09日(月) 去年文庫化された小池さんの短篇セレクションです。 著作数がかなり多いので全部は無理と言う人に彼女の魅力が凝縮されたお薦めの作品集です。 全3作からなるがいずれも狂気の人々が登場する(笑) どれもがなかなかストーリー展開がスリリングで楽しめる。 最初の「会いたかった人」は一番歯切れがいい作品であるが 先が読めるのがちょっと残念。 2番めの「倒錯の庭」、この話は三角関係もありちょっと幻想的な話で女性には受けるかなと思った。 個人的には最後の「災厄の犬」が1番怖くて面白い。 主人公の中年男性はいつもながら馬鹿げた男性主人公だが(笑)、話の展開がとっても面白かった。 落ち込んだ時に読んだら却って勇気づけられるかもしれない。 お気軽に読める短編集です。文章も歯切れ良くていい感じです。 評価7点。 ... 『一の富 並木拍子郎種取帳』 松井今朝子 角川春樹事務所 - 2003年06月08日(日) 5編からなる連作短編集です。 主人公の拍子郎は武士であるが、狂言作者になりたい為に人気狂言作者の並木五瓶に弟子入りする。 サブタイトルの“種取帳”からもわかるように芝居のタネになる話を師匠の五瓶に毎回持ってくる。 それぞれの話が、芝居の話とリンクしておるので芝居話等に興味のある人は結構楽しめるかもしれませんが・・・ 普段、宇江佐真理さんの平易な文章をたくさん読んでるので、どうしても読みにくいなあという先入観を持って読んでしまったのが残念な気がする。 内容も、本作(捕物帖)のようなタイプの作品はどうしても登場人物のキャラが一番その作品を左右するポイントとなるのだが、正直言って拍子郎の存在感が薄すぎて少し物足りなかった。 一方、ヒロインのおあさは元気が良くなかなかいい感じであるが、2人のバランスが取れてないだけに残念。 だんだん、惹かれ合って行く拍子郎とおあさだがもっと2人の恋愛部分を熱く語ったほうが良かったような気もする。 捕物要素が強すぎるかな、ちょっとありきたりな感じは最後まで拭えなかった。 基本的に長編の方が持ち味の出る作家さんだと言えそうですね。 ただし、最後の表題作「一の富」が良かっただけに、続編も出た(タイトル名『二枚目』)みたいなんでそちらも機会があれば読みたいとは思う。 そうそう、おあさの作る料理の描写は季節感が滲み出てたと思います。 評価6点。 ... 《セレンディピティ》 ビデオ - 2003年06月07日(土) 評価8点。(2001・米・91分) クリスマス直前に運命の出会いをした、ジョナサン(ジョン・キューザック)とサラ(ケイト・ベッキンセール)。 お互いを忘れられずに数年後に・・ あんまり期待してなかっただけに却ってそれが良かった感じがする。 ちょっと出来すぎな気もするが恋愛映画だから仕方がないでしょう。 話の展開等も少しありきたりな感じがしたが、逢えない2人を上手く映像化してます。 音楽もニューヨークにピッタシで心地よいです。 主演の2人は地味めな印象も拭えないが、ラストのスケート場での再開シーンが忘れられない。 ケイトの笑顔が何と言っても素晴らしい。 こういうおとぎ話があってもいいなあと思えたから、満足できたのでしょうね(笑) 明るく楽しめる恋愛映画です。 誰にでも忘れられない人っていますよね(笑) ... 『玄冶店の女』 宇江佐真理 幻冬舎 - 2003年06月06日(金) 宇江佐さん著作リストは《こちら》 江戸・日本橋に「玄冶店(げんやだな)」と呼ばれる狭い路地があった。黒板塀に囲まれた妾宅が並ぶその一角で、元・花魁のお玉は小間物屋「糸玉」を営んでいる。そこには小粋だが懸命に生きている女たちが出入りしていた。(単行本帯より引用) 宇江佐さんの最新刊はとっても読みやすい8編からなる連作短編集となっている。 それぞれ季節感を醸し出すタイトルが決っていて、いつも以上に読者を物語に引き込んでくれる。 お玉を中心とした4人の主要登場人物の人物造形が際だっている。 幼少の小梅を除いてすべてわけありの人生を歩んできてるので性格はキツクてもどこか遠慮がちなところがかわいくてほっとする。 それぞれ、自分の幸せについて葛藤し模索しています。結果として死を選んだものもいたが、4人すべてが幸せな人生であったと信じたく思う。 女のしあわせについて色々考えさせられる作品であるが、宇江佐さんなりの理想をラストで描ききれているような気がする。 たとえ離れててもきっと心は通じあっていると信じあえてるのでしょうね。 誰もが納得し切ないけど清々しい気持ちで本を閉じれる秀作である。 私にとって宇江佐さんの作品の中で最も読みやすさ・わかりやすさという観点においてオススメの作品となった。 特に女性に方に強くオススメしたく思う。 評価9点。オススメ ... 『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午 文藝春秋 - 2003年06月05日(木) 主人公が探偵をしていた20歳の頃に関わった殺人事件と、老人を食い物にする悪徳会社の実態調査、そして、麻宮さくらとの恋愛と大体3つの話が並行して語られますがどうして繋がって行くのだろうかと思いながらページをめくる手を止めれませんでした。 とにかくストーリーの構成と伏線の張り方が本当に上手い。 ちょっと無理な設定もなきにしもあらずですが、それを言い出したらきりがないのでしょうね。 最後はまんまと騙されたっという感じですが、ミステリー好きにはたまらない一冊かもしれません。 まさに文藝春秋社の“本格ミステリーマスターズ”にピッタシの作品と言える。 ただ、個人的にはこのシリーズの本の装丁好きではありません。 悪徳商法や高年齢化社会など社会的な問題も取り上げてて実際に起こっても不思議でないからいい勉強にもなる1冊です。 いつまでも若くいたいなあと思わせてくれる作品です。 ただ、主人公が巨人ファンなんで1点割引(笑) 感想も遊び心で対抗します。 あとでもう1回結末がわかった上で読み直すのも面白いかもしれませんね。 貫井徳郎さんの『慟哭』のファンの方なんかは是非読んでもらえたら満足できるかなあと思いますよ。 評価8点。 ... 『あかね空』 山本一力 文藝春秋 - 2003年06月04日(水)
本作は現役の時代小説作家では乙川優三郎さんと人気・実力を二分しているといっても過言ではない著者の代表作と言われている作品で第126回直木賞受賞作品である。 受賞当時、同時ノミネートされた乙川さんが落選し山本さんが受賞されたので腑に落ちないと思ったものだが、本書を手にとってそれが杞憂だったことがわかった。 作風的には乙川さんが端正な文章で“武家もの”を得意としているのとは対照的に、著者の山本さんは力強い文章で“市井もの”を描いて熱く読者に訴えかける。 上方から江戸に出てきて豆腐やを開業した永吉とおふみ夫婦。味覚の違いにもめげずに商売は軌道に乗って行くのだが・・・ まず関西人として、主人公が関西弁(ここでは上方弁かな)なのが親しみやすい。 2部構成となっていているがこの構成も見事成功している。 第1部では子供が出来てから夫婦に少しづつ亀裂が入って行くのが辛くって仕方なかったけど第2部でその悩みも解消される。 親の死によってあとに残された子供たちがいかにそれぞれのわだかまりをなくして行くかを入念に書いている。 徐々にそれぞれの登場人物の思いが伝わってくる筋書きとなっていて、最終的に家族の絆を上手く描いている。 ひとりひとりの人物造型もきっちり出来ていて読みやすい。 特に妹の“おきみ”ちゃんがとっても健気な性格でいい。 あと、豆腐の値段や家賃等かなりリアルで臨場感を醸し出している点も見逃せない。 このあたりが他の作家と比べて描き方の秀でたところなのだろう。 小説を読む醍醐味のひとつに、普段日々の忙しさや現実の厳しさに追いやられた読者が当たり前のことなんだけど忘れがちになっている、生きて行く上でとっても大切なことを思い起こさせてくれる点があると思う。 本書なんか典型的なその例であって、本書を読まれて子供の幸せなくして親の幸せはないんだということを分からない読者っていないであろう。 きっと読者の脳裡に焼きつくのである。 とにかく、いつの時代も子供を思う親の気持ちは同じなんだなと再認識させてくれた点は作者に感謝したく思う。 仲の悪いようにも見えた永吉とおふみ夫婦が、子供たちのあいだのわだかまりが消えて結束できた事によって、理想の夫婦だったんだとわからせてくれたような気がした。 親が子供を思う気持ち、裏返せばこれは子供にとっても同じ事である。 なぜなら、長男“栄太郎”に腹が立ってた読者も最後にはきっと彼の気持ちもわかって本を閉じる事が出来るであろうから。 作者の筆力の高さを実感できた証拠であろう。 時代小説ってとっつきにくく感じられてる方が多いかもしれない。 確かに文章は現代物ほど早く読めない方もいらっしゃると思う。 ちなみに私もそうである。 しかしながら作者が伝えたいことは現代物となんら変わりない。 いや、むしろシンプルなのである。 そういう意味では、本作は時代小説というジャンルに留めずに“究極の家族小説”と捉えて読まれたらより楽しめることだろう。 心に隙間風が吹き始めていると少しでも感じている方是非手にとって下さい。 きっとあなたの心に熱き魂が戻ってくると確信しております。 評価9点。オススメ 2004年11月2日リライトしました。 ... 『真相』 横山秀夫 双葉社 - 2003年06月03日(火) 5編からなる短編集だが、いつもの舞台が警察じゃない点が目新しく感じる。 『動機』は表題作だけ警察が舞台だったので本作は単行本としたら初めての警察に関わってない人で構成された作品集といえる。 今後、このような作品も出てくるであろうが本作もなかなか読ませてくれる。 本作の各編は“税理士事務所・村長選挙・リストラされた中年・体育会系の話・過去に犯罪歴をもつ男”とバラエティに富んでいる。 どの話も一筋縄で終わりません。 舞台が警察を離れた事によって、より登場人物がドラマチックになったような気がする。 その点、やや緊迫感には欠けてるような気もしますが・・・ 5編ともとっても読みやすくていい。どれもがミステリー度があってどんなオチがあるのだろうかと胸を高鳴らせて読むことが出来る。 あえて選ぶとすれば感動度では表題作の「真相」、ミステリー度では「18番ホール」かな。 横山さんは期待を裏切らない。唯一期待を裏切ってるとすればあまりにもスイスイと読めてしまうことだろうか。 次はいつもの“警察小説”を読みたいと思わせてくれる作品です。 評価8点。 横山さん著作リストはこちら ... 『繋がれた明日』 真保裕一 朝日新聞社 - 2003年06月02日(月) 東野さんの『手紙』と同じような題材の作品である。 『手紙』は受刑者の弟(加害者の身内)が主人公、本作は受刑者本人が主人公となっている。 《bk1へ》 《Amazonへ》 真保さん得意の豊富な取材力によって本作も上手く脚色されていて、上級のエンターテイメントに仕上がっている。 中傷ビラの配布など、ちょっと被害者側の人間サイドから見て大げさな面も見受けれたが、サスペンスフルな展開等も含めたら満足できるかなあと思う。 主人公の隆太の心の葛藤がとってもよく描写されている。 被害者や目撃者に対して腹を立ててる面などを表す事により、“普通の人間らしさ”を彼から感じ取れたかな。 それは他の仮釈放された人間(服部)との獄外での生き方の違いによって読者に主人公の苦悩と前向きさを訴えている点も良く伝わっている。 題材的に、被害者側と加害者側の立場によって見方がにどうしても違ってくるので、結論の出ないような奥深さがあるだけに却ってはまって読んでしまう。 『手紙』は“強い兄弟愛”を本作は“罪と罰の本質”を強く描ききっている。 少しラストが物足りない感もするが(ちょっと微笑ましすぎたかな)、読者に対しては十分に問題提議できてると思う。 あと、主人公をを支えた“保護司”の大塚さんの真摯な接し方も心に残った。 誰がビラを撒いたかなどミステリー的にも楽しめる事を付け加えておきたい。 完成度では『手紙』に劣るが、本作のほうが“ハード”な内容です。 あえて同情されにくいはずの受刑者本人を主人公に据えた真保さんに拍手を送りたい。 フィクションとして割り切って読んだらきっと楽しめる事でしょう。 本好きの方なら主人公に感情移入できると思います。 隆太の心の変化は読者の心の変化だといえるでしょう。 評価9点。オススメ ... 《マイノリティー・リポート》&《容疑者》 ビデオ - 2003年06月01日(日) ☆マイノリティー・リポート 評価7点。(2002・米・145分) 本作は145分、2時間を越える作品はとっても長く感じてちょっとキツイ。スピード感はあるのだけど・・・ トム・クルーズのファンの方は引き込まれるだろうけど、ちょっと途中で集中力がなくなったような気がしました。 映画自体としたらSFミステリーと言った感じです。作りも凝ってて細部まで気をつけて見ればもっと高い評価が出来るだろうとも思います。 途中逃げ回るシーンはハラハラして面白かったですが、話の内容にはちょっと興味がついていきませんでした。 ちょっと期待はずれかな(笑) スピルバーグに対する期待が大きいので評価はいろいろでしょうが、劇場で恋人と一緒に娯楽作品として見るにはいいのかもしれませんね。 そうそう、期待していたコリン・ファレルもずっと『ジャスティス』の方がよかったです(苦笑) ☆容疑者 評価8点。(2002・米・108分) 父と息子との親子愛を描いた秀作だと思う。 刑事として息子を裁く面と、何としてでも息子を助けたいという面を本当にうまく演じてると思った。 アクションシーンが少ないのがやや気になるが、そういう意味ではビデオ向きの作品かもしれませんね。 いや、日本人向けといったらいいのかもね(笑) ちょっと複雑な家系から刑事となって、今回息子が殺人の容疑者として疑われてる難しい役柄をデ・ニーロが熱演している。 そういえば息子役のジェームズ・フランコは『スパイダーマン』にも出てたなあと思う。 人間ドラマとして見るべき作品でしょうね。息子に対して説得するシーンやラストの終わり方などは納得の行くものでしたよ。 ...
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