TWILIGHT DIARY
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先週購入した、司馬遼太郎の短編集「人斬り以蔵」の中から、表題作を読んだ。
「人斬り以蔵」とは、いかにも物騒なネーミングであるが、 実際、幕末の時代に生きた以蔵がそう呼ばれていたのは、 真実のことであるので、致し方ない。
足軽の身分でありながら、土佐藩の剣豪で道場主の武市半平太に弟子入り、 数々の天誅事件では先頭に立って人斬りをし、 武市には黙って、陰では京都で勝海舟の護衛もする。
限りなく、アウトローな侍である。 三谷幸喜脚本のドラマ「竜馬におまかせ」では、 反町隆史が無口な以蔵を演じていた。 もう、ピタリである。
以蔵は静かに思考しているようで、実は何も考えていない。 思考の部分は雇い主や、師匠にまかせっきりなのである。
後年、藩からも師匠からも見捨てられ、そこで初めて以蔵に自我が芽生える。 だが、それが仇で、散々な最期を迎える。
竜馬は、まだいい方である。 だが以蔵に関しては、もうその一生が悲劇としか言いようが無い。 だが、ただの足軽では、以蔵は我慢ならなかった。 尋常ではない剣の腕前が、彼の人生を狂わせたのだと思う。
今の時代に彼が生まれていたら、一体何をしていただろう。 読後ふと思った。
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