TWILIGHT DIARY
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2002年10月25日(金) 池波ファン。。

今日は、いつもこのHPを見てくださっている方が、
初めて店の方にいらっしゃったので、少しだけだったが、お話出来た。

驚いたのは、その方が、実は池波正太郎の大ファンで、
所謂、三大シリーズ(鬼平、剣客、梅安)を全巻読破していたことである。

私は、池波さんをエッセイの方から入ったので、
三大シリーズは、鬼平と剣客を、一巻ずつぐらいしか読んでいない。
梅安は、第一巻は家にはあるが、まだ手が付いていない。

その方は、最近また「剣客商売」を、第一巻から読みなおしているそうで、
「読みなおしていくのも良いもんですよ」とおっしゃっていた。
「包丁ごよみ」などの池波料理本もお好きだそうで、これまたなんだか嬉しい。
「本に出て来るお店に行きたくなりますよね」と言う話になった。

私は、娘と何年か前、浅草の仲見世の中にある旅館に泊まった事がある。
浅草寺の仲見世にあるため、門限が11時の旅館である。
よって、行動範囲も仲見世周辺になる。
夕食も、あまり遠くに出掛けてしまうと、
帰って来るのが億劫になるので、旅館の近くの方がいい。

そこで、以前読んだ池波さんの浅草の食に関するエッセイの中に、
その名前が、一、二度ほど出て来る、中清という天麩羅屋さんに行った。
天麩羅は、池波さんには他にお気に入りの天麩羅屋さんがあるが、
確か、そこは日本橋周辺だったと思う。

さて、浅草の中清には離れがある。
その日は夜から雨で、案内する仲居さんについて離れに向かうと、
踏みしめる中庭の石畳が雨に濡れ、
行く手の脇にある、手入れの行き届いた庭木や、
傍らの水鉢に雨が溢れていく様子も清冽で、良い庭であった。
離れは、古いが粋で、なんとも風情があり、
池波さんも、もしかしたらここで、と思うと感慨深い。

天麩羅は、勿論美味であったが、その前に出てきた、
さしみ鮪のぶつ切り、海老と胡瓜のおろし酢和えや、
鱸のお吸い物なども美味しく、天麩羅の後のかき揚の頃には、
とても、天茶に行けない位にお腹が一杯で、
成る程、浅草の食はいいなぁと思ったものである。

翌朝、朝食後に旅館周辺を散歩をしていたら、嘘ではなく、
本当に池波本を小脇に抱えた人々が、浅草のそこいら中にいたのである。
池波ファン、恐るべし。


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izumi [HOMEPAGE]

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