TWILIGHT DIARY
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今日は、いつもこのHPを見てくださっている方が、 初めて店の方にいらっしゃったので、少しだけだったが、お話出来た。
驚いたのは、その方が、実は池波正太郎の大ファンで、 所謂、三大シリーズ(鬼平、剣客、梅安)を全巻読破していたことである。
私は、池波さんをエッセイの方から入ったので、 三大シリーズは、鬼平と剣客を、一巻ずつぐらいしか読んでいない。 梅安は、第一巻は家にはあるが、まだ手が付いていない。
その方は、最近また「剣客商売」を、第一巻から読みなおしているそうで、 「読みなおしていくのも良いもんですよ」とおっしゃっていた。 「包丁ごよみ」などの池波料理本もお好きだそうで、これまたなんだか嬉しい。 「本に出て来るお店に行きたくなりますよね」と言う話になった。
私は、娘と何年か前、浅草の仲見世の中にある旅館に泊まった事がある。 浅草寺の仲見世にあるため、門限が11時の旅館である。 よって、行動範囲も仲見世周辺になる。 夕食も、あまり遠くに出掛けてしまうと、 帰って来るのが億劫になるので、旅館の近くの方がいい。
そこで、以前読んだ池波さんの浅草の食に関するエッセイの中に、 その名前が、一、二度ほど出て来る、中清という天麩羅屋さんに行った。 天麩羅は、池波さんには他にお気に入りの天麩羅屋さんがあるが、 確か、そこは日本橋周辺だったと思う。
さて、浅草の中清には離れがある。 その日は夜から雨で、案内する仲居さんについて離れに向かうと、 踏みしめる中庭の石畳が雨に濡れ、 行く手の脇にある、手入れの行き届いた庭木や、 傍らの水鉢に雨が溢れていく様子も清冽で、良い庭であった。 離れは、古いが粋で、なんとも風情があり、 池波さんも、もしかしたらここで、と思うと感慨深い。
天麩羅は、勿論美味であったが、その前に出てきた、 さしみ鮪のぶつ切り、海老と胡瓜のおろし酢和えや、 鱸のお吸い物なども美味しく、天麩羅の後のかき揚の頃には、 とても、天茶に行けない位にお腹が一杯で、 成る程、浅草の食はいいなぁと思ったものである。
翌朝、朝食後に旅館周辺を散歩をしていたら、嘘ではなく、 本当に池波本を小脇に抱えた人々が、浅草のそこいら中にいたのである。 池波ファン、恐るべし。
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