あたろーの日記
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旧暦9月30日。 志ん生の語った半生記『なめくじ艦隊』(ちくま文庫)を読み終える。 同じく志ん生の『びんぼう自慢』(ちくま文庫)、長女である美濃部美津子さんの書いた『三人噺』(文春文庫)と合わせて読むと、ぐんと面白い、と思う。どうしようもなく救いがたい貧乏芸人の志ん生の、やぶれかぶれの毎日が、不思議なくらい楽天的な当のご本人の、のんきだけど威勢がよくてリズミカルな語り口で読み手を魅了する。こんな旦那さんで、奥さんはよくぞ逃げずに頑張ったなあ、と思うけれど、志ん生ってやっぱり芸の虫なのだ。と、大酒喰らってとんでもないことをしでかしても、身体の中に一本筋が通っているその張り具合がよいんだと思う。『三人噺』は、そういうどうしようもなく愛すべき芸人の父と、辛抱強い母を両親に持った娘の美津子さんが、思い出すようにしみじみ語る、両親と弟たちのこと。 読んでいる間ずーっと、頭の中で志ん生が喋っていた。文字を追うのと同時に。
昨夜は寝る前に、『ムーミン谷の十一月』の第1章を読んだ。しばらく、毎晩寝る前に1章づつ読んでいこうと思う。最初からいきなり、スナフキンが旅に出る。誰とも喋りたくなくて、孤独が好きで、自由が好きなスナフキンの気持ち、とってもよく理解できる。決して社交的ではないのだけど、孤独も大切なんだよなって、スナフキンを見るといつも思う。
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