あたろーの日記
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2006年11月21日(火) 自宅近くに喫茶店が欲しい。

 旧暦10月1日。
 『むかし卓袱台があったころ』(久世光彦/ちくま文庫)。帯に「久世ワールド、秘密の鍵」とあるけれど、久世ワールド、とはまさにそうとしか言いようがない、どうしてああも繊細で艶のある、深い感性を感じさせる随筆なのか。幼い頃、部屋の薄い暗闇の中に何かを感じ取った、その時の記憶とか、家族の風景とか。それから、空襲で燃え残ったと思った土蔵の戸を開けたら、中から真っ赤に燃える火が飛び出してきて、一気に燃え上がったという話は、とても印象に残った。

 自宅近くに気の利いた喫茶店があればいいのに、と思う。
 コーヒーが安くて美味しくて、マクドナルドみたいに賑やかな音楽じゃなくて、高校生とかがいなくて、長居が出来て、夜遅くまで営業している店。
 仕事帰りに、時間が出来たら、店の奥のお気に入りの席に座って、読みかけの本を開けるような。今週は雨とか、読みかけの本を読みたいばかりに、という理由で、電車通勤にしてしまっているのですが、帰り道、電車から降りて、読みかけの本を閉じて歩くのは苦痛だから、立ち寄って続きを愉しめる店があると嬉しいのに。銭湯に寄って自宅へ着いて鍵を開けて電気をつけて・・・という流れの前に、電車の中の続きができる場所が欲しい。それと、たぶん、喋りたくはないし、賑やかな場所じゃないほうがいいけれど、見知らぬ人達が自分と距離を置きながら、空間を共有している、という、都合のいい孤独感を味わいためなのかも知れないけど。
 残念ながら、気の利いた喫茶店がないところに、住んでます。


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