浪漫のカケラもありゃしねえっ!
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2001年09月26日(水) イメージの洪水/ブラックジャック/永井豪の作品

本木雅弘主演の『ブラックジャック』。美しい顔に刻まれる傷が、悩ましい。おそらく、実写では一番美しいブラックジャックだ。森本レオのドクター・キリコは、妙だったけど。(笑)
キリコが美人なのは、出崎・杉野コンビの『ブラックジャック』。ずいぶん長い間このコンビ、『ゴルゴ13』『あしたのジョー』『ベルサイユのばら』と、原作モノづいてるなあ。
原作キャラに忠実でありながら、杉野タッチの美形の肉感はすさまじい。まさかキリコに大排気量のバイクぶっ飛ばさせるとわ。色気と妖しさを増して、よかったと思うが。
逆に原作に沿おうとしてるせいで、ピノコの愛らしさは不自然になりがちな気がする。手塚原作ならではのキャラだから、難しいのかもしれない。

後期には「ヒューマンドラマ」と銘打たれてた『ブラックジャック』だけど、初期の巻には「怪奇コミックス」と銘打たれてたんだよな。
最初に読んだのは、理髪店に置いてあった雑誌の総集編で、ピノコ誕生のエピソードあたりだった。
同じ店で『アラバスター』の連載も読んだ。骨と内蔵が透けた馬が、もだえ苦しみ、暴れて走る姿を、今も覚えている。

今見ればどうということのない絵に思えるかもしれないが、当時出会ったショックを忘れられない作品も多い。自分にとってそれが多いのが、永井豪作品。
『手天童子』、建物にたたきつけられる子郎のまわりで、壁をへこませて浮かぶ鬼の影。戦いのさなかに「子郎〜!」と呼ばわる声。
『デビルマン』、サタンの誘いを受けてデビルマン達の未来に悩む不動明。そして、ラストシーン。
『バイオレンスジャック』、人犬の飛鳥了の登場。早乙女門土と身堂竜馬のエネルギーが強すぎたから一度描いた話を描き直すと宣言した作者の断り書き。長い時間をかけて物語がこれ以上ない結末を迎えたとき、豪ちゃんの頭の中はいったいどうなっていたのかと、震えがきた。
完結まで、十数年かかったんだよな。あのラストが浮かんだのは、連載も後期になってかららしい。それにしては、怖ろしすぎるほど伏線がはまっていた。

手塚さんや豪ちゃんは、自分の作品も含めてパロディやっちゃう人だ。ハズレるときもたまにはあるけど、あのサービス精神とエネルギーにはおそれいる。
ああいうダイナミックな物語を描く人達って、どんな構造の頭してるんだろう。
「怖ろしい」と震えがくるような話を、オレは書けるようになるだろうか。


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