浪漫のカケラもありゃしねえっ!
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『逆風』
逆風が吹き寄せ、あなたの顔を打つ。 数戦の敗北。落としたポイント。 刻みゆく進歩も、ライバルの活躍の前に色あせる。 チームを攻撃するプレスの声があがり、 ティフォシのため息と怨嗟をあおり立てる。
あなたが動揺を見せれば、プレスはそこに襲いかかる。 あなたは、鎧の中に心を隠し、 無情な言葉の刺から、自らとチームを守ろうとする。 長い時間をかけ、信頼と競争力を育ててきたのだ。 タイトルを闘い取らねばならぬプレッシャーは重い。 投げかけられた言葉を、その荷につけ加えている暇はない。
この光景をかつて見た。 何度も、何度も、繰り返し。 あなたは常に、その渦中にいた。
偉大なるドライバー、偉大なるチームはかくあるべしと、 百人百様の理想像が語られ、 賞賛と攻撃は、ひとつのコインの裏表のごとく、 あなたの歩む道に投げかけられてきた。
逆風の中に身を置き、 その顔に批判を雨と浴びながら、 あなたは、目を閉じはしない。 うつむきはしない。 最後の瞬間まで、けっしてあきらめはしない。
その瞳が見据える、厳しい戦い。 あなたは知っている。 苦闘の中での勝利を。 強いライバル達に打ち勝つ瞬間の、その歓喜を。
氷の中の炎。 静かにたたずむあなたの瞳の中に、私たちは見る。 その冷静さの中に激しさが秘められていることを。
我らの王。 あなたを王たらしめているのは、 あきらめることを知らぬ、あなたのまなざし。 逆風の中にたたずむあなたの、 屈することを知らぬ闘志なのだ。
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