元・白血病患者の日記
 

2002年11月06日(水) 夜の新宿…一年前の私は元気でした

 子供の風邪はおさまったみたいだが、鼻から太いミミズが出るような鼻水が続くので(そりゃもう見事なアオッパナ)病院へ。耳鼻科かと思ったら、耳鼻咽喉科だったので自分も診てもらう。

 取材記者をやっていた前々から喉がすぐにおかしくなるのが気になっていたのだ。ふつうに喋ってるだけで声がすぐにかれる。何かあったら嫌なので、せめてシロクロつけとこうかな、と。

 水曜ともなると、病院は空いているのか耳鼻咽喉科は親子で1・2番だった。しかし、診察が9時からというので、結局、待たされる。小児科と産婦人科に挟まれているので、子供は本を持ってきてせがむ。あまり、病院で喉を使いたくないんですけど。こういう時期だし、白血病あがりだし。

 子供は鼻の吸引(そりゃもう掃除機で吸い込むみたいに出るわ出るわ)、耳の確認、喉の消毒、そして吸入で終る。

 自分の番。ガーゼと金属の棒を持った先生は、おもむろに舌をつかみ「高音でワーといってください」と言う。

「はい、次もワー」といいながら喉の奥に棒を挿入する。苦しい。しかし高音…。横で見ている子供は何と思ってるだろうか…。父ちゃん変なの。

「まぁ、今は特になにもありません。きっと話をするとタコみたいなものができるんですよ。そういう体質なのかな」…また体質かよ。生まれ変わる時は、まともな体になりたいもんだ。このタコ、指とかのとは違い、安静にしてれば消える類のものだそうな。それならいいんだけど。

 病院で他の科は混雑してたのか、会計は時間がかかった。子供は料金かからないでの、俺の料金だけ…なんで舌をつままれただけで3000円近くもかかるんだ?

 薬も出てないのに。一ヶ月ほど前には耳の治療で来てるんだぜ(沖縄帰りの飛行機でやったやつ)。

 その足で保育園へ。天気がいいので近くの公園へ遊びに行ってるという。場所は子供が知ってるので、黄色い帽子をかぶせ、名札をつけて出発。途中、散歩のバアさんに「先生も大変ですね」と声をかけられる。あ…そう見えるかも。

 なんか抗うつ剤が効いているのか、夜の新宿へ。近く集まりがあるので場所の選定なのだが、ネットで文字を見るよりも、やはり来てみるもんだなぁと思う。最初の店でもいいんだけど、一応次ぎの店、次、と行くたびに印象が変わる。いいかげん、寒いから終らそうと思いつつ、せっかくだから全部を回る。最後の店は入院してた病院の近くだった。

 夜に病院を外から見るのは、はじめてではないのか? 毎日のように、唇をかみしめながら見ていた場所に立つ。なんか意味もなく感動してしまった。抗うつ剤のせいかな? でも、ここまで立ち直ったことに感謝しなければ。

 気持ちは上向きなのだが、やはり体はつらい。電車に乗り、帰り着くころにはヘトヘトだった。こんな時間の帰宅など、定時も定時、なかなかあることではないはず。しかも仕事してるわけでもないのに。

 でも、夜に出歩くことができなかったことを思うと先へ進んだのかな、と。

 テレビでGHの特集をやっていた。見たことのある顔もインタビューに応じてた。…もう一年になるのか。退院してすぐのバイト…このころは今よりもはるかに元気だった。帰りが終電になることも、毎日、仕事帰りに(リハビリの)プールにも通てった。何が原因では思い出したくもないが、病は気からだなぁと痛感。気持ちがボロボロになると体もダメになってしまう。


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