外の景色を見る度に彼女は言う。 『電線って邪魔!日本って電線があるから汚い』と。 確かにそうだ。電線があるために景色を台無しにしている部分もあるだろう。 けどね、岸田劉生っていう画家を知ってるかな?その人の絵の一枚に、電線が影として描かれてる絵があるんだ。 影だけだけど写実的で僕はその絵を見たときに鳥肌が立ったよ。 あまりにもその絵がリアルだったから。 もし君が景色を描こうとするときに、電線があったらその電線は描かない? どうするかな?現実を歪めても描きたいものって何? そんなものはきっと無いよ。 現実ってやっぱ正確に描かないといけない気がするよ。 例えどんなに嫌なモノだって。 じゃあ、今僕の中にある現実は? それはやっぱり君なんだと想う。 電線と同じようにリアルだ。
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