雪混じりの朝だった。 僕が生まれた21年前も雪の日だったらしい。 今日は少し雨も混ざっているけど・・・。 そんな日に、雪の日に僕は生まれたんだな。 コーヒーショップの片隅に肘を突いてそんなことを思っていた。
落ちてくる雨のような雪のような白くて冷たい雫が窓を濡らした。 静かすぎて何も動いていないような街の風景をしっとりと潤している。 寒くて悴んでしまう手を暖めてくれたのは今までは母親だったのだろう。 そして、今このコーヒーと目の前に笑顔で座っている女の子の小さくて暖かい手で僕の手も心も悴んでいない。 きっとこれからも。 僕が『さ、いこうか』と言って、君が外に出て『寒いね』と言ってから 手を繋いで、一つだけ傘を広げて晴れ間が出てくるのを待っていよう。 傘は閉じても、手は離さないように。
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