女性の目の前で泣くなんてしなかった。 いくら悲しい事実があろうと、クールを装い自分を崩すことを恐れた。 弱い自分なんてドコにもいないって決めつけて、いない『ふり』をしてた。 感情なんてドコにもなかった。 傷つかない方法を選ぶセコイ奴だった。 だったんだ。今までは。 優しくて、優しくて心の中に暖かいセーターを着ているような。 安心できる場所だ。安心できる言葉だった。安心して泣いた、君の前で。 溢れた。想いと同じように。素の自分がいた。 『どんなコトがあっても側にいるから』 優しくて暖かい言葉だった。 目の前にいる君は、困った顔などしないで、笑って僕をなぐさめた。 臆病な僕を。弱い僕を。君しか知らない僕を。 いくら流しても止まらなかった。 心が揺れていた。流した分が愛情へと変わることを祈った。 この想いや涙がいつまでも君の心の中に残ればイイと願った。 苦しかった、今まで。自分を偽り続けた過去。今まで愛した記憶すら意味の無いもので、傷付けあった傷跡さえも偽りのモノで。 過ぎ去った時を重ねて今、僕がココにいる。ありのままの自分が。 『どこで逢っても愛していたよ』今、君にこう言いたい。 そうしたら、次は君が泣く番だ。 この唇は涙拭くために。 この手は君の手を握るために。 この愛情は君の全てを包むため。 抱えきれない想いを君に乗せて。また君の前で涙してる。
|