not ready

2003年04月26日(土) 髭の生えた男

そこには髭の生えた不気味な男が立っていた。
懸命に鏡の中を覗いている。
右手を顔の方にやる。髭を触ってみる。
ジャリッとした手触りが気持ち悪くてすぐに手を離した。
髪は立ってあちらこちらに跳ね上がっている。
目は腫れ上がって、半分しか開かない。
口は乾いて、言葉は何も発せない。昨晩の酒のせいで匂いすらする。
歯は煙草で黒ずんでいる。
不気味としか言いようがなく、またこんな人間を『どうしようもない』
と言うのだろう。
懸命に鏡に向かって水をかけてみた。けれどそこには不気味でどうしようもない男がいる。
蛇口をいくらひねっても、いくら水をかけても・・・。
鏡を壊すしかなかった。


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