-もう、僕を許してくれますか?- そんな手紙の書出しだった。 春の暖かい陽気にもすっかり慣れて、そろそろ入梅か? そんな時に届いた一通の手紙・・・。
長いようで短い彼との付き合い・・・。 -きっと忘れない、でも戻れない- そんな想いを胸に別れを切り出したのは私だった。 彼の動揺を隠し切れない微妙な表情を忘れることはできない。 「もう終わりにしよう・・・」 精一杯の言葉だった。必要な言葉はそれだけだったように思えた。 二人の間には涙ということでしか表現できない感情が取り巻いていた。
あれから二度目の春を迎えた。もう、忘れた・・・というのは嘘にしか思えない。 「・・・元気にしてますか?」 二言目にはもう、二人の思い出が甦って、自然に涙が頬を伝っていた。
-きっと忘れない、でも戻れない- 雨が道を濡らし、歩いていく人たちの足を止める。 思い出が心を濡らし、過去の私をもう一度プラスの方向に向けてくれる気がしていた。
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