HERE, NOT SOMEWHERE...Hiroyuki Morikawa

 

 

便利さについて - 2002年10月11日(金)

僕が高校の時に曲作りに使っていた安物のサンプラー(音をいじくるもの)。
棚の下でほこりをかぶったそのサンプラーを久しぶりに使ってみた。
そこに記録された僕の昔に書いた曲を聴いてはっとさせられた。
「なんて発想が自由なんだろう。」
あの頃の自分に憧れてしまった。

今、曲を書く時には必ずコンピューターを使っています。
昔の作曲環境とは比べ物にならない程に便利な環境です。
なんでもできてしまうような環境にいるのだから、
それは昔より創造性あふれた作品が作れそうな気がします。
だけど便利な環境をなんの考えなしにただ受け入れてしまっては、
なにかとっても大切なものを失っていってしまう気がするのです。

僕の曲づくりに関して言えば便利さのおかげでハングリー精神という大切なものが足りなくなってきてしまっていたと思います。

これは今のハイテク社会に対しても言えることだと思います。
例えば携帯電話。
こんな便利なものがあるおかげで、
人との待ち合わせに遅れてしまう時に前もって簡単に伝えられます。
だけどちょっと昔は、携帯なんてものはなかったので、
待ち合わせに遅れてしまいそうな時にはすごい申し訳ない気持ちになり、相手も心配しているだろうなとか、悪いことしたな、というような人を思いやる気持ちを抱く瞬間があったと思います。
そういう気持ちってとても大切だと思うんです。
あともうひとつ例をあげると、新幹線。
今すごい速いですよね。あっという間に大阪や名古屋に行けます。
これもすごい助かることなんだけど、
各駅停車の電車では見ることのできたきれいな景色は、
新幹線では見ることができない時もあると思います。
別にそんなのどーでもいいよと言ってしまえばそれまでなんだけど、
これは例えであって、
便利さのおかげで気付かないうちにうちに失っている大切なものって、
他にも沢山あると思います。

僕は携帯に反対してる訳でもないし、便利な社会に反対している訳でもありません。
ただひとつ思うことは、
「なんでもかんでも無意識に便利さを受け入れるのは危険」
ということ。

これからもっともっと便利な世の中になっていくと思うけど、
それをただ単に受け入れていくのでは、
この先人間はどんどんどんどん腐っていくと思います。
技術の進歩とともに人間も大きく成長していけたらいいなと思います。


曲作りのお話から大幅にはづれていまいました(笑)。



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