ハラグロ日誌
書人*ちる

   

  




老婦人の杖
2001年11月27日(火)
某デパートのエスカレーターにて。
ふと視界の端っこに、傘の先のような美しいものが入って来て、振り返ると、それは傘ではなく、上品な老婦人の杖だった。
べっ甲のような材質の杖で、薔薇のアンティークふうレプリカが中に透けて見える。
あまりにきれいなので、見とれてしまった。その老婦人は地味過ぎず、派手過ぎず、美しい杖も上質そうな洋服も、まったく浮いていない。しっくりと彼女に合っている、という感じだ。
こういう、はっとさせられるようなセンスの持ち主に出会うと、つくづく自分の身を振り返って、嫌になってしまう。
26歳を超えたあたりから、勢いやカワイさでは洋服を着こなせなくなって来たのを、しみじみ感じている。特に結婚してからは、「きちんとしたい」という願望が強くなっていて、「無難(つまらない)」と「きちんと」のボーダーをふらふらしている状態だ。
今、自分らしい服、という方向性を見失ってしまっていて、なんだかちぐはぐ。
「着たい洋服が見つからない!」なんていうシーズンは、今回が生まれて初めてなのではないだろうか。。。
上質でシンプルなものを纏いたい。でも、それだけでは退屈だ。なにか「好き好き!」と思えるディテールが欲しい。
どうやら、思ったより暗くて深いトンネルに迷いこんでしまったようだ。









設計*しゑ(繊細恋愛詩)
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