ハラグロ日誌
書人*ちる

   

  




とろかし
2002年03月08日(金)
bunka的な小部屋(ずいぶん更新してない・・・)でも紹介した、河合隼雄氏の「猫だましい」のある章に「とろかし猫」について書かれている。要は、人間が猫の魔性にメロメロになってしまい、人生を狂わせたりする話の事について書かれているのだけど、猫にせよ、人間にせよ、その「とろかし」の魔力は「声色」だったり「指」であったり、本当に人それぞれ(猫それぞれ)である。「とろかし」ってすごくピンと来る語感も好き。
故意に「とろかし」の魔力を使う場合というのはさておいて、思わぬ事が、ある人にとっては「とろかし」である事が面白い。
たとえば、私にとっての「とろかし」は「傷跡」だったりする。たとえば、顔の痣、火傷の跡、そういうものにググッと惹かれてしまう。どうにも止められなくなってしまう。いくつもの火傷の跡を持つ調理人の腕に見愡れてしまう事もあるし、昔、腿の内側を何針も縫ったという傷跡を持つ恋人がいた事もある。
隠されているものを見たい、そんな欲求なのだろうか?
肉体の傷を晒け出す男、それを見て喜ぶ女。あまりにも悪趣味なので、人には話した事はないけれど、口を憚るような「とろかし」であればあるほど、その吸引力はとても強いものである気がする。









設計*しゑ(繊細恋愛詩)
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