ハラグロ日誌
書人*ちる

   

  




刹那的バター
2002年10月22日(火)
ぶつぶつ日誌でレーズンバターの事を書いていて、思い出した。
よく御歳暮とかで「小岩井なんとかギフトセット」みたいな詰め合わせをもらうと、その中に入ってる「レーズンバター」がとても楽しみだった。
少しずつ切ってもらっては食べていたが、よくこっそりと自分で勝手に冷蔵庫から出して食べていたりした。
濃厚で高カロリーなこの不健康な食べ物はウチの家族では邪魔者扱いで、私にとっては誰も口にしようとしないのが不思議だったものだ。
大人になって、体型を気にするようになり、自然と食事もサッパリしたものを好むようになってから、滅多にレーズンバターにお目にかかる事はなくなったが、きっと目の前に出されたら今でも喜んで口に放り込むだろう。
それを想像すると、この上ない刹那的な欲望が蘇ってくる。
食欲に限らず、この感覚は、これまでにも何度かあった。
すごく理にかなわないものだとアタマでは分かっているのに、何かをかなぐり捨ててしまうような欲望。
「ここで世界が終わったら」「このまま時間が止まれば」「死んでしまいたい」
欲望に駆られた人間が願ってしまう、あり得ない事。
決してそこで「刹那」になれる事はなくて、後味が悪かったり、つらい事を背負い込む事になるのに、人間って瞬間的にヒューズが飛んで後先考えない馬鹿ものになれてしまう。
人生には、そういう大人にとってのレーズンバターのような欲望に出くわしてしまう事が多々ある。だから、やめられない。









設計*しゑ(繊細恋愛詩)
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