f_の日記
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 まるくなったのかおとなになったのか

高校の頃
そいつとはいつも一緒に帰っていた

少しでも遅いと
僕はぷいと一人で帰ってしまうのだけど
追いついてきていつもぶつぶつ小言を言う奴だった


ああ、すまん


その一言だけ言うと
またつまらなそうに僕は歩く


ある日昼間に廊下ですれ違い
今日は待っててくれ
とそう言うものだから

ああ

と一言だけ答えた


どういうわけか少し遅くなったそいつは
僕のことだからとっくに帰っているだろうと思い
だらだらと一時間近く教室で過ごしてから帰ることにしたらしい


その一時間が過ぎた頃
本を読みながら待つ僕を見つけて呟いた

待っててくれたのか

僕はつまらなそうにまた


約束したからな


とだけ呟いて
ぷいと背中を向けた


まあその次の日からまた
ぷいと一人で帰ろうとしていたけど


まるくなったのかおとなになったのか

いや

今もあんまり
変わらないのかな

2004年11月21日(日)
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