FILL-MIND [フィルマインド]心情記 

   
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2002年06月08日(土)  ■私 信:母の二・七日■

やっとここを更新する気力がでてきました。ずっと留守にしていて、ごめんなさい。いつも立ち寄ってくれた方々、ありがとう。

心境を語るべく、沈黙を破る言葉を探っていました。でも、本当に心が波立っている最中って、伝えたい言葉って浮かばないのね。まるっきり表現者失格。

悲しみやショックというのとは、少し違う。ずっと、心が落ち着かなかった。義務的な些事に気を奪われて。やりかけの仕事が気掛かりなまま。自分の存在に迷うばかり。決めごとが過ぎれば何事も変わらない毎日。人にとっては通り過ぎただけの訃報。

母親を亡くすということ自体が、まだ本当にはよく飲み込めていません。世の中の人はどうやって消化していくのだろう。こういう現実。未来はいつまでも続くと信じきっていられた両親との時間。幸福な日常とは忍びよる不幸に気付かずにいられる怠慢な日々のことだ。

2週間が過ぎて、当たり前の時間の中に溶け込んでも、胸から立ち退かないのは寂しさ。親を失うとは、そんな心の穴を抱えて生きていく自覚をつくるものなのかな。一人で生きる術をひとつずつこなしていくような。試練。

浜に出かけて海風を受けるままにいたいと思ったり。各駅停車に乗ったまま見知らぬ土地に逃避したくなったり。でも、現実は容赦なく私を捕まえにくる。もう、ロマンチックな幻想ははるか彼方なのだと知る。

夏の日の妖精を書いていた頃の、猛暑を彷彿とさせる暑い日。2002年の6月8日。母が死んで14日目です。

二・七日(になのか)という言葉、初めて知った。人の死はとても重い。でも物語りのようにドラマティックにはいかない。日々は忙しなく、慌ただしく駆け抜けていく。

涙も乾いて、また足は前に行く道を探す。歩き続けるための一歩を。



 
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