度々旅
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私の部屋にはちゃぶ台がある。このちゃぶ台は、おじいちゃんが学生だった頃から使われているものだ。だから、60年以上は使われていることになる。父が子供の頃には、このちゃぶ台を家族で囲んだらしい。 それほど大きいものではないし、低いため、ものを書くのに用いるのは、ちょっと不便。
しかし、私は小さな頃からこのちゃぶ台は絶対もらうと決めていた。そして、一人暮らしをきっかけに連れてきた。小さな頃は高さがちょうど良かったが、やはり今はつらい。 部屋を探す時、このちゃぶ台に合う部屋に住もうと思っていた。畳のお部屋で、昔懐かしいかんじのアパートが良いなと。ベランダはなくても、窓のところに木で枠があるような、そんなぼろアパートを求めたが、なかなかそういう部屋はない。古い部屋というのはリフォームされていて、壁は和室のようなのに、不似合いなフローリングになっているのだ。 新しい和室の部屋というのは、これまたちゃぶ台が合わないかんじ。
埃アレルギーの私は、絨毯が敷かれていないフローリングの洋室に結局決めたのだ。最後は面倒で、部屋の中を見ず、外観を見て、勘で決めてしまった。
不満はあるが、大家さんは親切だし、まあ、どこもこんなものでしょうと4年間住み続けた。
そして、この部屋でしっかりとちゃぶ台を使っている。私の部屋は人に言わせると物が多いらしい。そして、ゴミのようなものがたくさんある。それなのに、全部飾ってあるように見えるらしい。特別統一されたお部屋作りなど意識せず、自分の好きなものを集め、拾ってためこんでいたら、そうなったのだ。それなのに、不似合いなものがないと言われるのは、なんだかうれしい。
でも、その中でも一番輝いて、味があるのはちゃぶ台だ。この部屋のバランスをうまくとっているのは、このちゃぶ台かもしれない。 歴史があるものは、何にも左右されず、どしんと構えている。 きっとこのちゃぶ台は、何度も醤油をこぼされてきただろう。傷もたくさんついている。それら一つ一つが、このちゃぶ台の味を出している。
私が万が一結婚することになったら、このちゃぶ台は、花嫁道具の一番候補だ。
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