度々旅
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2002年05月30日(木)

夕方しとしとと、雨が降る。私は雨の匂いが好きだ。暖かい晴れの日の日中、途中から振り出す雨は、特に匂いがする。この匂いをどう表現すれば良いのだろう。
湿った土の匂いに似ているが、埃も混じったようなかんじ。その匂いは、温度の匂いのようでもある。寒い日と、暖かい日では、異なるからだ。

雨が降り出し、この匂いがすると、とても安心する。落ち着いた気分になるのだ。そんな匂いが充満すると、不思議と街のざわめきもおさまるように感じる。そして、遠くの音が響いて聞こえてくる。それは、まるで過去から聞こえてくるような音だ。長い道のりを経て、私の耳にまで何かを伝えるために届くような、そんな音。

昔、雨が降ると、傘を持っていてもささずにいた。そして、水溜りへじゃぶじゃぶ入っていた。濡れることは、気持ちが悪いことではなく、楽しかったし、傘をささなければならない理由もわからなかた。周りにいる友人たちは、困った顔をしてそんな私を見ていたのを覚えている。

最近は、水溜りに入ることはなくなってきたが、傘をささずに歩くことは相変わらず好きだ。しかし、持っている傘をさしていないということは、外から見ると奇異に見えるらしいので、出来るだけ傘を持たずに出かけるようにしている。でも、そういう時は、親切な方が入れてくれようとするわけで、なかなか雨に濡れて楽しく歩くということが困難になってきた。

雨に濡れて歩いていると、悲しげに見えることが多いが、本当はみんな楽しんで歩いているのかもしれない。


こげんき |MAILBBS

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