時々、子どもたちが私を怒らせる。 9歳、7歳の男の子二人兄弟だから、私の堪忍袋の緒を切らすようないたずらや兄弟げんかをするのは日常茶飯事。 でも私は普段からあまり怒らない。毎日、クレヨンしんちゃんのお母さんのミサエさん的にぎゃーぎゃーいってるかもしれないけど、子どもたちにしてみれば、ママの怒り方はミサエさんほどには怖くないらしい。
本気で怒ったときは、諭すように怒る。そして、最後に一言。 「ママは、ちゃぶ台ひっくり返したいくらいに、腹が立ってんの。わかってる?」 という。ちゃぶ台ひっくり返す、って・・・「巨人の星」の星一徹かいな、この私は。 当の子どもたちは、ちゃぶ台ひっくり返したいくらいに怒っているといわれても、「はぁ?」である。何のことだかぴんとこない。 それもそうだろう。海外育ちの子どもたちは「巨人の星」も知らないし、ちゃぶ台なんかも生まれてこの方、見たことないんだから。 うーん、私の怒り具合を子どもたちに思うように伝えることができなくて、こちらも拍子抜けする。
昔、家長があのくらい派手に怒りをぶちまけるのが、どの家でも普通だったのだろう。そして、ちゃぶ台をひっくり返すたび、それで家長の怒りは少しはおさまったのであろう。 でもあれは、昔の木造の畳敷きの家だからこそできたことなのだ。 あれだけ派手にちゃぶ台をひっくり返し、茶碗をころがし、料理をぶちまけ畳を汚しても、ダメージは少ない。低いちゃぶ台から茶碗をひっくり返しても、器がぶつかる音は派手でも割れることはないだろうし、畳の表面の汚れは後で拭くだけでいい。
今の我が家ではどうか? どれだけ怒り心頭でも、その怒りで洋式の重いテーブルは持ち上がらない。なんとか持ち上げたとしても、テーブルの上の磁器の食器類が割れるともったいないから、ちょっと躊躇する。ま、いいけど。もしそれでも勢いで持ち上げて床にばら撒いたとしたら、床は石張りなので落下した食器類は確実に全部割れる。絨毯の上なら確実にしみになる。 ア〜〜〜後片付けが大変なんだよ。
そんな大変な思いをするのなら、ま、初めからこっちも何もしないに越したことはないからね。 それにそんなことをしても怒りがおさまるかどうかもわからないし。 それよりも、ふふん、ママを怒らせるんじゃないよ、君たち・・・。
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