今日、日本人学校の親睦会のバーベキューがあった。 好天に恵まれ、楽しい一日であった。 こういう機会にいつも感心することは、バーベキューの下準備にいろんな人のいろんなアイデアが集まること。それに皆さん、バーベキュー慣れして手際がいい。 日本風のバーベキューはいつもとても豪勢だ。
私たちもドイツにいた頃、自宅のバルコニーでグリルをしたけど、ドイツの場合はいたって簡単。 買ってきた味付け肉に、ソーセージ、それにサラダにパン。それだけ。 買い物に行って、火をおこして焼くだけ。 西日と庭木の葉ずれの音、それにビールがあればそれでよかった。
あ、書きながらなんだかいろんなことを思い出した。
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ドイツの家の庭に大きな白樺の樹が二本あり、私たちはいつも窓からその樹を眺めて暮らしていた。 そこで何年か暮らすうち、その葉の茂り具合や落葉でその年の季節の移り変わりがわかるようになった。
グリルができる季節には、白樺の葉が隣家が見えないくらいにうっそうと茂る。みごとなまでに長く垂れ下がった枝は、ちょっとした風にでもさらさらさらと耳に心地良い葉ずれ音を立てたものだった。
白樺の枝の揺れ具合で、そよ風が枝間を通り過ぎていくのが見える。風がいなくなった後も枝葉はいつまでもにぎやかにざわついている。 私は、目を閉じてその葉ずれ音に耳を傾けるのが好きだった。
我が家の白樺はとても表情豊かな樹であった。 毎日庭の白樺を見て暮らすうち、この白樺の大木は、時々、喜怒哀楽に近い感情を枝樹、枝葉全体で表現しているのではないか・・・と思うことがあった。 まるでこの樹に「木の精」が宿っているかのように。 あの白樺たちには実際にそう思わせるような動きをすることがあった。 それはただの風のいたずらだよ・・・と想像力のかけらもない人に現実的に言われてしまえばそれまでだ。それでも私はいつまでも心にファンタジーを持ち続けたいと思う。 あの葉ずれの音、本当に樹の心の声だったらおもしろいのに・・・。 私もほんのちょっとでいいから、樹とお話してみたい。
樹と通じ合うには、樹とある程度の深い係わり合いを持たないといけないだろう。ワルシャワにこれだけたくさんの緑があふれかえっていたとしても、これといった心の友になるような樹は周りにはない。 人も樹も、行きずりの関係では、心は通じ合えないでしょうから。
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