| 2001年07月29日(日) |
夜の匂い花の香り�� |
…でな、お前が残していった習作の火遁の巻物を今度卒業のヤスデが持ち出してなぁ。もう大騒ぎよ
お前がいつだか火遁をやって見せたときもホント、度肝を抜かれたっけなぁ…
イルカが話している。オレは目をつむったままイルカの肩に顔を埋めて眠った振りをしていた。 きっとイルカにはそれは解かっていただろうがそれには何も言わず、オレを背負い、歩いている。
病院を出ようとする段になってオレは結局満足に歩けもしないということが分かり、イルカに背負われて行くことになった。 街中をおぶわれていくなんて嫌だから突っぱねはしたがじゃあどうするんだということで 背負われんのが嫌なら肩に担いでもいいし横抱きにしてやってもいいんだぜ。
とにやにや笑うイルカに言われ仕方なく背負われることになった。
小さな、ほんとうに小さなころ、おんぶだ抱っこだと平気で言っていた以来で妙な感じだった。
イルカの背は汗と刈った草の匂いがした。
雑踏を通っていく。夕暮れだ。食堂や飲み屋や惣菜を売る店からだろう、いい匂いがする。普段から利用しているのか、イルカに売り子から声が掛かる。
センセイ、今日はコロッケを安くしとくわよ。どう?
今日はコロッケって気分で無いからなぁ、また、今度。
笑って答えている。
背中の子は、一緒に御飯?おまけ付けたげるわ。
いえ今日は、と笑った背中の振動が心地いい。
揚げ物の香りがする。アカデミーの傍なら肉屋の「まるや」があってそこはメンチカツと挽肉入りのコロッケが評判だった。オレはメンチカツは余り好きでないがあの揚げたてのコロッケは旨くてたまに行くと必ず買い込んだ。
その香りが少し遠ざかるとかつおだしのいい匂いがしてきてこれは蕎麦屋だなと思った。 ざばあと水音がして暖かい空気が流れてきた。換気の窓の傍を通ったんだろう。ひどく葱臭くもある。立ち食いのほうかもしれない。
そこを過ぎると今度はパンの焼ける匂い。 それに混ざってうなぎの匂いもする。
ああ、腹減った…
とイルカが呟く。 それと同じくらいにオレの腹がきゅるるる、と声高にその存在を主張した。
ああくそう、丸分かりだな、と思った。 くすりとイルカの笑う気配がしてオレはふて腐れかけたがすぐ、 ぐ、ぐぐぐうううぅぅ とイルカの腹の鳴る音がした。
「………ぷっ」 やべ。
……ん?
「……………」
サスケ?おい、今笑ったろ?
「…………」
なんだよ、お前だって鳴ってたろ!
「………」
だんまりか?目ぇ覚めてんじゃないのか?ん?
とイルカがオレを揺さぶる。乾いた手のひらがオレの膝の裏を掴んでいる。背中は少し汗ばんでいるのに、手はずっと触れている部分だけ少し湿っているがあとはさらさらしている。
何でこんなに違うんだろう、あの手とは。
ぼんやり思った。
[収まり付かず、切ってみました・・・←悪足掻き]
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