窓のそと(Diary by 久野那美)
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![]() 公演日がまだ決まってないのですが、思っていたより手際のいい私たちが順調に稽古場を手配してしまったため、今日から稽古が始まりました。 上演日が決まっていないということは、もしかしたら上演されないかもしれない芝居の稽古をしているということでもあり、なかなか贅沢な状況です。 今回、人間の出演者は片桐慎和子さんひとりだけです。台本と演出は私です。 「道の階」という名前の集団です。階員は2名です。 月の夜のお話です。 うわさには聞いていましたが、ふたりきりの稽古場はひとあじ違います。 なんというか、地味です。そして、ゆったりしています。 とにかくスペースが広いです。いえ、スペースはそんなに広くはないのですが、人間ふたりの占める面積はしれてますので、余ってる場所がたくさんあるのです。 好きな場所に寝転がって台本を読みました。 ひととおり通して読んで(私は聞いてるだけですが)、話し合いをしたり、謎の部分を書きだしたりしました。稽古初日に謎だったことが、本番が近付くにつれだんだんわかってくるというのはまさに稽古の醍醐味です。謎が多いほど楽しいはずです。なので、今はこれでいいのです。たぶん。 休憩時間に、片桐さんの差し入れてくれた食パンを食べました。 今回のお芝居は、食パンが重要なアイテムなのです。 稽古初日にふたりで食パンを食べることは、なかなか良い儀式のように思いました。 それから、役者さんがセリフを覚えるところを見ていました。 ひとがセリフを覚えているところをはじめて見たのですが、本当に面白いです。どきどきします。本番より面白かったらどうしようと思ってひやひやします。 言葉と言葉の間に、おのずからつながりがある部分はセリフとして覚えやすいみたいです。逆に、なんでこの言葉とこの言葉が並んでるんだ?と思うと覚えにくいみたいです。 でも、おのずからつながりのない言葉同士がつながっているということ自体がその物語の意味だと思うので、役者さんが覚えにくいセリフって重要なセリフなんだろうな、と思いました。 書いただけではわからないことがたくさんあって、稽古場でそれがどんどん解明されていくのが楽しいです。今日一日、ひとりの役者さんが読むのを聞いてるだけで、これまで考えたことのなかったことをいろいろと考えました。 一生懸命セリフを覚えている片桐さんの横で私はひとりで楽しんでいました。そしてときどき口をはさんで邪魔をしてしまいました。 二人きりの稽古は、「セリフ合わせ」とか「顔合わせの飲み会」とかもなく、地味に終了しました。 ** そんなわけで、これから時々稽古場日記を書きます。 興味を持っていただけたらぜひ公演を見に来て下さい。 ・・・・・公演日が決まってなくてすみません。 決まりましたらお知らせいたします。 どうか、決まりますように。
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