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■ 春の風
風が、もこもこした暖かさをもって吹いた。
芽吹きのにおいがたちのぼる。
今年も、春がやってきた。
あたたかくなると、途端に冬の寒さなど忘れてしまう。
かつての冬がどんなに寒かろうと、どれだけ自分が凍えていようと、 春のあたたかさは、冬のすべての寒さをリセットさせる力を持っている。
春に新しく生まれるものは冬の寒さを知らず、
ふたたび春を迎えるものは、ひととき、冬の寒さを忘れる。
けれどその寒さを知っているからこそ、全身であたたかさを、些細なあたたかさをいっぱいに体感しようとする。
寒さを忘れてあたたかさを憶え、
爽やかさを抜けて暑さを知り、
暑さに弱った頃に涼やかさにひといきをつき、
きたるべき寒さに覚悟をきめる。
あたりまえのように季節を越える強さよ、
かけがえなさよ。
2010年04月15日(木)
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