脳内世界

私が捉えた真実、感じた真実などを綴った処です。
時に似非自然科学風味に、時にソフト哲学風味に。
その時その瞬間、私の中で、それは真実でした。


※下の方の○年○月っていうのをクリックすると、ひと月ぶんはまとめ読みする事ができます



 沈みゆく船

船が沈む前、船にいるネズミ達はそれを察知して逃げ出すのだそうだ。

警鐘が止まない。はやく、はやく船から逃げなければ。


けど、逃げたって外は海だけど?

溺れ死んでもいいから、
ネズミ達は船から逃げようとするのかしら。

溺れたくないのに? 
逃げたら生きることができると思うのかしら。


そんなことも構わず逃げようとしなければならない状況の、
目も当てられぬほどの悲惨さよ。


骨折をしても、船から逃げなければ。
肉が削れても、火事から逃げなければ。


それがたとえ溺れるのに繋がったとしても、
逃げるのをやめることはできないだろう。


船が沈まないかもなんて気休めは、たくさんだ。

舵取りはとっくに舵を放棄している。

船長は見当違いの指示を出して、
満足げにしている。

船員は嵐が吹き荒れる空ばかり見て、
船が沈みかけているのに気付いていない。

船員のリーダーは、
早く帆を張れと見当違いな事を言っては怒っている。

既に逃げるためのボートはなくなりつつある。気配に聡い船員はとっくに逃げ出した。

あの船の端が濡れているのは、
嵐による雨のせいではなくて、
浸水してきているためだと気付いている人は何人いるだろうか?

沈没への秒読みは、既に始まっている。

気付かないうちに誰か沈んで、
自分の番がくるまで気付かないんだ。


ひとり、またひとり、いなくなっていく。





**********

ゴーリーの本に出てきそうな、不気味な絵本が書けそうだ 
滑稽でちょっと笑える
風刺がどうして使われたのかよくわかる
直接的に表現できないから、比喩を使うんだよね


2010年07月19日(月)
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