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■ 沈みゆく船
船が沈む前、船にいるネズミ達はそれを察知して逃げ出すのだそうだ。
警鐘が止まない。はやく、はやく船から逃げなければ。
けど、逃げたって外は海だけど?
溺れ死んでもいいから、 ネズミ達は船から逃げようとするのかしら。
溺れたくないのに? 逃げたら生きることができると思うのかしら。
そんなことも構わず逃げようとしなければならない状況の、 目も当てられぬほどの悲惨さよ。
骨折をしても、船から逃げなければ。 肉が削れても、火事から逃げなければ。
それがたとえ溺れるのに繋がったとしても、 逃げるのをやめることはできないだろう。
船が沈まないかもなんて気休めは、たくさんだ。
舵取りはとっくに舵を放棄している。
船長は見当違いの指示を出して、 満足げにしている。
船員は嵐が吹き荒れる空ばかり見て、 船が沈みかけているのに気付いていない。
船員のリーダーは、 早く帆を張れと見当違いな事を言っては怒っている。
既に逃げるためのボートはなくなりつつある。気配に聡い船員はとっくに逃げ出した。
あの船の端が濡れているのは、 嵐による雨のせいではなくて、 浸水してきているためだと気付いている人は何人いるだろうか?
沈没への秒読みは、既に始まっている。
気付かないうちに誰か沈んで、 自分の番がくるまで気付かないんだ。
ひとり、またひとり、いなくなっていく。
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ゴーリーの本に出てきそうな、不気味な絵本が書けそうだ 滑稽でちょっと笑える 風刺がどうして使われたのかよくわかる 直接的に表現できないから、比喩を使うんだよね
2010年07月19日(月)
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