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■ 放っておくということ
(※たぶん暗い気持ちになるので、注意です)
寮の私が住んでいる階に、ハトが迷い込んできていた。 入れるであろうたった一つの入口から入って、非常用階段を飛んでこの4階でさまよっていた。
バサバサバサッという音がすぐ近くでしたり、グルルッグルルッと鳴いたりしていた。 このハトを外に出すには相当骨が折れる。 誰かどうにかしてほしいな、なんて勝手なことを思っていた。
今朝、早朝にゴミを出しにいったときも、そのハトはいた。
頭を縮こませるようにして、じっとしていて、隣を通り過ぎても2,3歩しか動かない。 まだ早朝だから寝てるのかな。などと思っていた。
仕事が終わって帰ってきた。まだハトはそこにいた。 いたけれど、首がグタッと地面についていて変に曲がっている。 近くで足音をさせても、ピクリともしない。
廊下を見ると、点々とそのハトに向かってフンが落ちていた。
――ああ。 ハトはおそらく、絶命していた。
それは、そうか。
水も食料もないようなこの場所で、あのハトは何日いた? いつから飛ぶ音が、鳴き声が聞こえなくなった? いつから、地面だけを歩くようになった?
動かなかったんじゃなくて、動けなかった。
とうとうフンまでこんなに、って思ったけど、そうじゃなくて。 死亡したときに筋肉が弛緩して便が排泄されただけだったんだな。
放っておくということは、おそらくこういうことなのだ。
するべきことやした方がいいこと、やらなければならないこと、見逃してはいけないこと、たくさんのものが日々、溢れている。
放っておけば、何かが知っているうちに、知らないうちに、崩れ落ちて、消えていく。
なんとも、後味が悪い。
けれど、すべてを拾い上げるなんて正直、できない。
できないけれど、しないけれど、後味は、わるい。
なんともいえない気分になった。
2011年09月07日(水)
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