脳内世界

私が捉えた真実、感じた真実などを綴った処です。
時に似非自然科学風味に、時にソフト哲学風味に。
その時その瞬間、私の中で、それは真実でした。


※下の方の○年○月っていうのをクリックすると、ひと月ぶんはまとめ読みする事ができます



 放っておくということ

(※たぶん暗い気持ちになるので、注意です)


寮の私が住んでいる階に、ハトが迷い込んできていた。
入れるであろうたった一つの入口から入って、非常用階段を飛んでこの4階でさまよっていた。

バサバサバサッという音がすぐ近くでしたり、グルルッグルルッと鳴いたりしていた。
このハトを外に出すには相当骨が折れる。
誰かどうにかしてほしいな、なんて勝手なことを思っていた。

今朝、早朝にゴミを出しにいったときも、そのハトはいた。

頭を縮こませるようにして、じっとしていて、隣を通り過ぎても2,3歩しか動かない。
まだ早朝だから寝てるのかな。などと思っていた。


仕事が終わって帰ってきた。まだハトはそこにいた。
いたけれど、首がグタッと地面についていて変に曲がっている。
近くで足音をさせても、ピクリともしない。

廊下を見ると、点々とそのハトに向かってフンが落ちていた。



――ああ。
ハトはおそらく、絶命していた。


それは、そうか。

水も食料もないようなこの場所で、あのハトは何日いた?
いつから飛ぶ音が、鳴き声が聞こえなくなった?
いつから、地面だけを歩くようになった?

動かなかったんじゃなくて、動けなかった。

とうとうフンまでこんなに、って思ったけど、そうじゃなくて。
死亡したときに筋肉が弛緩して便が排泄されただけだったんだな。


放っておくということは、おそらくこういうことなのだ。

するべきことやした方がいいこと、やらなければならないこと、見逃してはいけないこと、たくさんのものが日々、溢れている。

放っておけば、何かが知っているうちに、知らないうちに、崩れ落ちて、消えていく。

なんとも、後味が悪い。


けれど、すべてを拾い上げるなんて正直、できない。

できないけれど、しないけれど、後味は、わるい。


なんともいえない気分になった。



2011年09月07日(水)
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