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2005年12月18日(日)

見舞い

なかなか日記を書けてない日があって、これは3週間も前の3日(土)の分。
祖母の見舞いに行って来た。
翌日にTやんが円覚寺に行きたいとか言い出したので、ちょい面倒になって車で行くべか?と思い立ち、その駐車場確認がてら北鎌倉経由で。

前日、母上に「鎌倉行くから、お婆ちゃんのお見舞い行ってくるわ」宣言したところ。
「私は行こうとも思わないわ」みたいな事を言われた。
何故にアンタは行こうと思うね?みたいなニュアンスで。
だので、「そりゃ、血が繋がってるからでしょう」と答えたところ。
「なに。なんか嫌な言い方だね」と返って来た。

んー・・・どこが嫌な言い方かいね?
孫である私の立場と、嫁という母上の立場では祖母に対する気持ちが微妙に違うのは普通でしょ。
と、思ったが。母上は血の繋がりっつーのに意外に敏感なのかもしれんと思い立ち、言い方を変えた。
「性格の問題じゃね?私は父上だろうが義理の兄だろうが、身内が入院してたら行ける限り行く性格じゃん。」
要は、私の自己満足だ。知っていて見舞いに行かないのは気持ちが悪いってだけの話だ。

この説明で母上が納得したかどうかは知らない。
っていうか、見舞いに行くのを誉められはしても嫌味を言われる筋合いは無い。
常日頃、母上は近くに住んでいるのに墓参りに来ない2号やらは、どういう神経してんのか?と私に問い掛けてくるのだけど。
私に聞いても分かる訳がない。理由なんて多分、無いと思うし。
どっちかっていうと、今回みたいに祖母の見舞いに行かない母上の方が分かるんでないか?と思う訳だ。
祖母がいるって分かってる病院の側に、何回母上は遊びで行ってたやら。
まぁ、行かないのは大人の事情なんざんしょ。

見舞いに出発する前に母上に一応電話をした。
翌日、お客さんが泊りに来るので家の中がバタバタしてるという理由で、やっぱり母上は来なかった。
断りはしたけど、誘われて母上は少し嬉しそうだった。
誘ったことで、母上の感じてた疎外感を消す効果はあったらしい。

祖母が点滴だけの状態になって、もう半年以上。
最初に入院したのは同じく鎌倉の別の病院。
その病院に母上が一人で見舞いに行った帰り、駐車場で料金を払っている最中に祖母と同居している父上の兄嫁である叔母ちゃんに会ったらしい。
目が合ったのに、声もかけずに病院を通りすぎた叔母ちゃん。
多分、そういう事があって。母上は祖母の見舞いに行く気が無くなったんだろうと思う。
でも、私にはそんな大人の事情は無関係なのだ。

入院は、1つの病院で3ヶ月が限度らしい。
だから祖母は2回転院し、今は3箇所目の病院にいる。
父上の妹である叔母ちゃん曰く、何の反応もしないとのこと。
逗子の病院に居た時は、介護の男性が何かとお世話をしてくれてたらしく、少し反応があったとか。
それも、今の病院に移ってからは無くなったと聞いていた。

行く前に病院に電話して駐車場の場所を聞いたけど、結局曲がる道を間違えて有料の駐車場に車を止めた。
中に入ると看護婦さんの姿も見えず。仕方がないので入院患者さんと思われる車椅子の人に入院病棟を聞いた。
2階だと言われ、階段を上がって部屋を探して見つけた。
祖母は、6人部屋の廊下側に横向きになっていた。

「お婆ちゃん。あるひ。」と声を掛けると私を見た。
父上の名前を出したら、さらに目が動いた気がした。
祖母のベッドに近寄って最初に目に入ったのは、鎖骨のところのテープ被れの痕。
「皮膚が弱いのは血筋なんだね。おとんも私も同じだよ。」と言ってみた。
髪がぐしゃぐしゃだったので、直してあげようと思ったが、自分の手が冷たいので少し暖まるのを待ってからにした。
そっと手を延ばすと、ちょっとビクっとしたから「髪の毛治そう」と言ってから、そっと触った。
顔の下になってる髪の毛が目に入ってるようだったので、「お婆ちゃん、顔上げて」と言ったら、頭を浮かしてくれた。
布団から出ている右手に、そっと触ったら手を動かしたので「いや?」と聞いたら「ううん」という反応をしたように思う。
首を振った訳でも、当然声が出た訳でもないけど雰囲気で。
手を触ると、握るような動きをした。力は入らないのか、実際には握れないんだけど指を動かした。

30分ぐらい、そのまま居たと思う。
また来るねと言って歩き出そうとしたら、体重をかけていた方の足の感覚が変になってた。
途中、看護士さんに「お花とかは迷惑ですか?」と聞いたところ、大丈夫といわれた。
でも、ここから花が売ってる店までは遠いので「今回は、いいんじゃない?」と言われたので次回は用意して行くことにした。
そう言えば、立っている私に看護士さんは椅子を勧めなかった。
もしかして、椅子自体無かったかもしれない。
長居する人はいないって事なのかも。

祖母が反応をした瞬間、一瞬だけ泣きそうになった。
今まで聞いていたように、何も反応が無いならば。何も分からない状態になっていたならば、その方が良かったと思った。
分かっていて、今の状態でいる事は辛いんじゃないかと思う。
私がいる間、祖母は眠らなかった。
ああやって、昼間はずっと起きてるのかな。夜はちゃんと眠ってるのかな。

店行くと、母上に聞かれた。
「反応無かったでしょ?」と言うので「反応したよ」と答えた。
「お婆ちゃんの肌、すごいスベスベなんだよねぇ。97歳で驚異的だよ。」と言うと、「だからしねないのかね」と返って来た。
素晴らしく無神経なので流した。
確かに、点滴だけで人が生きていられるなんて事を今まで知らなかったから、驚きはあると思う。
何かというと「心臓が強いんだね」と母上が言うのも分からなくはない。
でもさ、父上の時も同じ言葉言ってたよね。
その時も、どういう意味さ?と聞き返したい衝動にかられたけど口には出さなかった。
ま、良い意味で言ったんだろうと。
でも、祖母に対するそれは、ちょっとニュアンスが違う。
そんなになっても生きているなんて・・・って。
それは、悪い事なのか?

本人だって辛いだろうって人は言うけど、そうなんだろうか?
介護をしているお相手曰く「病院は、ずっと生かしておくから」と。
ならば、いっそ楽にって考える人が多いのかもしれない。
その手のことを言われる度に、「けど、そんなの本人じゃなきゃ分からないじゃん。」って私は毎回答える。
よく、「そんなになってまで生きていたくない」って言うけど、その状況になった時に本当にそう思うかな?

っていうか。
その状況になってる本人の意思が分からない状況の場合。
あとは周りの人間が、その人に生きてて欲しいと思うかどうかじゃないかと。
少なくとも私は祖母が生きていてくれてる事を感謝してる。
腰が重い私がお見舞いにいけた事を感謝してる。

ここまで日記を書いて、メモに入れたまま放置してた。
そのまま書きつづけると母上に対する悪態が並びそうだったし。

今、UPしようと思って読み返して気付いたこと。
祖母は右向きに寝てた。
かつて、父上が言ってたのを思い出した。
「お婆ちゃんに右を下にして寝なさいって言われてたから、どうしても直せないんだよな」
父上は、多分。右向きだと手術の跡が痛かったんだと思う。
それでも、母親に躾られた寝方を直すことは出来なかったと。
祖母が、そう子供を躾た理由は胃の為らしい。
消化するのに、右を下にした方が良いと祖母は思っていたんだろう。

それから、後日談として。
2号に用があってメールを出した時に祖母の見舞いに行った事を書いたけれど、無反応だった。
その後、電話で母上との会話を話したが、返ったきたのは
「だって、別にお婆ちゃんに可愛がってもらってないし」
だった。

確かに、祖母と私たちは家族っぽい触れ合いみたいなのは一切無かったし。
祖母と会話した記憶すら殆どない。というか、私の記憶の中で祖母との会話は父上の法事の時に車で送っていった時のものしかない。
多分、1つだけ他の姉妹より思い出が多いとしたら。
祖母が持っていたアルバム(黒い紙に写真を張る昔のアルバム)を貰ったことだろうと思う。
そのアルバムにせっせと写真を張る私を、父上は嬉しそうに見ていた。

父上は、自分に何かをしてもらうより母上に私達が何かをすることを喜んだ。
それと同じように祖母から貰ったものを大事にする私が嬉しかったんだと思う。
元々、親戚だとかそういう繋がりが薄い。
従姉妹だとかにも、小さい頃以来会って無いし。
父上の兄弟は仲が悪くて、同じ地域に住みながらも行き来があまり無い。
父上の法事の時に兄弟喧嘩してたぐらいに。
そんな中で父上は皆と繋がっていた。
その父上の気持ちが私には凄く分かる。

祖母の見舞いに行った翌日、Tやんと出かけた。
ライトアップされた紅葉の写真を何枚も撮った。
でも、その写真は全部消した。
私は怪奇現象とか、そんなの信じない人間だけど。
Tやんが私を写してくれた写真2枚に、明らかにそこに無い存在が写っているように見えたから。
撮ったTやんに何かがあるのか、写った私に何かがあるのか。
全ては気のせいなのだと思いたかったけど怖かったので消した。

その話を母上にしたら
「お婆ちゃんの見舞いなんかに行くからだ」
と言われた。

そうかなぁ。でも、違うと思う。
義兄の墓参りで、気にしてたのに別のお墓を掃除して手を合わせて。
お寺さんで紅葉を撮ってた時に、暗くて気づかなかったけど、そこにお地蔵さんがあったのでビックリして手を合わせて。
多分、原因があったとしたら、そっちだと思う。
お寺さんに行く前の写真もあったから、前者かな。

だけど、私は別に悪い事は1つもしてないし。
そういう意味では怖くは無いさ。