ほり日和 もくじ|昨日|明日
暑さは相変わらず、しばらくまだ続くだろうけど、 明日からはまた新しい日々が始まるのだ。 きっと、何一つ変わらない生活なのだけど。 それでも、一つの何かが終わりを迎える今日。 特に子供たちにはいやに短い一日になるのだろう。 夏はきっと暑さの面では何も終わらない。 しばらく袖の短い服やパンツ姿… きらめく汗にひとときの涼を求めて、アイスを頬張る姿… アスファルトに弾んで、僕らに突き刺さる日差しは 確実に弱まって行くのだとしても。 終わりは次の始まりを教える…。 昨日。 職場であるすかいらーくに食事に行った。 午後3時くらい。専門語でアイドルタイムと言われるこの時間。 ランチタイム後なのでお客の足は減るはずなのだが、満席。 僕の座った席の隣の隣。4人の高校生くらいの男子がなにやら 勉強していた。見たわけでもなく、聞いたわけでもない。 でもきっと、夏休みの宿題に追われていたのだろうと思う。 最後の日は遠ざかってはくれない。 夏休み42日間。今日はただ「夏休みが終わる」、それだけの日である。 でも、いろんな人にとって今日は「夏が終わる日」なのだ。 大学生や社会人になると、高校生以下の子供たちをうらやましく思う。 社会人からしてみれば、休みがある分、大学生がうらやましい。 僕はフリーターだから、正確には社会人ではないのだろう。 「自由人」なのだから、時間は自分の思い通り。でもそれは間違いだ。 過ぎ去っていくものが思い通りになるわけはないし、フリーターだって 時間をうまくコントロールできるとは限らない。 いろいろ考えた挙句、行き着く答えは、すべてに等しく夏の終わりがあること。 小学生にも、高校生にも大学生にも、社会人だってフリーターだって。 今日、車を運転してた時に見た夕日は、いつもよりまぶしく見えた。 きっと昨日も見た同じ太陽。明日も見る同じ太陽。 時間によって見える表情は少し違うかも知れないけれど、 それでも同じ太陽。 いつもよりまぶしく見えたのは、きっと僕だけじゃない。 昔のバイト先に立ち寄った。 しばらく会っていなかった人に会った。 前から手に入れたかったものを手に入れた。 今度東京へ行くから切符を買いに行った。でも売っていなかった。 相変わらずの僕の忙しい日々。一人で市内をドライブ。 でもこれは特別じゃない。いつもと変わらない休日の過ごし方。 今年僕に特別な夏の思い出は何一つない。 そんな僕にも特別なものに見えた8月最後の夕焼け。 この日記を書いている最中、 一人の女友達から電話があった。 今日、彼女の家に立ち寄るつもりで、夕方電話をしてた。 けれど彼女は電話に出なかったので、家によるのをあきらめた。 どうやら伊良湖へボディボードしに行ってたらしい。 彼女はちゃんと最後の日に思い出を作りに行っていた。 きっとそんな人も大勢いたのだろう。 僕には意地が悪い部分もあるのかもしれない。 正直にうらやましいなと人をうらやむ気持ちもあるのかも知れない。 明日、朝出勤するときに、きっと地下鉄に制服姿が増えるはず。 「ザマァミロ」 きっと僕はほくそえむ。 そして同時に、 子供の頃、あんなに早くなりたいと思ってた大人に、 僕はいつの間になっていたのだろうと痛感するのだ。 明日がもうすぐそこまできている。 そしてすべての人に平等に、新しくも普通の日々がやってくる。 それはまたそれで、ある意味、それぞれに「特別」な想いとともに。
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