麻綴り
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2002年11月22日(金) 昨夜のコンサート

「アイルランド・大地からのメッセージ」というコンサートに行ってきました。
出演は、守安功・雅子ご夫妻、ゲストがマイケル/セイリーン・ダブラディーご夫妻。
ダブラディーご夫妻は、去年も来日していて、その際にもこのメンバーによるコンサートがあったのですが、そのときは行くことができず、今回ようやく念願かなって聴きに行くことができました。
夫が出張中ということもあって、娘と2人でのコンサート鑑賞です。

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全席自由なので、開場前に着くように、早めに出発しました。家から約1時間半かかって到着。
そして、図々しくも最前列の席をゲット。
こんなところに、子どもと二人で座っていいのかなぁ……とも思いましたが。後ろだと、座高の低い娘にはステージが見えなくて、よけい退屈するんじゃないかという気もして。思い切って座りました。
ここが、開演してみたら、ハープをお弾きになる雅子さんの椅子の真ん前で。本当に特等席でした。おかげでほんの3メートルほどしか離れていないところで、じっくりと演奏を見ることができました。うー、幸せ。

娘も、ほとんど退屈することもなく、最後まで身を乗り出して、見て、聴いていました。

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守安功さんはホイッスルとフルート、雅子さんはコンサーティーナ(小型のボタン式アコーディオン)とハープ、ボラン、スプーンズ。マイケルさんは、ホイッスル、フルート、コンサーティーナとダンス。セイリーンさんはダンスの担当でした。

1曲目が始まった途端、なんともいえず、泣きたいような気持ちがこみ上げてきて、本当に目頭が熱くなってしまいました。
うまくいえないのですが……なんだか本当に、アイルランドの空気みたいなものを感じて。懐かしいような、せつないような気持ちになりました。
ここに来られてよかったなぁ……と。この奇跡のような時間を、この空間で共有できてよかったな、と。なんともいえない感謝でいっぱいになりました。

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ダブラディーご夫妻と、特別ゲスト(宮澤紅子さんと、『アイルランドでダンスに夢中』の筆者の山下理恵子さん)の踊る、オールドスタイルのアイリッシュ・ダンスも、とても魅力的でした。ちゃんと踊れる人はアイルランドでも数少なくなっているという、古い伝統的なダンス。
セイリーンさんは71歳だそうで、白髪の素敵な女性ですが、背筋が美しくピンと伸びて、まあ何とも年齢を感じさせない、見事なステップを披露してくださいました。
マイケルさんの「シャン・ノース」(即興で踊るダンス)や、紅子さんの「ほうきダンス」も面白かった。テレビでは見たことがありましたけど、目の前で見るのは初めてでした。

娘も、ダンスはとても面白かったようです。休憩時間には、早速ロビーでまねごとを始めて、キャッキャッと大喜びでした。

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音楽の方に話を移すと……。

なんというか、今回は、本当にハープっていいなぁと、改めて思いました。
アイリッシュ音楽を聴いていると、ホイッスルやフィドルのような楽器の方がセッション向きという気がして、日頃なんとなく羨ましく感じていたのですが、ハープって、いい楽器じゃないですか。
あたりまえのようだけど、ホイッスルやフィドルはメロディを弾くだけで、和音はないんですね。そこにポロロ〜ンとハープが入ると、音楽がふんわりと華やぐんです。ああ、ステキ!
今更、何を言ってるんだ、という感じですが、本当に、ハープをやっててよかったなぁと思いました。うん、もっともっと練習して、セッションに参加できるようなハーパーになろう、と心に誓いました。

雅子さんの弾かれていたハープは、私と同じ、ストーニーエンド社のイヴでした。
そのせいもあって、いっそう勉強になったし、自分も頑張ろうという気になれました。
セッションでどんなふうに弾いたらいいのか、というのは私にはまったく未知の世界なので……。指の動きを食い入るように見ながら、耳を澄ませて、ハープの音色を追っていました。
うーん。イヴという楽器も、本当に奥が深い。私みたいな下手っぴでも、それなりに鳴ってくれて、手軽に楽しめるけれど、プロが弾くと本当に素敵な響きを生み出すんですね……(これは、いつもお師匠さまのお手本を聴くと思うことですが)。
あああああ。もっと上手くなりたい!

  ***

雅子さんは、私たちの席の真ん前で、次々にいろいろな楽器を持ち替えて演奏されていました。
ボランの演奏も、目の前で見るのは初めてで、私は興味津々でした。大きなタンバリンのような太鼓ですが、支えている左手の手のひらで、皮の裏側から微妙に音を調整しながら、右手のバチで叩いていきます。私は、左手の微妙な動きに注目して見ていました。

娘が一番夢中になったのが、スプーンズ。
普通のテーブルスプーンを2本、利き手で持って、反対の手に当てたり、自分の身体に当てたりして、カチカチと見事な音を出します。
娘は目をまん丸にして、食い入るように見つめていました。帰り道でも「帰ったら、スプーンを練習する!」と意気込んでいました。
今日、実際にやってみたら、ちょっと難しかったようですが……。

  ***

いや、まあ、なんというか、とにかく盛りだくさんで、贅沢な夜でした。
最後の方ではアイルランド民謡を、会場全体で一緒に歌ったりもしました。
アイルランドそのものをたっぷり堪能した、という感じで――本当に濃密な2時間でした。

終演後、すぐにサイン会があったので、私は開演前に買っていたCDにサインをしてもらいました。
マイケルさんにサインをしてもらった後、“Thank you very much. It was a wonderful night.”とひとことお礼を言ったら、笑顔で握手をしてくださいました。娘にも促して、握手をしてもらうようにしました。

もしかすると今回が、最後の来日になるかもしれないというダブラディーご夫妻。
私はこの夜のことを、一生忘れないと思います。


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