麻綴り
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2003年07月23日(水) おっぱいのこと。

やっとのことで、風邪はほぼ回復に漕ぎ着けました。まだ少し、喉はヒリヒリしてますが、とりあえずOKです。
うちのベイビーは、普段から鼻が詰まりがちなのですが、このところ、だいぶひどいので、もしかしたら彼にもうつってるのかも。ちょっと、コンコンいってるし。機嫌はいいので、あんまり心配してませんが。

  ***

夜寝る前、私が片づけをしている間に、ベイビーが泣いていたら、お姉ちゃんが膝にだっこしてくれました。
行ってみると、娘はパジャマをまくり上げて
「ほら、***(弟の名)。おっぱいだよ!」
と、胸を吸わせようとしていました(笑)
「なにやってんの……」
「これがおっぱいだよ、***。ねーね(お姉ちゃん)のおっぱいだよ!」
抱かれたまま身体をのけぞらせて、すがるような目で私を見ている息子。
息子にしてみれば笑い事じゃなかっただろうけど……ついつい笑ってしまいました。

  ***
 
娘はずっと、おっぱいが気になって仕方がないようです。

そもそも、3歳の誕生日の翌日までおっぱいを飲み続けた経歴の持ち主でして、おっぱいが大好き。
3歳まで飲み続けるというのは、どういうことかというと……しっかりお喋りができるようになって、一見赤ちゃんではないのに、おっぱいだけは飲むという状況です。
デパートの授乳室で、おっぱいを飲み終えた後「ごちそうさま!」と元気に挨拶して、ほかのお母さんを一瞬ギョッとさせたり(赤ちゃんがしゃべった!と思ってビックリしたようです)、乗り物の中で大きな声で「おっぱいちょうだい!」と要求して注目を浴びたり……。あまりにも恥ずかしいので、「おっぱいちょうだい」と言うのは、小さな声で、という約束にしました。私が子連れで自動車の教習所に通っていたとき(娘は2歳半くらい)、帰りのスクールバスに乗ると、娘は決まっておっぱいを飲んでいました。大きな声で「おっぱい……!」と言いかけて、ハッと気づいて、囁き声で「おっぱいちょうだい!」と言い直す娘。あの嬉しそうなニコニコ顔が忘れられません。

まぁ、そういうやつですから、娘は、弟が生まれてくる前から、「赤ちゃん生まれると、おっぱい出るの?」などといって興味津々。
息子の入院中、私が搾乳にいそしんでいるときも、まとわりついてきて、「いいな、いいな……」と飲みたくて仕方がない様子でした。
「おっぱい飲みたいの?」
「うん、飲みたい」
「あんたね……自分はもうおねえちゃんだ、とかいうプライドはないの?」
「でも、おいしそうなんだもん」

そうそう、おばあちゃんに聞いた話。一緒にお風呂に入っているとき、こんな会話があったそうです。
おばあちゃんのおっぱいを見ながら「おばあちゃん、おっぱいもう出ないの?」
「そう。もう出ないんだよ」
「私も、おっぱい出ればいいのに……」
「出たらどうするの?」
「自分で飲むの!」
……よほど飲みたかったようです。

娘はふざけて、何度か吸い付こうとしてきました。
まだまだ小さな子どもだと思っていた娘も、赤ん坊の息子と較べてしまうと、異様に大きく見えてきて……この大きな顔、大きな口、立派な歯並び……これで胸に吸い付かれるかと思うと、怖くて腰が引けてしまいます。

あまりにもしつこく飲みたがるので、息子の退院後、あまった冷凍母乳を溶かしたものを、コップに入れてやりました。でもそれは、冷凍してあったせいか、やや古くなっていたせいか、とにかく、あまりおいしくありませんでした(私も味見してみたけれど、なんか生臭くて)。
それ以後、飲みたがるのは一段落しましたが……。

そんなこんなで、おっぱいについては、かなりこだわりのある娘です。
しかし、自分のおっぱいを弟に飲ませようとするとは……。
予想外の行動で、おかしいです。

  ***

この文を書いている途中で息子が起きたので、また例によって、片手で抱いて授乳しながら続きを書いています。

この子は何歳まで飲むのかなぁ。
私としては、本人が納得するまで、存分に飲ませてやりたいと思っています。
さんざん泣かせて「断乳」するのって、意味があるとも思えないし。自然に、その子にあったタイミングで「卒乳」するのが理想でしょう。

母乳は第2のへその緒、という話を、最近聞きました。なるほどと思います。
出産後、身二つになっても、母親と子どもは母乳という絆でしっかりつながっているんだなぁ。
私の食べたものがおっぱいになって、この子の命と肉体を育んでいく……。

息子の入院中、まだ直接授乳できなかったとき、すごくつらかったのですが、あれは、母子の絆が人為的に切られた状態だったからなんですね。
息子が生まれてから、一度も自分の乳首を吸わせることを許されず……このまま哺乳瓶しか受け付けない子になったらどうしよう、直接飲んでくれなかったらどうしよう、と悶々と悩んでいました。
せめて、哺乳瓶の中身は母乳でと、意地になって、日夜絶え間なく搾乳を続けていたものです。
今にして思えば、母乳で育てるということは、私にとって、母としてのアイデンティティに関わる重要な問題だったのだと思います。
五体満足に産んでやることができず、ずっと一緒にいてやることもできず、母親としての自分を否定されたような気持ちになっていたときに、唯一の心の支えは、母乳でした。この子におっぱいをやれるのは私しかいない!
看護師さんには、「そんなに母乳にこだわらなくても……べつにミルクでもいいんじゃないですか」と言われたりしましたが。「母乳は調乳しなくていいから楽」とか、「牛乳はアレルギーの心配がある」とか、いろいろ理由はあるものの、やはり、「哺乳類なんだから自分の乳で育てるのが自然だし、何にも介入されず、母乳で子どもとつながっていたい」というのが私にとって一番の、母乳にこだわる理由でした。

今こうして、晴れておっぱい三昧の生活を許されるようになって……こう頻繁に授乳していると、初めて息子が胸に吸い付いてくれた日の感動を忘れかけてしまいますが。
ときには初心に返るのもいいものですね。
日常の中で、「ああ、おっぱいが取り外せたらいいのに!」と思ってしまうこともありますが(風邪でゆっくり休みたくても、授乳は休めないしね)、こんなに子どもと密着した生活をしていられるのも今だけのこと。息子がやがて自立していくまで、精一杯美味しいおっぱいを飲ませてやりたいと思います。

  ***

今日は何だか、えらく長文になってしまいました。
風邪で短縮版が続いた反動か……?
おつき合いいただいて、ありがとうございました。


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