DIVE TO DIE, STRIVE TO SURVIVE |
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2005年06月10日(金)
小休止。
何故だか分からないけど書棚の奥に仕舞い込んであった森ミステリィを引っ張り出してきては読んでる。
「すべF」(何でも略せばいいってもんじゃないという良い見本かな)は今手元にないけど、その他のS&Mシリーズはひと通り読破し直した。 さらに、Vシリーズ3作目を新しく購入して読み始めたりして。 こっちは正直、いまいちだったけど。 というかS&Mシリーズの読後感のノリでVシリーズを読むとあんまり面白くないってひと少なからずいるんじゃないかな。 あたしももそうだし。 たぶん紅子がいまいち好きになれないからだと思うけど・・・、自分の場合は。 保呂草さんも、「前」のほうが好きだし(ネタバレ?)。 それでも1作目はわりと読み応えがあったんだけど(イギリスで何回も読み返したし。数少ない母国語だったからかな?)、あとのふたつ、特に「月は幽咽〜」は全然好みじゃなかった。アンテナが違うっていうのかな。 挿話として読んだならもう少し満足感があった気がするけど。 そういえば去年の後半ぐらいに「スカイ・クロラ」も読んだけどなんかぴんと来なかったし・・・。そう、「分からなかった」てやつ。 禁句かもだけど、この作品「スカイ・クロラ」に限っては著者名を「村上H樹」で売ってても気づかなかったと思う、たぶんあたしは。 ただ性的描写の加味は幾らか必要な気がするけどね。 続編があるみたいなので、そのうち読みたいなとは思ってるよ。
さらに、ネットサーフィンで初めて森氏のインタヴューなんかにも目を通してみたり。 そうして思ったのは、やっぱこのひとは「価値観」「個性」を重視するんだなってこと。 あと、天才とかそういう言葉を自分に使われるのが少なくとも嬉しくはなさそう。
彼の作品を見ていると、「その文章の主語は何なの?」っていう問いかけをされているなって感じることがよくあって。
つまりは既成概念にとらわれず頭をクリアにしなよ、その「定義付け」をもう一度フォーマットしてみなよってメッセージを受け取ってるってことなんだけど。
ルーティンな(この日本語表現嫌いなんだけど)日常の中で本を読んでいてそういったことに気づかされるのは、誰も知り合いがいないと思っていたパーティー会場でぽんと肩をたたかれて、振り向くと懐かしい顔を見つけたくらいの心地よさがある。
それを、今回彼のインタヴューを読んでてまた思った。 やっぱりこのひとは、「平均的」な人々とはちょっと思考の切り口が違うんだ。 だから作品中で何度か登場人物たちに議論される「なぜ人を殺してはいけないか」「人が死ぬとなぜ悲しいか」は読んでいてとても興味深い。 勿論?彼も「正しい」答えは書いていないんだけどね。 そうそう、これだけ登場人物たちに色々な(ある程度一貫した価値観の)主張をさせておいて「あれはあの人の考えであって僕の意見じゃないから」って言うのにはすごく吃驚したけど。 だって普通(この場合も「一般的には」「統計学的には」、ね)、登場人物たちに共通した価値観って作家のもつものそのままでしょう?? ただ、「なぜ人を殺してはいけないか」については作中で語られていることとインタヴューでの回答がほぼ一緒で、「自分が殺されたくないから(相手も殺さない、という暗黙の了解が成り立っているから)」だそうです。 ん〜、こういう他人の意見聞くの本当面白い。 あたしが馬鹿すぎるからかもしれないけど。卑下じゃなくて。
でもそれを、もうただ「羨ましい」とは思わなくなった。 それはあたしが良い意味で「大人」になったからだといいな。 最近ほんのちょっとだけだけど自分がタフになった気がするし。
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