(SleepWalking)



銀杏
 
風が吹いてたから実が全部落ちたんだって
踏みつけられて悪臭を
雨に晒した無数の銀杏

そういえば散歩道に
散らばっていたのは銀杏の葉ではなかった
あの時既に
かさかさと死んでいたものは

蹴り飛ばして宙に舞った
こころも同じ様に
風に吹かれてふわりふわり
流されているだけの
臆病者は消えるほかないという

思い出してもひとつもいいことはないから
臭いに煽られて吐き出してしまおう
ただ置き去りにされた思い出を
卑怯者の忘れ物を

2004年12月12日(日)


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