(SleepWalking)
北風
視線の先に白く息が見えることを祈っている 見えたらきっと生きているのだろう ちいさなちいさな生き物も 指先で一瞬に消してしまえるような たいせつなものも
風の吹いてくるほうに向かってゆるく おれんじいろに微笑んだ男を思い出す 無駄な時間を使うのはいいことだ 白紙の手帳を埋めるには なにも文字に潰れたスケジュールが 有意義な人生を示すわけではあるまい たとえば男との約束を のうみそのどこかに隠していたように
無理矢理に抱き寄せて奪い取ったのは そんな陳腐なものではない ただの絶望だ 奪い取ったつもりで本当は その根は深くなるばかりだったけれど 気付かないのがこのお気楽な頭 あからさまな言葉こそがアイであると 信じていた幼稚な大人
落ちてきた雨を掌に集めて 暖めたら撒き散らしてしまおう 意味のない行動に惚れこむように からっぽのこころはどこかに飛んでいって 北風に向かって息を吐き出す 星が綺麗だ
2004年12月13日(月)
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