Spilt Pieces
2007年05月05日(土)  ネガティブ
たまに、思い出したように苦しくなる。


誰かに具体的に話せるような事柄があるわけではない。
何となく、25歳にもなってと思うけれど、
私は相変わらず自分との付き合い方が下手なのだな、と。
要するに、自信がない。
悲しいくらい。


最近、仕事ばかりしている。
転職したとき、求めたものは「定時で帰れること」だった。
空いた時間で自分のしたいことをするつもりで。
やりがいも、給料も、小さなプライドも捨てた。
ただ自分との対話をやり直したかった。
あの当時は、彼とも別れたばかり。
苦しさから逃げるためには、きちんと向き合うことが一番の近道だと思ったから。
忙しさを言い訳にして、何も見えない顔をするのにもう疲れていた。


だけど結局、世の中自分が望んだ通りになんてならないもの。
甘い考えだったと今なら思う。
確かにやりがいもなく、給料も安く、情けなくもなる。
それなのに、唯一望んだ時間も手に入らない。
朝8時から、休憩もほとんど取れない状態で、夜10時過ぎ。
事務職なのに。
パソコンの前に座りっぱなしで、目や腰が痛い。
タチの悪い相手とばかり話しているせいか、目つきも悪くなってきたし、
当然のように愚痴も増えた。
人が足りないから、辞めるに辞められない。
それに、もし辞めてしまったら、彼に会いに行く交通費すらままならない。
今はただ、彼に会うことだけが、目的のような毎日。


正直、遠距離恋愛はきつい。
精神的にも、金銭的にも、すごく。
会いたいときに会えない。
いつだって我慢の連続。
我儘を言いたいのに、言えない。
会えないときに言って喧嘩をしたくない。
久々に会えたときに困らせたくない。
それでも時折、限界が来て、「寂しい」と言って泣いて、
結局のところは彼を困らせる。
会って、ただ抱き合えば解決できるはずのことも、
会えないと、どんどん複雑になってしまう。
泣いたことで嫌われてしまわないか、不安になって。
不安になってばかりのネガティブな自分がばれていないか、苦しくなって。
彼の気持ちが離れていかないか、やっぱり怖くて。
前向きで、いたいのに。


時間があれば、毎週でも行きたい。
でもそれは、お互いを束縛することにもなるし、
前提となる金銭的ゆとりだって当然ない。
「旅行に行こう」と誘われた。
私は、すごく情けなかったけれど、素直に「お金がない」と断った。
会いに行くだけで精一杯なの。
そのために、友達からの誘いを断りもするし、買いたい服も我慢する。
付き合い悪いなあ、と、思う。
お洒落したいなあ、と、思う。
別に、友達を大切にしたくないわけじゃないのに。
別に、流行に興味がないわけでもないのに。
近くにいれば、
例えば一緒にご飯を作って、
テレビを見ながらお喋りをして、
手を繋いで眠って、
ただそれだけのこと、
普通にできるはずなのに。
会えないことによる我慢も、
誰かに会えない我慢も、
お洒落できない悲しさも、
せずに済むのに。


それでも、彼がいい。
だから、苦しい。


親離れできていない、と、よく言われる。
私は、親としてだけではなくて、ただもう単純に、
人間として、
母のことが好きだ。
その母の近くにいたい。
彼は、いつか、私との結婚も考えてくれているらしい。
私自身、考えないわけじゃない。
だけどその度思うのは、母のこと。
彼のところへ行ったなら、一生、離れ離れになってしまう。
彼のことが好きだ。
嫌いなところもきちんと見えている。
直して欲しいところもたくさんある。
母に寂しい思いをさせてまで、彼のことを好きかというと…
申し訳ないけれど、よく分からない。
でも、別れたくない。
自分でも、自分の本当に望んでいることが分からないでいる。
矛盾していると思う。
だけど両方本音なんだ。
すごくすごく愛しているか、と問われると、よく分からないのに、
彼のいない生活は考えられない。
とても必要な存在で、かけがえのない人。
声を聞くと、安心する。
悲しいことも、吹き飛ばしてくれる。
手を繋ぐと、体温が伝わってきて、ほっとして眠くなる。
口と口でするキスよりも、ためらいがちに頬にしてくれるキスの方が好き。
髪を撫でてほしいから、出かける前には、いつだってパックして。
着ていく服が決まらなくて、寝るのが夜中になって。
せっかく会っても、毎回あくびが出そうでたまらないの。
これって、好き、って、いうんだろうか。
好きじゃない言い訳を、時折たくさん探してみるのに。
結局、行き着くところはいつも同じ答えで。
よく、分からない。
ただ、少なくとも、
苦しい。
これだけは事実。


誰よりも近くにいると思っていた友達と、
知らないうちに、少しずつ遠ざかっていた。
それに、気づいてしまった。
どうしたらいいのか分からなくなった。
苦しいとき、悲しいとき、お互いに、たとえどんな時間でも、
電話をしたりメールをしたり、
励ましあって、
この数年、過ごしてきた。
彼女が仕事を始めて、
少しだけ、きつくなって。
優しいところは変わっていないけれど、
何を言わなくても近かった感性が、
いつの間にやらずれていることを感じた。
どこ、とは言いがたい、ただ、少し、
心を配るタイミングや、その場所が、
ちょっと違う、
そんな些細なことなんだと思う。
だけどそれが息苦しい。
たぶん、彼女もそう思ったはず。
なぜか、悲しそうに、私の言葉に何度か口を挟んだから。
変わってしまったのは…どっち?


誰を支えとしたらいいのだろう。
支えなしに立っていられるほど、私はやっぱり強くはなれないから。
支え合えればそれでいい、と思っていた。
そうすれば、罪悪感にも負けない。
だけど、今の私には、誰かを支えてあげられるような気もしない。
色んなことが見えなくなっている。
何も失っていないはずなのに、全てが手の中から零れていく。
そんな、虚しくて、寂しい、それでいてリアルな…幻?


獏がいるなら、食ってくれ。
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