Spilt Pieces
2007年05月09日(水)  世渡り
個人的に。
顔に感情の出る人が好きだ。
邪推をしなくてすむから。
裏を読んで、勝手に苦しまなくてすむから。
だけど、それは、
我儘な感情を出しっぱなしにしていいという意味ではなくて。
根本には、優しさがあってほしいと思うのだけど。
それって、境界線が、難しい。
実際のところ、顔がよく喋る人は、世渡り下手な場合が多い気がする。
それをよさとして認めてもらえるのは、
よほど個性を大切にできるゆとりある空間、
もしくは、
成功したからこその、あとづけ。


前時代的な考え方だとは思う。
弱者の言い訳にしか映らないことも自覚している。
でも、私は、今の成果主義が苦手だ。
自分に主張できるものがないから、と言ってしまえばそれまでかもしれないけれど、
それとこれとは話を別にしてみると、
「自分の手柄を自分で声を大にして主張する」
ということを、格好悪いと思ってしまうから、
やっぱり、苦手なんだと思う。


「評価」っていうのは、同じ相手であっても、
誰がそれを行うかによって全く違ってくる。
主張する人間を好む人。
表に出てこないかもしれない努力まで含めて好む人。
私は、自己主張の強い人間だ。
愛されていたいし、必要とされていたい。
だけどどうしても、これだけは譲れないから不思議なもの。
自分が行ったことのうち、
自分自身でも評価できると思えるようなことほど、
黙っていたくなる。
たくさんの言葉を発しても、
口にするのは大抵の場合、
特に頑張った自覚のない、どうでもいいようなこと。
どうでもいいから、主張できる。
何も考えていないからこその、恥ずかしげもなく、という状態。


会社の面接のとき。
勤めている会社での内部評価。
黙っていても、何もいいことなんかない。
「アピール力」というのが、必要なんだろうけれど。
でも、何もアピールすることなどないし、
アピールする気にもなれないし。
何をしてきたかじゃなくて、
今何を考え、行動しているか、
それを大切にしたいと思うのに。
そしてそれは、私が「私」としてだけ生きるのであれば、
ことさらに間違ったことでもない気がするのに。
社会では通用しないんだよなあ。
分かっているのに、変えられない。


仕事だもの、
頑張ることは普通。
色んなことを我慢して、
生活のために続けていて、
賃金をもらっている身だから。
最低限、必要なことはしなくてはと思うもの。
工夫することも、
努力することも、
別にすごいことでも何でもないはずなのに、
そんな些細なこと一つ一つを、
「評価の対象にするから」って、
何でもかんでも点数化しようとして、
求められても。
隣の席の男の子に、
「ボーナスに上乗せされるらしいですよ」
って、何もしようとしない私に、アドバイスしてくれた。
でもね、する気が起きないものはどうしようもない。
ごめん、せっかく言ってくれたのに。
ありがと。


仕事って、窮屈。
感情を表に出せない。
…と、思っていたら、私はかなりポーカーフェイスが苦手らしく。
人間的にも社会人としても相当未熟なんだと思う。
ゆらゆらと生きてきたから、
あんまり、社会に受ける性格をしていない。
どうしたらいいものか。
かといって変える気もないし。
何だか不器用な会社員。


適当に頷いておけばいいのに、
理不尽なことには「はい」と言えない。
適当に合わせておけばいいのに、
考え方に賛同できなければ、反論してしまう。
ちょっと疲れる。
でもそれはたぶん、頷いたり合わせたりしたときに、
さらに増すであろう疲労感のおすそわけなのだろう。


にこにこ笑って話した後に、
悪口を言う人が昔から嫌いだった。
とにかく大嫌いだった。
そういう人は、結構世渡りがうまいからか、
集団内での地位もそこそこで。
私は、それに対して反発してしまうから、
いつもあんまり色々うまくいかなくて。
悪口を言うならその場で言え、って、
何回思ったことか。
嫌っているのに仲良いふりをするくらいなら、
最初から近づかなかればいいのに、って、
何回思って自分は実践してしまったことか。


生きていく上で、こういう性格は非常に不便です。
敵も作ります。
苦しくもなります。


だけど、どうしようもない。
少しずつ、社会人として、大人しいふりは身につけたいと思うけれど。
母が言っていた。
「あなたのおばあちゃん、あんなに温厚でできた人だったけど、
昔はね、それはそれはきっつい人だったんだって。
厳しくて、納得いかないことには絶対頷かないの。
おじいちゃんがいつも、「おばあちゃんは怖いぞ」って言ってたのよ。
お母さんは、そんなおばあちゃんを見たことがないから、
よく分からないんだけどね。
あなたの性格は、おばあちゃん譲りなのかしら」
…うーん。
ならば将来的には、私も祖母のような人になれる可能性がある、って、
思っていいものだろうか。
私が知っている祖母は、
愚痴も何も言わず、賢くて、常に周りに心を配り気を配り、
相手のやり方はやり方として認め、寛容で、
しかも多趣味で美人で優しい人だった。
何で自分は祖母の血を引いているはずなのにこんなんなんだろう、
そう思って嘆いた日もあるくらいなのに。
昔、祖母がきつかったというのは、きっと、
真っ直ぐな人だったから、
色々と許せないことが多かったからだろうと思う。
私は、そんなに透明になんかなれないし、
文句を言う割には何かを貫く根性もなければ芯の強さもない。
だから祖母にはどう頑張ったって近づけないと思うけれど、でも、
いつか色んな苛立ちが薄らぐ日が来るかもしれないという意味では、
若干の希望は持てた気がした。


話が脱線してしまった。
何を書きたくて日記を開いたんだっけ。


今週末、熱海へ。
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