にっき日和
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昔、好きだった人の夢を見てしまいました。
二十歳だったか、二十一だったか・・・
もう、よく覚えてないけど、
とにかくその頃に好きだった相手です。
もうずっと長いこと、記憶のかなたにあったのに、
いったい今ごろどうしたことでしょう。
彼は・・・・
恋人ではなく、まして友達ですらなく、
ただの職場の先輩でした。
歳はひとつふたつ年上で、長身で、
ちょっと知的な雰囲気がありました。
彼に憧れる女の子も多かったようです。
告白しようなんて、まったく考えていませんでした。
他人に打ち明けたことすら一度もありません。
職場でたいした話をするわけでもなく、
ただ彼の姿を、目で追っているだけの毎日でした。
愛とか恋とか、そんな上等なものではないんです。
しいていえば、
中学生が憧れの先輩に抱くような・・・
その程度の片思いだったように思います。
そういえば、社内ディスコパーティーなんて催しがありました。
他の女の子とチークする彼の姿を、
遠くから悲しく眺めていた思い出があります。
どうせ私のことなんか、石ころくらいにしか見えてないのね・・・・
なんて、ひそかにイジイジ思いながら(爆)
(⌒-⌒;) ・・・・
だって、何百人もの若い女の子が働く職場でした。
キレイな女の子は、掃いて捨てるほどいたんです。
ただでさえ容姿コンプレックスがあった自分に、
勇気をもって告白するなんてこと、できるわけがないのです。
そのうちに、私は部署転換になり、
彼と顔を合わせる機会もなくなりました。
彼にも新入社員の彼女ができたと、
社内の噂で聞きました。
そうそう。
ゆうべの夢は、こんなでした。
彼と私が、職場で仕事の段取りを決めていました。
私はどぎまぎする気持ちを隠しながら、
彼に仕事の質問をしているのです。
日常の一部をそのまま切り取ったような、
なんてことはない夢でした。
けれど・・・・
私には、長い長い夢だったように思えたのです。
私はまだ二十歳そこそこで、
社会に出てまもなくて・・・
そして、はっと夢から目覚めたとき、
十数年の時の経過に、
呆然としてしまったのです。
あの会社を退職して、はや10年。
あの頃の同僚達とも、
いつしか音信不通になっています。
いくつかの会社を転々として、
いろんな出会いや別れを繰り返して・・・・
いまだ恋愛下手は、
克服できずにいるけれど。
いつか・・・・
ふたたびあんな想いを抱く日が来るのでしょうか。
視線が遭っては、どきどき・・・・
言葉を交わしては、わくわく・・・
遠くにあるからこそ輝いて見えるのは、
なにも、甘い記憶に限ったことではないのです。
浮かんでは消える、
シャボンのような想いに揺れていた、
あの、毎日。
もういちど戻れたら・・・
なんて、思うのです。
ぴょん
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