にっき日和
おしながき|前よむ|次よむ
土曜日の恒例として、
今日のわたしは、ひとり遅い朝食をとっておりました。
すると6畳間の方角から、なにやらナフタリンのにおいが・・・・・
ぴょん母が、箪笥の古着を整理していたのでした。
家族四人分の古着たちが、畳いっぱいに広げられていました。
物持ちの良い母らしく、昔懐かしいあれこれが、出るわ出るわ!
父の古い背広、弟の学生服、母が若い頃に着ていたスーツ、
そして、亡くなった祖母の羽織まで・・・・・
とりわけ懐かしかったのは、小さな子供用の和服でした。
その昔、わたしが七五三に着ていた晴れ着だったのです。
亡くなった祖母が買ってくれたもので、
当時は、帯と草履、羽のついた髪飾りもあったはずでした。
その日のために新調したカメラで、
父が記念撮影してくれたことを、おぼろげながら覚えております。
着物の柄は、鮮やかな御所車です。
御所車・・・・・
源氏物語とかに出てきますよね、昔のお姫様が乗ってるアレです。
牛車とも呼ぶのでしょうか。
そういえば何年か前、一度だけ、車輪の本物を見たことがあります。
ちょうどこんな紅葉の頃・・・・・
京都に住むお友達が、
あちこち案内してくれた折に偶然みつけたのです。
(Sお姉さま、ご無沙汰しております。お元気?)
詳しい場所は忘れましたが、
京都市内の地下鉄の構内に飾ってありました。
思っていたよりも大きくて堂々とした立派なものでした。
こんなでかいもんを引っ張って、
牛さんもたいへんだなぁと思いました。
実は私、子供の頃はこの柄が、あまり好きではありませんでした。
近所のお友達の着物は、どれもこれも可愛らしいお花模様だったのに、
なぜわたしの着物だけ、車の輪がついてるんだろう??
母や祖母が、「これは良い柄なんだよ」と、いくら説明してくれても、
わたしにはこの模様が、
どうしても蓮根の切り口に見えてしまうのです。
お醤油で煮た、あの地味なお野菜・・・・・
わたしも他のみんなのように、お花模様の着物が着たかった。
当時の私は、牛車なぞ知りませんでしたから、
無理もないことだったのですが。
さて、すっかり大人になった今、この晴れ着を見直してみると・・・・
フムフム、なかなか良い柄じゃありませんか。
30数年経っていますが、少しも古臭さを感じません。
和服の知識は皆無なのですが、
子供用にしては大胆で、しかも雅やかな品のある柄だと思います。
今更ですが、この晴れ着の良さが理解できた気がしました。
母と祖母が呉服屋の店頭で、
あれこれ迷いながら選んでくれたのでしょうね。
今年もまたあちこちで、
可愛らしい七五三の晴れ着姿をみかけました。
大人になった子供たちに、
この日の思い出は、破片ほどにしか残らないというのに。
それでもなお、我が子の成長を、華やかに祝ってあげたいというのが
親の気持ちなのでしょう。
子供のいないわたしには、
想像することしかできませんけどね。
ぴょん
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