にっき日和
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日本人って、どうしてこんなに桜が好きなんでしょう。
ええ、わたしもそんな日本人のひとりですけども。
今週の金曜日から、
会社の先輩が海外旅行に出かけています。
GW直前の今は、旅費が安いことが理由だそうです。
いろんな考えの人がいるでしょうけど、
なぜわざわざ、この時期に日本を離れるのか・・・・
わたしとしては理解できません。
一年中で、もっとも美しい季節を見逃すなんて、
いかにも惜しい気がするのです。
ここ何年か、桜をテーマにした歌がヒットしていますね。
歌詞に共感する人が多いのも当然だと思います。
日本人なら誰だって、桜の季節に思い出がありますもん。
世代を超えて、特別な花なんです・・・・・桜って。
今日、お花見に行ってまいりました。
ふだんはあまり人が訪れない、山間の城跡ですが、
今日は、たくさんの花見客が訪れていました。
賑やかな家族連れ、手をつないだ若いカップル・・・・
誰も彼も、楽しそうです。
石垣を登りきった広場に、子供達の歓声が響きます。
石垣の段差を利用した、長い長い滑り台に、
子供達が列を作っているのです。
たしか、わたしが子供の頃には、
あんな立派な滑り台はなかったはず・・・・・
あたりを見回すと、広場の片隅に、
錆びた小さな滑り台が、ポツンと残っておりました。
隣の古いブランコも、見覚えがあります。
その昔、弟とわたしが争うように漕いだブランコなのです。
今は、ひとりの子供も遊んでいませんでしたけど。
「ここの桜も、すっかり老木になったねぇ・・・・」
ベンチに腰を下ろしながら、母がつぶやきます。
幾分か丸くなってきた背中が目に付きました。
「おかあさんも、おばあちゃんになったね」
それは、あんたもいっしょ!・・・・わたしたちは、
顔を見合わせて笑いました。
花は、散るからこそ美しいのだと思います。
短い花の命、その一瞬に出会えたことに心を揺さぶられるのです。
ひゅるり、ひゅるり・・・・
花びらが母の後ろに舞い落ちます。
今年もまた桜に会えたこと、
来年も、そのまた来年も、そのまた次の来年も、
ずっとずっと、母の隣で桜を眺めたい。
一瞬は永遠であれと、願わずにいられないのです。
ぴょん
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