にっき日和
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久しぶりの土曜休みです。
ここのところ土曜日は、ずっと休日出勤が続いておりましたので、
たまにはドライブなぞ、楽しみたい気分でありました。
けれど、あいにく今日は朝から、どんより曇り空。
いまにも空が泣き出しそうなお天気です。
雨が似合うお花といえば・・・・そう、紫陽花。
相良町の大鐘家(別名・花庄屋)は、
紫陽花のお庭が素敵だと聞きます。
ちょうど今は、あじさいまつりが催されているはずです。
http://www3.tokai.or.jp/oganeke/
海岸沿いの道路から、少し山側の道に入ると、
大鐘家の看板が建っておりました。
個人のお宅を開放しているのだと聞いておりましたが、
観光バスなども立ち寄る大きな駐車場が完備されております。
さてさて、お目当ての紫陽花はというと・・・・・・
なんと!・・・・・・ほとんどが、つぼみでありました。
あらあら、がっかり。(; ̄- ̄;)
よく手入れされたお庭には、
紫陽花のほか菖蒲なども植えられておりましたが、
いずれも、薄いみどり色のつぼみばかり・・・・・
今年は天候不順で、開花がだいぶ遅れているそう。
ま、しかたないですよね。
お花は、わたしたちの都合に合わせて咲くわけじゃありませんもの。
気を取り直し、
重要文化財に指定されている母屋の見学をいたしました。
こちらは400年前の建物だそうで、なかなか立派なもの。
黒光りする柱に風格を感じます。
少し前に読んだ、坂東真砂子の小説を思い出しました。
彼女の作品の舞台には、こんな旧家がよく登場するのです。
土俗的なドロドロした坂東ワールドに、
瞬間すべりこんでしまったかのような錯覚がいたします。
土蔵を利用した資料館には、先祖代々大鐘家の人たちが使用していた、
生活の道具などが展示されておりました。
ちょっとおもしろかったものに、
大正時代の英語の教科書なんかがありましたっけ。
このおうちには、むかしむかしの人々の暮らしの痕跡が、
あちらこちらに存在しております。
ご先祖様を敬いなさいって、お年寄りはよく言いますけども、
わたしには、あまりピンとこないのです。
だってそうでしょう、位牌だけのご先祖様では、
自分たちの存在が、
たしかに先祖と繋がっているという実感が持てないのですから。
人々が、下駄や草履で歩いていた時代から、
合皮のサンダルでアスファルトを闊歩する現代まで・・・・
この薄暗い家屋には、
時間が幾層にも積み重なっているのです。
大鐘家を出て、もと来た海岸道路を引き返しました。
もったりもったり・・・・
灰色の海が、重たそうに波を引きずります。
雨が、ざざーっと降り出さぬまに、
早めにおうちに帰ることにいたしましょう。
・・・・・もうすぐ、梅雨です。
ぴょん
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