きりんの脱臼
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2002年10月20日(日) 村上きわみ

くっつけてちゃんと南の島にして  なかはられいこ

とこしえ、と、呼ぶ。
せつな と、応える。

ふたりがそう呼び合っているあいだは、誰も手出しができないのだった。かみさまも。

「ねえ、とこしえ」と、せつな。
「なに、せつな」と、とこしえ。

無人島に流れ着いた恋人同士でもあるまいし、と、意地悪なわたしは思う。
厄介なことに、これは、たぶん、嫉妬だ。または憧憬。

「君のうしろに見えかくれしているそのグレーのもやもやは何?」
ある日、とこしえは言った。
「これはあたしの、瞬間から切り離されたまま漂っている“迷い”よ」
せつなは応えた。

「アップルパイの中にもぐりこんだみたいだ」
とこしえはくすくす笑う。
「ずっとこうしていましょうね」
せつなはしずかに目を閉じている。
   
《えいえんを口にしたものは禁固百年の刑》という法律をつくろう。
抱きあったまま動かない二人の、胸と胸の隙間に爪を差し込んで風を送るのだ。
世界中であらかじめうしなわれた恋人たちがすぶ濡れている。
火を、ともそう。

カルバドスふりかけている 火をつける 部屋中におまえが匂いたつ  村上きわみ


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